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外伝(ロレンツァ視点)

酔っ払った次の日の朝、隣に従兄妹が裸で寝ていた件2

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「困った……どうしよう……」
「だから言ったじゃない。そろそろやめなさいって」
「リチュカ……」

 私はあの後、2回戦目を始めようとしたセシルを突き飛ばし、お腹が痛くなったと叫んで逃げ出して来て、従姉妹であるリチュカの家……侯爵邸に来ていた。

 リチュカは3つ下で、黒曜石のような艶のある黒髪に、うちのお父様と同じ空色の瞳をしている。ストレートの髪がルカ伯父様譲りで、とても綺麗だなと思う。


「もう観念して嫁いであげたら良いのではないかしら?」
「え? 嫌よ!」
「どうして? いつも思っていたの。どうして、ロレンツァはセシルを嫌がるの?」
「な、なら、リチュカが結婚してあげれば?」
「嫌よ、あんな虐め甲斐のない男」

 …………。
 リチュカの家系はSが多い。ルカ伯父様も、リチュカのお祖母様もSだ。
 しっかり、それを受け継いでて笑える。ははっ。

 そういえば、うちのお父様もSよね。何でも、リチュカのお祖母様は、昔お父様の乳母だったとか? やっぱりSっ気って伝染するのかしらね。

「はぁ。お父様が常日頃言っていたわ。王権争いに関わるなと……」
「そうは言うけれど、現在一点の曇りなくフィリップ伯父様の御世は整えられているわ。王権争いなんて起きないものを心配する道理はなくてよ」
「…………」
「それで? 本当は何が嫌なの?」


 ……私は将来お父様のような仕事がしたい。色々な国を見てまわりたいの。外交を女が担えるかは分からないけど、それでも私は世界を見てまわりたい。

 その為にも王太子妃になんてなる訳にはいかないのよ。


「第一、幼い頃からずっと一緒の従兄妹に、恋愛感情なんて抱けないわよ」
「でも、出来たんでしょう?」
「え?」
「枕を交わせたのだから、きっと好きになれるわよ」


 ふふふ、と笑っているけど、他人事だと思って……。

 私は下唇を噛みながら、リチュカを睨んだ。


「まあ良いわ。それより、ルージュオは何処?」
「ルージュオ?」
「実は、セシルに夕食を一緒にって脅され……いえ、誘われているの。だから、ルージュオを女装させて、私は変装して侍女としてついて行こうかなって」


 一応、そこにいたんだから約束は果たしたことになるでしょ。気付かないセシルが悪いんだし。

「ルージュオはリチュカと双子だし女顔だから大丈夫だと思うのよね」
「……ロレンツァって、ロベルト叔父様の娘とは思えないくらいに馬鹿で浅はかよね。浅知恵が良く働く事……」
「嫌だ、褒めないでよ」
「褒めていないわ」
「…………」
「…………」



◆後書き◇

 ロレンツァが馬鹿に仕上がってしまった(´^ω^`)ブフォwww
 こっちはのんびり気まぐれに更新していきます。
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