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第2章
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委員長が騒げば騒ぐほど、転校生の謎に、みんなが関心を抱く。
なぜあそこまで、目の敵にするのか…皆目見当がつかない。
だけどもそのせいで、まるで集団ヒステリーのように、教室の
同級生たちが、あの転校生のことを、気にし始めた。
「アイツのこと…見かけなかったか?」
「何か、知らないか?」
先ほどからずっと、委員長が聞き取り調査をしている。
みんなは、というと、触らぬ神に祟りなし…の方式で、無言を
決め込んでいるけれど…
「神林くん?
さっき、屋上で見かけたけど?」
そう言うと…
「ほら、早く行けよ!」
なぜか宗太郎は、背中を押される。
「えっ?」
いきなり背中を押されて、前によろける宗太郎に、
「おまえ、さっき、頼んだだろ?
さっさと探しに行けよ」
委員長の特権で、命令するように言う。
「ほら、高柳くんが、そう言っているから」
「いいから、早く行けよ」
こちらに、とばっちりが来るのだけは、ゴメンだ。
側にいたクラスメイトがささやく。
「えぇ~っ」
なぜだか、自分にお鉢が回って来た。
「う、うん…」
まだ納得は出来ないけれど、宗太郎はみんなの視線が恐ろしくて、
ついうなづいてしまう。
こう見えて、宗太郎はとても小心者だ。
だから子供の頃はいつも、清子の後ろに隠れていた。
「へぇ~男のくせに、女の後ろに隠れてやんのぉ」
いつもそう、からかわれていた。
学校に行きたくない…と駄々をこねたこともあるけれども。
「何を言っている、さっさと行け!」
厳しいじいちゃんに、問答無用で叱られたものだ。
母さんと二人きりになったら…さすがに、そこまでは、言われな
かったけれども。
「おまえ…早く行けよ」
わざとなのか、途中待ち伏せをされて、喝を入れられた時には、
正直宗太郎は、言葉をなくした。
「いいな、必ず、捜して来い!
サボるんじゃあないぞ」
そう言われても…何で、そこまでするんだ?と…
やはり納得がいかない、宗太郎なのだ。
なぜあそこまで、目の敵にするのか…皆目見当がつかない。
だけどもそのせいで、まるで集団ヒステリーのように、教室の
同級生たちが、あの転校生のことを、気にし始めた。
「アイツのこと…見かけなかったか?」
「何か、知らないか?」
先ほどからずっと、委員長が聞き取り調査をしている。
みんなは、というと、触らぬ神に祟りなし…の方式で、無言を
決め込んでいるけれど…
「神林くん?
さっき、屋上で見かけたけど?」
そう言うと…
「ほら、早く行けよ!」
なぜか宗太郎は、背中を押される。
「えっ?」
いきなり背中を押されて、前によろける宗太郎に、
「おまえ、さっき、頼んだだろ?
さっさと探しに行けよ」
委員長の特権で、命令するように言う。
「ほら、高柳くんが、そう言っているから」
「いいから、早く行けよ」
こちらに、とばっちりが来るのだけは、ゴメンだ。
側にいたクラスメイトがささやく。
「えぇ~っ」
なぜだか、自分にお鉢が回って来た。
「う、うん…」
まだ納得は出来ないけれど、宗太郎はみんなの視線が恐ろしくて、
ついうなづいてしまう。
こう見えて、宗太郎はとても小心者だ。
だから子供の頃はいつも、清子の後ろに隠れていた。
「へぇ~男のくせに、女の後ろに隠れてやんのぉ」
いつもそう、からかわれていた。
学校に行きたくない…と駄々をこねたこともあるけれども。
「何を言っている、さっさと行け!」
厳しいじいちゃんに、問答無用で叱られたものだ。
母さんと二人きりになったら…さすがに、そこまでは、言われな
かったけれども。
「おまえ…早く行けよ」
わざとなのか、途中待ち伏せをされて、喝を入れられた時には、
正直宗太郎は、言葉をなくした。
「いいな、必ず、捜して来い!
サボるんじゃあないぞ」
そう言われても…何で、そこまでするんだ?と…
やはり納得がいかない、宗太郎なのだ。
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