となりのソータロー

daisysacky

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第3章

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 なんだよ、それ…
宗太郎は憮然として、言葉を失う。
あれほど苦労して、探し回った、というのに?
「でも、ここって…昨日、来た…」
呆然として言うと、
「そうみたいねぇ」
それが、盲点なのよ…と、清子は哀れむ顔をする。
「そんなぁ」
ガクリと力が抜けると、カラスの鳴く声が聞こえる。
(あぁ~カラスまで、バカにしている…)
敗北感を感じる、宗太郎だ。
「それはいいから、早く上がって来なさいよ」
 清子が宗太郎に向かって、手招きをした。


「それって、どの辺り?」
 そういえば…謎の転校生を見掛けたのも、この境内だ…
宗太郎は思い出す。
じゃあ、あれって…本物か?
考え込む宗太郎をよそに、清子はクルリと鳥居の方を振り向くと、
「きのう、言ってたじゃない。
 学生服をここで見たって」
宗太郎に向かって言う。
 たしかに、そうだ。
「覚えていたのか…」
自分はといえば、昨日は偶然再会した清子に驚いて、
そのことをすっかり、忘れていたことに気がつく。
「ほら!困った時は、原点に戻れ、っていうでしょ?
 だから私も、ここへ来てみたのよ」
なぜか、宗太郎を励ますように言う。
「へぇ~じゃあ…」
話しかけようとする宗太郎に向かい、いきなり眉をキュッと上げて、
「静かに!」
真剣な顔つきで止める。

「もうすぐ…来るはずよ」
 なぜか、謎めいたことを言う。
 なんでなんだ?
「来るって、誰が?」
聞き返す宗太郎の腕を引っ張って、
「黙って」
押し殺した声で、さえぎる。
「ここに隠れて」
 クスノキの近くにある茂みに、宗太郎を引っ張って行くと、むりやり
彼を押し込める。
(何をするんだよぉ)
思わずにらみつけると
(静かに!)
清子にうながされ、しかたなく身体を縮めて、息をひそめた。
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