赤いキャンプ場

ツヨシ

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隣にいたのは家族連れと見られる三人だった。

しかし家族団らんのはずが、まるでお通夜のようにその雰囲気がひたすら暗い。

父親も母親もそうだし、小学校低学年と見られる男の子も同様だ。

私は強い違和感を覚えていたが、正人は何も感じてはいないようだ。

そういう男なのだ、この男は。

「こんにちは」

その先にいたのはカップルとおぼしき二人だった。

「おう」

「……」

男のほうは背が高く筋肉質で、いかにもDQNといった雰囲気だった。

その暴力性と知性の低さが、わかりやすいほどに顔に刻み込まれている。

女のほうは同じく背が高く、その上小太りで陰気なオーラを全身から漂わせていた。

ともに二十代半ばといったところか。

年齢的には私や正人とあまりかわらないようだが、どう見てもお近づきになりたくないタイプにしか見えなかった。

ここには私たち以外二組しかいないのに、二組ともどうやら普通ではないようだ。

運が悪い。

挨拶を終えて車に向かい、車から次々と荷物を引きずりおろした。

テントなどはとりあえず横にのけて、食材や調理器具、椅子やテーブルを優先させた。

夕食と明日の朝食の分さえあればいいはずの食材は、三日分はゆうにあった。

正人らしい。
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