トンネルの子供

ツヨシ

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会社の帰り、いつも同じ道を通る。
そんなある日のこと、帰路の途中に通るトンネルの中を車で走っていると、いきなり目の前に現れた。
ヘッドライトに照らされた小さな女の子。
直前まで誰もいなかったはずなのに。
慌ててブレーキを踏んだが、直後になにかにぶつかった。
なににぶつかったのかは、考えるまでもない。
車が停まると転がるように車を降り、あたりを確認した。
しかしいくら見渡しても、女の子どころか猫の子一匹いない。
――おかしいなあ。
思いつつもう一度そこら辺中を見て回ったが、やはりなにもない。
――疲れているのかな。
そう思い、そのまま家に帰った。

すると翌日も、仕事帰りにトンネルを通ると、いきなり女の子が目の前に現れて、車になにかがぶつかった。
かなり念入りのあたりを見回ったが、なにもないのだ。
トンネルの中なので、私がひいた子供がトンネルから外に出てしまうことも考えられない。
――気味が悪いなあ。
その翌日から私は、帰路の際にわざわざ遠回りをして、そのトンネルを通らないようにした。

その数日後、トンネル近くの山の中で、行け不明の子供の死体が見つかったと言うニュースを見た。
五歳の女の子だ。
しばらくして犯人が捕まった。
その犯人は、トンネルの中で女の子をはね、そのまま山の中に捨てたと言う。

       終
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