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本編
36.共に歩みたい
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その後は、目紛しい日々だった。
婚礼の準備や王太子妃としてやるべき事を覚えたり、フィリップのお仕事を手伝ったり、あっという間に3ヶ月が経ち、婚礼の日を迎えた。
私は今きっと王国一の幸せ者だと思う。
私とフィリップは結ばれるまで色々あったし、私がした事はきっと永遠に消えないだろう。
けれど、あんな事があったからこそ、私はフィリップの優しさと真剣に向き合い、そして知る事が出来たのだと思う。
私はフィリップを愛している。
これから先、どんな事があってもフィリップとなら手を取り合って頑張っていける。
不安は何一つない。
「シシー、では神殿に行こうか」
「は、はい……えっ? ちょっ、フィ、フィリップ?」
私がフィリップの手に、自分の手を重ねると、フィリップが私を抱き上げた。これには驚いてしまったけれど、フィリップは綺麗だよと言って、王宮前の広場で私を見せびらかすように高く抱き上げた。
王宮前の広場には民が詰めかけているので、皆に見られている。
けれど、フィリップは気にする事なく、「私はこの姫と生涯歩んでいく。彼女こそが我が国の次の王妃だ」と高らかに宣言した。
民は歓喜に湧き、大地が震えるほどの声援をくれた。
は、恥ずかしいけれど……とても嬉しい……。
私は幸せだ。
フィリップの手を取って良かった。
彼の優しさを知る事が出来て良かった。
大切なものを見失わなくて良かった。
「フィリップ、愛しています」
「私も愛しているよ。私の全てをかけて幸せにすると誓うよ」
「フィリップ!」
私が抱きつくと抱き締め返してくれる。
とても嬉しくて、とても幸せだ。
私もフィリップを、私の全てをかけて幸せにすると誓うわ。
これからもずっと一緒よ、フィリップ。
「でも、やっぱり恥ずかしいです」
「そう? 私はシシーを見せびらかす事が出来て、嬉しいけどな」
あの後、フィリップは事あるごとに私を抱き上げたり、頰や手に口付けたりと、スキンシップが激しかった。
そのおかげか内外に仲が良いと示す事は出来たのだけれど、王太子は王太子妃にメロメロだ……なんて揶揄われたりもしたので、嬉しい反面やっぱり恥ずかしい。
「そんな事より、今宵は初夜だね」
「っ!!?」
突然、フィリップが嬉しそうに私の肩を抱き耳元でそう囁いたから、私は全身が沸騰しそうになった。
フィリップ?
まだパーティーの最中で皆もいるんですよ?
小声だからと言って……もしも誰かに聞かれでもしたら……。
「昨夜は婚礼の儀式の事を考えて出来なかったから、今宵は楽しみだね」
「し、知りません」
大体……初夜も何も……この3ヶ月間、ずっと同じ部屋で寝起きを共にして……交わりだって、ほぼ毎日しているのに……。今更、初夜というのもおかしいと思うのは私だけかしら……。
「淋しいな……シシーは楽しみじゃないのか……」
「っ……」
フィリップがしょんぼりしながら、私をジッと見つめた。心臓に悪いから上目遣いで見つめないで欲しい。
も、もう……絶対にわざとやっているのだわ。
分かっているくせに……。
「知りません。フィリップの意地悪……」
「どうして? 意地悪なのはシシーだよ。一言、楽しみだって言ってくれれば良いのに」
「だって、恥ずかしいです……」
私は顔を真っ赤にして俯いた。
すると、フィリップは私の頭を撫でた後、陛下に下がる許可を頂いて、私を抱き上げた。
「フィリップ? 私たちが主役なのに、パーティーを抜け出しても良いのですか?」
「もう終盤だし、別に構わないよ。花嫁が夜更かしするのはパーティーの場ではなく、ベッドの上と相場が決まっているからね」
…………フィリップが変な事を言っている気がする……。
きっと酔っているのだと思う。
私はお付き合い程度にしか呑めないけれど、フィリップはお酒が強いので、皆に色々と呑まされていた。
多分、朝も早かったし色々とあって疲れているし、お酒もいっぱい呑んでいるから、ベッドに入ったら寝てしまいそうな気がする……。
因みに私は眠い。
朝が早かったのもあるし、ずっと気を遣ってばかりで疲れてしまった。
初夜……というか交わりはいつもしているし、今日は普通に眠りたい気もする。
楽しみじゃない訳ではないけれど、今日は私もフィリップも、とても疲れていると思うの。だから……その……形式通りでなくても良いわよね?
そんな事を考えているうちに部屋についてしまった。
フィリップはニコニコしながら、私をベッドに寝かせ、そのまま覆い被さってきた。
「……フィリップ?」
覆い被さってきたのだけれど、どうやらフィリップはそのまま私の肩に頭を乗せて眠ってしまったみたい……。
「……予想通りね」
それはもう沢山呑まされていたし、フィリップは疲れが溜まってくると声が甘えたような感じになるから分かりやすい。
ふふっ、こうやって見ると天下の王太子殿下も形無しね。
「…………フィリップ」
私だけに見せてくれる無防備な姿が愛しくて堪らない。
愛している。嬉しい。幸せ。
私の心は今そればかりだ。フィリップを見ていると、その想いがあふれてきて、多幸感に包まれる気がする。
「フィリップ、愛しているわ。ずっと一緒よ……」
私は眠っているフィリップを起こさないように、ソッと口付けた。
婚礼の準備や王太子妃としてやるべき事を覚えたり、フィリップのお仕事を手伝ったり、あっという間に3ヶ月が経ち、婚礼の日を迎えた。
私は今きっと王国一の幸せ者だと思う。
私とフィリップは結ばれるまで色々あったし、私がした事はきっと永遠に消えないだろう。
けれど、あんな事があったからこそ、私はフィリップの優しさと真剣に向き合い、そして知る事が出来たのだと思う。
私はフィリップを愛している。
これから先、どんな事があってもフィリップとなら手を取り合って頑張っていける。
不安は何一つない。
「シシー、では神殿に行こうか」
「は、はい……えっ? ちょっ、フィ、フィリップ?」
私がフィリップの手に、自分の手を重ねると、フィリップが私を抱き上げた。これには驚いてしまったけれど、フィリップは綺麗だよと言って、王宮前の広場で私を見せびらかすように高く抱き上げた。
王宮前の広場には民が詰めかけているので、皆に見られている。
けれど、フィリップは気にする事なく、「私はこの姫と生涯歩んでいく。彼女こそが我が国の次の王妃だ」と高らかに宣言した。
民は歓喜に湧き、大地が震えるほどの声援をくれた。
は、恥ずかしいけれど……とても嬉しい……。
私は幸せだ。
フィリップの手を取って良かった。
彼の優しさを知る事が出来て良かった。
大切なものを見失わなくて良かった。
「フィリップ、愛しています」
「私も愛しているよ。私の全てをかけて幸せにすると誓うよ」
「フィリップ!」
私が抱きつくと抱き締め返してくれる。
とても嬉しくて、とても幸せだ。
私もフィリップを、私の全てをかけて幸せにすると誓うわ。
これからもずっと一緒よ、フィリップ。
「でも、やっぱり恥ずかしいです」
「そう? 私はシシーを見せびらかす事が出来て、嬉しいけどな」
あの後、フィリップは事あるごとに私を抱き上げたり、頰や手に口付けたりと、スキンシップが激しかった。
そのおかげか内外に仲が良いと示す事は出来たのだけれど、王太子は王太子妃にメロメロだ……なんて揶揄われたりもしたので、嬉しい反面やっぱり恥ずかしい。
「そんな事より、今宵は初夜だね」
「っ!!?」
突然、フィリップが嬉しそうに私の肩を抱き耳元でそう囁いたから、私は全身が沸騰しそうになった。
フィリップ?
まだパーティーの最中で皆もいるんですよ?
小声だからと言って……もしも誰かに聞かれでもしたら……。
「昨夜は婚礼の儀式の事を考えて出来なかったから、今宵は楽しみだね」
「し、知りません」
大体……初夜も何も……この3ヶ月間、ずっと同じ部屋で寝起きを共にして……交わりだって、ほぼ毎日しているのに……。今更、初夜というのもおかしいと思うのは私だけかしら……。
「淋しいな……シシーは楽しみじゃないのか……」
「っ……」
フィリップがしょんぼりしながら、私をジッと見つめた。心臓に悪いから上目遣いで見つめないで欲しい。
も、もう……絶対にわざとやっているのだわ。
分かっているくせに……。
「知りません。フィリップの意地悪……」
「どうして? 意地悪なのはシシーだよ。一言、楽しみだって言ってくれれば良いのに」
「だって、恥ずかしいです……」
私は顔を真っ赤にして俯いた。
すると、フィリップは私の頭を撫でた後、陛下に下がる許可を頂いて、私を抱き上げた。
「フィリップ? 私たちが主役なのに、パーティーを抜け出しても良いのですか?」
「もう終盤だし、別に構わないよ。花嫁が夜更かしするのはパーティーの場ではなく、ベッドの上と相場が決まっているからね」
…………フィリップが変な事を言っている気がする……。
きっと酔っているのだと思う。
私はお付き合い程度にしか呑めないけれど、フィリップはお酒が強いので、皆に色々と呑まされていた。
多分、朝も早かったし色々とあって疲れているし、お酒もいっぱい呑んでいるから、ベッドに入ったら寝てしまいそうな気がする……。
因みに私は眠い。
朝が早かったのもあるし、ずっと気を遣ってばかりで疲れてしまった。
初夜……というか交わりはいつもしているし、今日は普通に眠りたい気もする。
楽しみじゃない訳ではないけれど、今日は私もフィリップも、とても疲れていると思うの。だから……その……形式通りでなくても良いわよね?
そんな事を考えているうちに部屋についてしまった。
フィリップはニコニコしながら、私をベッドに寝かせ、そのまま覆い被さってきた。
「……フィリップ?」
覆い被さってきたのだけれど、どうやらフィリップはそのまま私の肩に頭を乗せて眠ってしまったみたい……。
「……予想通りね」
それはもう沢山呑まされていたし、フィリップは疲れが溜まってくると声が甘えたような感じになるから分かりやすい。
ふふっ、こうやって見ると天下の王太子殿下も形無しね。
「…………フィリップ」
私だけに見せてくれる無防備な姿が愛しくて堪らない。
愛している。嬉しい。幸せ。
私の心は今そればかりだ。フィリップを見ていると、その想いがあふれてきて、多幸感に包まれる気がする。
「フィリップ、愛しているわ。ずっと一緒よ……」
私は眠っているフィリップを起こさないように、ソッと口付けた。
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