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第3章
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「あっ、来た来た!」
神社の階段を上がっていると、上から声が降って来た。
(それにしても…何で、こんなところに?)
そう思うけれど、宗太郎はせっせと足を動かしている。
てっぺんを見上げると、幼なじみの女の子が、ニコニコしながら、
手を振っている。
(やれやれ…なんで、アイツが?)
言いたいことは、山ほどある。
けれども、ここは…折れるしかない。
探偵ごっこなんて、一人よりも二人の方が、いいに決まっている。
やれやれ…
少しうんざりしながらも、機嫌よく手招きをしている清子に向かって、
「早いんだな」と、声をかけた。
半分嫌味のつもりで、言ったのに…
「習慣なのよ」
宗太郎に向かって、にっこりと微笑む。
「ところで…何の用?」
さっき屋上で、「いつものところで」と合図されたのはいいけれど…
いつもの所って、どこなんだ?
半分疑いつつも、ここに来たのだ。
何しろ…清子の家は、お堅い親が揃っているので…
今どきなのに、携帯電話を持たせてもらえないのだ。
(もっとも…それでは困る、と隠れてガラケーを持ってはいるけれど)
清子が明らかに、周りから浮いている原因は…
それも一つだ。
何しろ、連絡を取ろうにも、自宅の電話でしか、連絡がつかない…
というのは、まるで昭和の時代か、天然記念物のようだ…
と、思われているようだ。
(もしかして、清子も…神林くんのような扱いを、受けているのか?)
そう思い至ると、宗太郎は何だか、この幼なじみのことを、可哀想に
思えてきた。
神社の階段を上がっていると、上から声が降って来た。
(それにしても…何で、こんなところに?)
そう思うけれど、宗太郎はせっせと足を動かしている。
てっぺんを見上げると、幼なじみの女の子が、ニコニコしながら、
手を振っている。
(やれやれ…なんで、アイツが?)
言いたいことは、山ほどある。
けれども、ここは…折れるしかない。
探偵ごっこなんて、一人よりも二人の方が、いいに決まっている。
やれやれ…
少しうんざりしながらも、機嫌よく手招きをしている清子に向かって、
「早いんだな」と、声をかけた。
半分嫌味のつもりで、言ったのに…
「習慣なのよ」
宗太郎に向かって、にっこりと微笑む。
「ところで…何の用?」
さっき屋上で、「いつものところで」と合図されたのはいいけれど…
いつもの所って、どこなんだ?
半分疑いつつも、ここに来たのだ。
何しろ…清子の家は、お堅い親が揃っているので…
今どきなのに、携帯電話を持たせてもらえないのだ。
(もっとも…それでは困る、と隠れてガラケーを持ってはいるけれど)
清子が明らかに、周りから浮いている原因は…
それも一つだ。
何しろ、連絡を取ろうにも、自宅の電話でしか、連絡がつかない…
というのは、まるで昭和の時代か、天然記念物のようだ…
と、思われているようだ。
(もしかして、清子も…神林くんのような扱いを、受けているのか?)
そう思い至ると、宗太郎は何だか、この幼なじみのことを、可哀想に
思えてきた。
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