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理性の箍を外して①

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 自宅に到着すると、リビングのソファーに荷物を置き、ジャケットを背凭れに掛ける康弘を視線で追う。彼は瑞希の手を引き一緒にソファーに座り頭を撫でてくれた。

「色々あって疲れたでしょう。お茶を淹れてくるので、ゆっくり休んでいてください」
「ま、待ってください。お茶はいいから……」

 離れたくなくて立とうとしている康弘に全体重をかけて力いっぱい抱きついた。不意をつかれバランスを崩してよろけた彼が、ソファーの上に倒れたのをいいことに彼の上に乗る。


「瑞希?」
「ごめんなさい。今はくっついていたい気分で……その……抱きついていてもいいですか?」

 照れ臭くて目を合わせられない。
 瑞希が顔を真っ赤に染めながらそう言うと康弘が小さく目を見開いた。彼の首裏に手をまわして、おずおずとキスをする。

「好きなだけどうぞ」

 破顔した彼の手が瑞希の後頭部にまわる。そのままぐっと引き寄せられて、また唇が重なった。何度か触れるだけのキスを繰り返す。

 その時、お尻に硬いものが当たって息を呑んだ。

「……っ!」
「ベッドに行きませんか? もう我慢できそうにありません」
「は、はい。私も……康弘さんに抱いてほしいです」

(夢のように抱いて?)

 瑞希が小さく頷くと抱き上げてくれる。甘えるようにすり寄ると康弘の手に力がこもった。

 お互いの心臓の鼓動を感じながら、寝室へ向かう。
 部屋に入ると、彼が優しくベッドにおろし覆い被さってくる。

 ベッドの軋む音に心臓が張り裂けそうなくらいドキドキした。


「愛しています。瑞希のすべてを俺にください」

 掠れた声で囁き瑞希の太ももを撫で上げながら、スカートの中に手が入ってくる。瑞希はその手をそっと押さえた。

「全部あげるから、私にも康弘さんのすべてをください」
「もちろんです。元々瑞希のものですよ」

 その返事を合図に自ら康弘にキスをし、彼の口の中に舌を入れて吸った。

 康弘ほどのテクニックはないが、それでも懸命に彼の舌に自分の舌を絡めていると、彼が太ももを撫でていた手を背中にまわした。瑞希が少し体を浮かせると、一気にワンピースのファスナーがおろされる。

「あ……康弘さっ……」
「瑞希」

 名前を囁いて、攻守交代と言わんばかりに今度は康弘の舌が瑞希の口内に入ってきた。今自分がしていたキスとは全然違う官能を呼び起こすようなキスにくらくらしてくる。

(康弘さんのキス、気持ちいい……)

「ん……んぅ、ふぁっ」

 彼の舌が上顎をなぞると体がびくんと跳ねて、力が抜ける。負けじと彼の舌を吸おうと舌を伸ばしても、彼の舌が瑞希の舌を搦めとり吸い上げてくる。

「んんぅ!」
「可愛い」

 瑞希が背中をわななかせると、唇を少し離して囁かれる。康弘はキスをしながら、瑞希のワンピースを器用に脱がせていった。

「あっ!」
「瑞希の肌……ほんのりと色づいていて、とても色っぽいですよ。そんなに俺を誘惑してどうするつもりですか?」

 そう問いかけながら体を少しずらして胸に頬擦りする彼の髪を撫でる。柔らかくて指通りのいい髪が気持ちよくて、瑞希は梳かすように彼の髪に触れた。


「あ、あの、もし良ければ舐め合いっこしませんか? 私も康弘さんを気持ちよくしてあげたいです」
「は? いや、それは……」
「私に全部くれるんでしょう? だったら私もしたいです」

 提案したものの恥ずかしくてたまらない。瑞希の胸から顔を上げてとても驚いた顔のまま硬直している康弘の頬を両手で包む。

「……ですが、まだシャワーを浴びていませんし」
「昨夜病室で浴びていたじゃないですか。私も今朝浴びましたし、別に気にしなくていいのでは?」
「いや、無理です。大至急体を洗ってくるので待っていてください」

 慌てて部屋を飛び出して行った康弘にくすくすと笑う。

(康弘さんは私のシャワーの有無を気にしないくせに……)

「いざ自分が舐められる側になると恥ずかしいのかな……」

 まあ体を清めてから臨んだほうがなんの心配もなく愛し合えるので別にいいかと思いながら、枕を抱き締めた。


 その後は瑞希も康弘に続いてシャワーを浴び、念入りに体を洗う。そして寝室の照明を落として、改めて二人でベッドに入った。

「じゃあ、ここに寝転がってください。私が上に乗るので……」
「シックスナインなんてどこで覚えて……いや、あいつか……殺してやりたい」
「も、もう昔のことはいいですから忘れてください。ほら寝て!」

 なんだか恥ずかしくなって枕をバンバンと叩くと、康弘が安東への恨み言をぶつぶつ呟きながら寝転んだ。色気も情緒もあったものじゃないなと嘆息し、彼にお尻を向けた体勢で上に乗る。

(そ、そりゃ、康弘さんが初めてだったら一番良かったんだけど……仕方ないじゃない)

 けど、多少の経験があるからこそ今彼に奉仕してあげられると思うと、それはそれで嬉しい。

 瑞希は照れ笑いを浮かべながら、すでに熱り勃っているものに触れた。それは火傷しそうなくらい熱くて手の中でびくびくと脈打っている。
 そっとキスを落とすと、彼が身動いだのが分かり、なんだか気分が良くなって裏筋を優しくつーっと舐め上げた。そして手で雁首を撫でながら、全体に舌を這わす。

 シックスナインなので彼の表情は見えないが、はち切れんばかりに漲っている彼のものを見れば、悦んでくれているのが分かる。

(それにしても触っているとすごく大きい。こんなのが自分の体の中に入って……そしてものすごく気持ちいいなんて人体の神秘ね)

「瑞希、そろそろ俺も舐めていいですか……?」

 中断して彼の屹立をまじまじと観察していると、康弘が熱い息を吐いた。


「やっ、待って……まだ駄目っ、はうっ」

 止めようとしたのに彼の熱い舌が蜜口に触れて、瑞希は屹立を握ったまま震えた。康弘はまるで食べるみたいに大きく口を動かして愛液を啜り、花芽に歯を甘く立て舌先で弄ぶ。

「ああっ……それしちゃ、駄目っ、舐められなっ、ひあぁっ!」

 その大きな快感に耐えるだけで必死だった。とても自分から舐められそうになくて、彼の下半身に縋りついたまま背中がしなる。
 容赦のない愛撫から逃げようと腰を浮かせると、彼が瑞希の腰をがっしりとホールドして花芽に吸いついた。
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