64 / 66
2
しおりを挟む
めり込むように入ってきた日永は何度も様子を見ながら腰を動かした。
裂けそうなのを上手にあやし、丁寧にもぐりこんでくる。
「、あ、や……」
「怖くないでしょ? 痛いですか?」
「痛く、なくもないけ、ど」
「大丈夫。おれを受け入れてください」
初めて聴いた日永の「おれ」呼びに心臓が跳ねた。
こんな時にずるい。もっとときめかせてくるこの人の本当の姿っていったいどこにあるんだろう。
それはこれから時間をかけて探っていく。
好きを自覚してから積もる様に愛おしさがこみあげてくる。もっと好きになって行くんだきっと。
膝をさらに割られシーツにつくくらい開かれる。日永の大きな体がのしかかってきて、体重ごと深く分け入ってくる。
「無理っ」
「じゃないから。恭介さんおれを見て」
きつくシーツを掴んでいた指を解かれ、背中へと誘われた。しっとりと濡れた肌が日永の必死を伝えてくる。
視線を上げるとびっしりと汗を浮かべた額が目に入った。
きつそうなのは日永も一緒のようだった。こんな途中で止められ締め付けられて痛くないはずがないよな。
「ヒッヒッフーだっけ?」
「それは産むとき、だったような。でもそれでもいいです。呼吸をしてください」
「ヒッヒッフー」
くっと下腹部に力が入るとずるっと奥へと進んできたのが分かった。
「あ、そうです。上手……」
なんとも間抜けな光景だけどそれを何度か繰り返すたび日永はうまく挿入を果たしたようだった。
セックスってこんな無防備な行為だったんだな。
かっこよくとかスマートにとか全く入る余地のない本能的な繋がり。たとえかっこわるくたって本人たちが必死で結ばれたがっているならそれは愛すべき行為なんだ。
「もう、少しっ」
「うあっ」
最後は強引に押し入った日永の太ももが恭介の尻に触れた。汗ばんで熱い体温がそこからも伝わってくる。
隙間なく繋がった二つの身体。
「恭介さんわかりますか?」
「……んっ、すごい奥」
「まで入りました。夢じゃない……嬉しい……どうしよう……」
ぎゅうっと力一杯抱きしめる日永が感動で打ち震えている。顔を押しつけられた恭介の肩が日永の涙で濡れていく。
「セックスのたびに泣くな」
「だって。こんな、恭介さんと……」
「うん、すごいな。入るもんなんだな……」
あんなバケモノみたいな凶器が。
日永はグスっと鼻を鳴らしながらも腰を動かし始めた。ゆるりと始まったそれは恭介の様子を探りながら次第にリズミカルになって行く。
「泣いてたんじゃないのかよ」
「泣いてるのも勿体なくて」
「ははっ、馬鹿だな」
膝の裏に腕を引っ掛けると片足を持ち上げるような体勢を取る。そうするとさらに奥まで突かれて恭介は息をのんだ。
「なんかダメな場所まで来てる気がするけど」
「大丈夫です。ちゃんとそこで気持ちよくなります」
「マジ?」
深く体重をかけられもぐりこんできた凶器は徐々に恭介の身体に覚えさせようといろんな動きをし始めた。
最初は違和感だけだったのにそのうち違う感覚が襲ってきて、その度に声を漏らした。
「ほら、ちゃんと気持ちよくなってく。ね、恭介さん、どこがいいか教えて」
「あ、っ……やだ、そこ、」
「ここ? 好き?」
「あっ、なんかダメな気がする」
男として。
突っ込まれて感じるとか、やっぱり抵抗があって堪えたけれど巧みな誘導に小さな悲鳴を上げるようになってしまった。
「あ、あああっ、日永さっ、」
「蒼です」
「蒼、さん、変っ」
「変じゃないよ。気持ちいいです、恭介さん、覚えて」
両の足を持ち上げられ擦られると下腹部がジンジンとし始めた。
こんな場所でちゃんと気持ちよくなるなんて人体の神秘を感じる。もしかして男同士で繋がることも想定内だったのかも。
日永の荒い呼吸が首筋にかかるとそれだけで興奮した。
「あっ」
「気持ちよすぎておかしくなりそう。恭介さん……好きです」
「俺も、なんかダメな扉開きそう」
「めいっぱい開いて。おれも連れて行って」
我慢できなくなって自分でたかぶりに触れるとそこはいつでも弾ける気満々で膨れ上がっていた。切ない気持ちでこすりあげるとそのたび日永を締め付けることになった。
「やらしい……ッ、恭介さんが自分で……」
「あ、やばい、気持ちいい」
「っく、恭介さんヤバイです……」
「俺も、あ、日永さん、好き」
日永の動きに合わせて腰が揺れてしまう。
たまらないとばかりにキスが仕掛けられすぐに深くなった。舌を吸われ上顎をこすられると急激に性感が高まった。
「あ、ああっ、」
「……イキそう」
ふたりの呼吸が乱れて飲み切れなかった唾液が口の周りを汚した。
声にならない声を重ねると恭介は震えて欲望を吐き出した。それと同時に日永の腰も震える。
「あ、ああっ、あ」
「……っ、出る」
自分の内に熱い体液が打ち付けられるのが分かった。
ビクビクと震えるそれはまだ重量をたっぷり伴っていて、だけど切ない動きをするから愛おしくてたまらなくなる。
恭介に欲情して欲望を吐き出した日永。
原始的な愛情を感じて何故か涙がこぼれおちた。
「恭介さん」
「人の事言えないな……」
さっきまで泣いていた日永を笑っていたはずなのに今度は自分だ。日永は唇でそれをすくうとペロリと舐めた。そのまま小さくキスを落とす。
「可愛い」
「笑うなよ」
「だって幸せで……自分こそ胸がいっぱいです」
「、うん」
だから背中に腕を回して引き寄せた。ぴたりとくっつく二人の心臓がまだ激しく脈打っているのが分かる。何もかもが一緒に重なっている。
裂けそうなのを上手にあやし、丁寧にもぐりこんでくる。
「、あ、や……」
「怖くないでしょ? 痛いですか?」
「痛く、なくもないけ、ど」
「大丈夫。おれを受け入れてください」
初めて聴いた日永の「おれ」呼びに心臓が跳ねた。
こんな時にずるい。もっとときめかせてくるこの人の本当の姿っていったいどこにあるんだろう。
それはこれから時間をかけて探っていく。
好きを自覚してから積もる様に愛おしさがこみあげてくる。もっと好きになって行くんだきっと。
膝をさらに割られシーツにつくくらい開かれる。日永の大きな体がのしかかってきて、体重ごと深く分け入ってくる。
「無理っ」
「じゃないから。恭介さんおれを見て」
きつくシーツを掴んでいた指を解かれ、背中へと誘われた。しっとりと濡れた肌が日永の必死を伝えてくる。
視線を上げるとびっしりと汗を浮かべた額が目に入った。
きつそうなのは日永も一緒のようだった。こんな途中で止められ締め付けられて痛くないはずがないよな。
「ヒッヒッフーだっけ?」
「それは産むとき、だったような。でもそれでもいいです。呼吸をしてください」
「ヒッヒッフー」
くっと下腹部に力が入るとずるっと奥へと進んできたのが分かった。
「あ、そうです。上手……」
なんとも間抜けな光景だけどそれを何度か繰り返すたび日永はうまく挿入を果たしたようだった。
セックスってこんな無防備な行為だったんだな。
かっこよくとかスマートにとか全く入る余地のない本能的な繋がり。たとえかっこわるくたって本人たちが必死で結ばれたがっているならそれは愛すべき行為なんだ。
「もう、少しっ」
「うあっ」
最後は強引に押し入った日永の太ももが恭介の尻に触れた。汗ばんで熱い体温がそこからも伝わってくる。
隙間なく繋がった二つの身体。
「恭介さんわかりますか?」
「……んっ、すごい奥」
「まで入りました。夢じゃない……嬉しい……どうしよう……」
ぎゅうっと力一杯抱きしめる日永が感動で打ち震えている。顔を押しつけられた恭介の肩が日永の涙で濡れていく。
「セックスのたびに泣くな」
「だって。こんな、恭介さんと……」
「うん、すごいな。入るもんなんだな……」
あんなバケモノみたいな凶器が。
日永はグスっと鼻を鳴らしながらも腰を動かし始めた。ゆるりと始まったそれは恭介の様子を探りながら次第にリズミカルになって行く。
「泣いてたんじゃないのかよ」
「泣いてるのも勿体なくて」
「ははっ、馬鹿だな」
膝の裏に腕を引っ掛けると片足を持ち上げるような体勢を取る。そうするとさらに奥まで突かれて恭介は息をのんだ。
「なんかダメな場所まで来てる気がするけど」
「大丈夫です。ちゃんとそこで気持ちよくなります」
「マジ?」
深く体重をかけられもぐりこんできた凶器は徐々に恭介の身体に覚えさせようといろんな動きをし始めた。
最初は違和感だけだったのにそのうち違う感覚が襲ってきて、その度に声を漏らした。
「ほら、ちゃんと気持ちよくなってく。ね、恭介さん、どこがいいか教えて」
「あ、っ……やだ、そこ、」
「ここ? 好き?」
「あっ、なんかダメな気がする」
男として。
突っ込まれて感じるとか、やっぱり抵抗があって堪えたけれど巧みな誘導に小さな悲鳴を上げるようになってしまった。
「あ、あああっ、日永さっ、」
「蒼です」
「蒼、さん、変っ」
「変じゃないよ。気持ちいいです、恭介さん、覚えて」
両の足を持ち上げられ擦られると下腹部がジンジンとし始めた。
こんな場所でちゃんと気持ちよくなるなんて人体の神秘を感じる。もしかして男同士で繋がることも想定内だったのかも。
日永の荒い呼吸が首筋にかかるとそれだけで興奮した。
「あっ」
「気持ちよすぎておかしくなりそう。恭介さん……好きです」
「俺も、なんかダメな扉開きそう」
「めいっぱい開いて。おれも連れて行って」
我慢できなくなって自分でたかぶりに触れるとそこはいつでも弾ける気満々で膨れ上がっていた。切ない気持ちでこすりあげるとそのたび日永を締め付けることになった。
「やらしい……ッ、恭介さんが自分で……」
「あ、やばい、気持ちいい」
「っく、恭介さんヤバイです……」
「俺も、あ、日永さん、好き」
日永の動きに合わせて腰が揺れてしまう。
たまらないとばかりにキスが仕掛けられすぐに深くなった。舌を吸われ上顎をこすられると急激に性感が高まった。
「あ、ああっ、」
「……イキそう」
ふたりの呼吸が乱れて飲み切れなかった唾液が口の周りを汚した。
声にならない声を重ねると恭介は震えて欲望を吐き出した。それと同時に日永の腰も震える。
「あ、ああっ、あ」
「……っ、出る」
自分の内に熱い体液が打ち付けられるのが分かった。
ビクビクと震えるそれはまだ重量をたっぷり伴っていて、だけど切ない動きをするから愛おしくてたまらなくなる。
恭介に欲情して欲望を吐き出した日永。
原始的な愛情を感じて何故か涙がこぼれおちた。
「恭介さん」
「人の事言えないな……」
さっきまで泣いていた日永を笑っていたはずなのに今度は自分だ。日永は唇でそれをすくうとペロリと舐めた。そのまま小さくキスを落とす。
「可愛い」
「笑うなよ」
「だって幸せで……自分こそ胸がいっぱいです」
「、うん」
だから背中に腕を回して引き寄せた。ぴたりとくっつく二人の心臓がまだ激しく脈打っているのが分かる。何もかもが一緒に重なっている。
11
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる