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高校に入学した。
自転車で通う。
近道があった。
人通りはほとんどなく、途中、墓地の前を通る。
毎日そうしていたが、ある日噂が立った。
墓地に出るそうだ。
この世のものではないものが。
墓地に出る。
よくある話だ。
ありふれ過ぎていて、俺には何も刺さらなかった。
いつものように高校に行ったある日、廊下を歩いていると、前から来た女子生徒が俺を見て目を見開いたかと思うと、小さく悲鳴を上げて逃げるようにその場を去ったのだ。
同じ高校の生徒だが、俺の知らない女子だった。
――なんなんだ、今のは?
気にはなったが、本人がもういないので問いただすこともできない。
それから数日後、今度は男子生徒が俺を見て驚愕の色を浮かべると、その場から走り去った。
これまた俺の知らない生徒だった。
――またかよ。なんだ、まったく。
それからは早かった。
親しい友人を含むまわりの同級生、そして先生までもが明らかに俺を避けるようになったのだ。
友人に理由を聞こうとしても、そそくさと逃げてしまう。
おまけに俺の前後左右に座る生徒が、机ごと俺から離れるようになった。
これはいったいどうしたことだ。
悩んでいると、顔と名前は一応知っているが、一度も話したことがない隣のクラスの男子が俺のところに来た。
そして言った。
「随分前から気づいてはいたんだ。でもはっきり言って関わりたくないものだから黙っていたんだけど。でもあまりにもひど過ぎるので、一言だけ言っておくよ」
「なんだよ、ひどいって」
「君、後ろについているよ。しかも毎日その数が増えている」
それだけ言うとそいつは、小走りにその場を去った。
終
自転車で通う。
近道があった。
人通りはほとんどなく、途中、墓地の前を通る。
毎日そうしていたが、ある日噂が立った。
墓地に出るそうだ。
この世のものではないものが。
墓地に出る。
よくある話だ。
ありふれ過ぎていて、俺には何も刺さらなかった。
いつものように高校に行ったある日、廊下を歩いていると、前から来た女子生徒が俺を見て目を見開いたかと思うと、小さく悲鳴を上げて逃げるようにその場を去ったのだ。
同じ高校の生徒だが、俺の知らない女子だった。
――なんなんだ、今のは?
気にはなったが、本人がもういないので問いただすこともできない。
それから数日後、今度は男子生徒が俺を見て驚愕の色を浮かべると、その場から走り去った。
これまた俺の知らない生徒だった。
――またかよ。なんだ、まったく。
それからは早かった。
親しい友人を含むまわりの同級生、そして先生までもが明らかに俺を避けるようになったのだ。
友人に理由を聞こうとしても、そそくさと逃げてしまう。
おまけに俺の前後左右に座る生徒が、机ごと俺から離れるようになった。
これはいったいどうしたことだ。
悩んでいると、顔と名前は一応知っているが、一度も話したことがない隣のクラスの男子が俺のところに来た。
そして言った。
「随分前から気づいてはいたんだ。でもはっきり言って関わりたくないものだから黙っていたんだけど。でもあまりにもひど過ぎるので、一言だけ言っておくよ」
「なんだよ、ひどいって」
「君、後ろについているよ。しかも毎日その数が増えている」
それだけ言うとそいつは、小走りにその場を去った。
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