3 / 20
3
しおりを挟む
みなばらばらに離れて座っているので、友人とか親族ではないように思えました。
振り返ってみましたが、私よりも後ろの席には誰も座っていません。
その三人が私よりも前の席に座っているのに、何故その容姿がはっきりと見て取れたのかと言いますと、三人とも時折通路側に顔を突き出して、後ろを振り返ったからです。
後ろには私が一人座っていますが、私のほうを見ているわけではありません。
通路の奥、バスの真後ろ辺りをじっと見るのです。
そこには誰もいませんし、なにかあるわけでもないのに、まるでなにか大切なものでもあるかのような目で、一点を凝視しているのです。
私が三人と目が合うことのないお見合いを交互にしていると、何の案内もアナウンスもないまま、バスが停まりました。
見ればずっと細かった山道がそこだけ広くなっており、そこにはバス停が存在していました。
しかしバス停には、誰の姿も確認できません。
――誰か降りるのかしら。
私が三人を見ていると、運転席横の降り口ではなく、私の前にある乗り口の扉が開きました。
そのとき何か強い臭いが漂ってきて、私の鼻を突いたのです。
――血?
それは血の臭いでした。
私が「なんで?」と考えていますと、バス停には誰もいなかったはずなのに、誰かが乗り込んできました。
老婆でした。
振り返ってみましたが、私よりも後ろの席には誰も座っていません。
その三人が私よりも前の席に座っているのに、何故その容姿がはっきりと見て取れたのかと言いますと、三人とも時折通路側に顔を突き出して、後ろを振り返ったからです。
後ろには私が一人座っていますが、私のほうを見ているわけではありません。
通路の奥、バスの真後ろ辺りをじっと見るのです。
そこには誰もいませんし、なにかあるわけでもないのに、まるでなにか大切なものでもあるかのような目で、一点を凝視しているのです。
私が三人と目が合うことのないお見合いを交互にしていると、何の案内もアナウンスもないまま、バスが停まりました。
見ればずっと細かった山道がそこだけ広くなっており、そこにはバス停が存在していました。
しかしバス停には、誰の姿も確認できません。
――誰か降りるのかしら。
私が三人を見ていると、運転席横の降り口ではなく、私の前にある乗り口の扉が開きました。
そのとき何か強い臭いが漂ってきて、私の鼻を突いたのです。
――血?
それは血の臭いでした。
私が「なんで?」と考えていますと、バス停には誰もいなかったはずなのに、誰かが乗り込んできました。
老婆でした。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
#彼女を探して・・・
杉 孝子
ホラー
佳苗はある日、SNSで不気味なハッシュタグ『#彼女を探して』という投稿を偶然見かける。それは、特定の人物を探していると思われたが、少し不気味な雰囲気を醸し出していた。日が経つにつれて、そのタグの投稿が急増しSNS上では都市伝説の話も出始めていた。
「こんにちは」は夜だと思う
あっちゅまん
ホラー
主人公のレイは、突然の魔界の現出に巻き込まれ、様々な怪物たちと死闘を繰り広げることとなる。友人のフーリンと一緒にさまよう彼らの運命とは・・・!? 全世界に衝撃を与えたハロウィン・ナイトの惨劇『10・31事件』の全貌が明らかになる!!
峠の幽霊
内田ユライ
ホラー
峠の語源は「手向け」が転じたものである。
急坂の頂上にある草ぼうぼうの領域へと目が向く。
子どもは急坂を登りはじめる。足は自然と廃屋へと向かった。
「手向け」の場所は、ひとでないものが潜む。
少年と少女が選んだ未来は——
ゴーストバスター幽野怜
蜂峰 文助
ホラー
ゴーストバスターとは、霊を倒す者達を指す言葉である。
山奥の廃校舎に住む、おかしな男子高校生――幽野怜はゴーストバスターだった。
そんな彼の元に今日も依頼が舞い込む。
肝試しにて悪霊に取り憑かれた女性――
悲しい呪いをかけられている同級生――
一県全体を恐怖に陥れる、最凶の悪霊――
そして、その先に待ち受けているのは、十体の霊王!
ゴーストバスターVS悪霊達
笑いあり、涙あり、怒りありの、壮絶な戦いが幕を開ける!
現代ホラーバトル、いざ開幕!!
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
オーデション〜リリース前
のーまじん
ホラー
50代の池上は、殺虫剤の会社の研究員だった。
早期退職した彼は、昆虫の資料の整理をしながら、日雇いバイトで生計を立てていた。
ある日、派遣先で知り合った元同僚の秋吉に飲みに誘われる。
オーデション
2章 パラサイト
オーデションの主人公 池上は声優秋吉と共に収録のために信州の屋敷に向かう。
そこで、池上はイシスのスカラベを探せと言われるが思案する中、突然やってきた秋吉が100年前の不気味な詩について話し始める
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる