20 / 25
前世の自分との別れ
しおりを挟む
「さて、では前世のエミリーを葬ってあげようか」
「はい」
エミリーが頷くと、レーリオが――これが最後の抱擁とでもいうかのように前世の自分をもう一度強く抱き締めた。その瞳にはわずかだが涙が滲んでいる。
その姿を見て、少し胸が痛む。
(今は……。わたくしは生まれ変わってレーリオ様の側にいますが、ずっといられなかった……ずっと一人にしてしまっていたんですもの)
それはどれほどのつらさだろうか。千年という長きの間、レーリオが一人で何を思い、何を考え、苦しんだのか。その苦悩を本当の意味で理解することはできないだろう。
エミリーは胸元をぎゅっと掴んで、唇を引き結んだ。
(その千年の間――前世のわたくしの遺体は少しでも貴方の慰めになりましたか?)
エミリーは心の中で問いかけながら、レーリオの背中を見つめた。
「ああ、エミリー。鼻筋が通り、少し勝気そうな目。声は唄うように可愛らしく、背中から腰のラインは芸術だ。貴方の一挙一動すべてが私を魅了したよ。もう別れかと思うと寂しい」
「あはは、気持ち悪いです~。というより、しんみりした場の雰囲気をぶっ壊さないでください」
「凍らせてエミリーの体の時だけを止めて、貴方を見つめたり貴方の隣に眠る日は――つらいことのほうが多かったけど、それでもエミリーがいてくれて本当に良かったと思っている。だからこの千年を耐えられたんだ。生まれ変わってきてくれてありがとう。今度こそ絶対に離さないから、安らかに眠ってくれ」
亡骸に縋りついて泣いているレーリオを見て、ロレットがずばっと言い放つ。レーリオはまったく気にせず言葉を続けているが、エミリーはロレットを睨み、彼の手を小さく叩いた。
「ロレット様。少しお言葉が過ぎますよ」
「そうですか~? では、エミリーさんは今の主の言動を気持ち悪いとは思わないんですか? まったく? これぽっちも?」
「え、えっと……。確かに言葉選びに少々行きすぎな点は認めますけれど、わたくしはそんなにも愛していただけて嬉しいです。それに最後なのですから、レーリオ様の好きなようにお別れさせてあげてください」
ロレットと言い合っていると、レーリオが前世の自分の亡骸を棺の中に寝かせた。その瞬間、その棺を護るように二体の黒いドラゴンが寄り添う。
「え? ドラゴン? なぜ、ドラゴンが……」
「ご主人様の使い魔なので、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ、エミリー様」
「ええ、とてもいい子なんです」
突然現れたドラゴンにおののいていると、グレタとラウラが怖くないように手を握ってくれる。
(ドラゴンが使い魔だなんて、やはりレーリオ様は魔王なのですね)
彼が魔王なのはもちろん分かってはいるが、普段の穏やかで優しい彼はどうも魔王っぽくはないので、このように力を奮っているところを見ると改めて感心してしまう。
「エミリー。皆で一緒にお別れをしようか」
「はい」
レーリオのその言葉で、深呼吸をしてから棺の側に寄る。グレタとラウラ、ロレットも棺に跪き、花を手向けた。
記憶はあるが、前世の自分を見ていると不思議な気持ちになってくる。エミリーはそっと亡骸に触れた。
「わたくしはもう二度とレーリオ様から離れません。今回こそがすべての繰り返しの――本当の意味での終わりであり、最後の人生です。もう絶対にレーリオ様を一人にはしない。置いていったりなどしません。誓います。だから安心して眠ってくださいませ。今までありがとうございました」
誓いを込めた決意を口にして前世の自分の手を両手で握り、深々と頭を下げる。すると、その手の上にレーリオの手が重ねられた。そして力強く抱きしめてくれる。
「エミリー、ありがとう。前世の君の母君の想い、神々の想い。その者たちの想いよりも――私を選んだことを決して後悔させたりしない。必ず幸せにすると誓うよ。我が心は永遠にエミリーだけのものだ」
「レーリオ様」
「愛しているよ、エミリー。二度と離さない」
「ええ。もう離さないで」
かたく抱き合うと、棺の周囲に紫の炎が揺らめく。その瞬間、一瞬空間が歪んだ。
「きゃっ!」
「大丈夫だよ。我が魔界に葬るだけだから」
レーリオがそう言った途端、暗い闇がドラゴンと棺を呑み込んだ。二、三度瞬きをして目を擦ってみても、そこにはもう何もなかった。
(終わったのですね……)
いや、そうではない。これからが始まりなのだ。レーリオと共に歩んでいく始まり。エミリーはレーリオの手を握って微笑んだ。
「さて、レーリオ様。久しぶりに魔王城の中庭でお茶でもしましょう。わたくしたちの子についても詳しく聞かせてくださいませ」
「あの子に会いたいなら、すぐにでも呼びつけるよ。手伝うと言っておきながら未だに戻ってこないんだけど、エミリーが帰ってきたことを知らせたら、瞬く間に帰ってくるだろうから」
呆れたように溜息をつくレーリオに笑うと、彼がエミリーを抱き上げベッドに座らせた。そして目の前に跪く。
(レーリオ様……?)
「エミリーの望みをもっと聞かせて? エミリーの気持ち。私にしてほしいこと。欲しいもの。今のエミリーが何を嬉しく思って、何を大切にしているのか。全部全部教えてほしい」
「レーリオ様……」
「エミリーが望むのなら、私は世界中の金銀財宝でも集めてくるし、どんな大国だって滅ぼしてあげるよ。貴方が望むことはなんだってしてあげる。だから、教えて? エミリーは魔王妃となったのだよ。貴方は私の側で望むだけでいいんだ」
(望むだけで……?)
エミリーはレーリオの言葉に驚いた。
それではまるでエミリーが望めば、どれほど愚かなことでも、残虐なことでも成し遂げると言っているようなものではないか。
彼の極重の愛を受けながら、エミリーは心にかたく誓った。
(これからはさらに言葉選びには気をつけましょう)
うっかり何かをほしいと言ってしまったら、翌日には――いや、数分後には目の前にありそうだ。エミリーはレーリオの行動を予測して眩暈がした。
「レーリオ様。わたくしが望むのは平和です。貴方とグレタやラウラ、ロレット様やお母様やお兄様。お祖父様――皆と、平穏に暮らせる日常こそが大切なのです。なので、わたくしのためを思うならディフェンデレを今以上に平和で住みやすい国にしてくださいませ。あ、いいえ、訂正します。わたくしはディフェンデレの王太子妃。貴方は王太子です。貴方に望むだけではいけません。共によい国をつくっていきましょう。それがわたくしの願いです」
「仰せのままに」
そう言って恭しくエミリーの手を取るレーリオに微笑みかける。
ペルデレとディフェンデレが戦争をし、レーリオと二度と会えないと思った時は、生きている意味なんてないと思った。
エミリーが欲しいものはレーリオと一緒にいることのできる日常だ。レーリオから愛されて、共に幸せに暮らす穏やかで優しい日々。それに勝るものはない。
それはどんな金銀財宝よりも素晴らしい宝なのだ。
「愛しています、レーリオ様」
「私も愛しているよ。愛している。その美しい髪も可愛らしい顔も、美しい体も。髪の毛一本、爪の先だとて、すべて私のものだ」
「レーリオ様ったら……」
目に涙を浮かべながら、とても大真面目にそう言うレーリオにいけないと思いつつ、つい笑ってしまう。
ふと気がつくと、部屋の中には自分とレーリオだけで、ロレットもグレタもラウラもいなかった。
(あら、お茶の用意をしてくれに行ったのかしら?)
エミリーがぼんやりとそんなことを考えていると、突然押し倒された。
「え? レーリオ様?」
「ああ、私のエミリー。私だけの聖女だ。エミリーは奇跡なんだよ。尊い。尊すぎるよ。いつもいつも私はエミリーを想うだけで興奮してしまうんだよ。分かってる? 私のエミリー。ああ、もう本当にたまらないよ。感動だ。愛している。可愛い可愛い私だけの聖女。いや、女神だ。エミリーは女神。今後こそ、私は失敗しない。さあ、魔族になる儀式を始めようか」
「ちょ、ちょっと落ち着いてください」
恍惚の表情を浮かべてのしかかってくるレーリオの胸を押す。
(皆が部屋からいなくなった意味が分かった気がします。レーリオ様の歯止めがきかないことを察したのですね)
有能な臣下たちだ。
普段はレーリオに軽口をたたいていても、本当に彼が望んだ時は決して邪魔をしない。
(ですが、昨夜に続いて……レーリオ様のお相手なんてできるでしょうか)
少し落ち着かせないと本当に抱き潰されてしまいそうな気がして、エミリーはレーリオの胸を押しながら叫んだ。
「わ、わたくし、まずはお茶を飲みたいです! 喉が渇きました! ちょっとお茶をして落ち着きま、んんっ!」
その瞬間、ティーセットが現れたと思ったら、荒々しく唇を奪われ、口移しでお茶を飲まされる。
「ち、違う、ちがうのっ……と、とりあえず、飲みたい、とか……そういうのじゃ、なくて……んんっ」
「駄目だよ、エミリー。もう逃がさない」
「っ!」
唇を離したレーリオが笑った。湧き立つ魔力。ゆっくりと変わっていく見た目。そしてエミリーの体に巻きつくジェラティーナ。
その上、ここは魔王の城だ。いつもいる人の世界と時間の流れが違うこの空間で――彼が余裕を失っている。
絶対に魔族になるための一回分だけではすまないだろうと、エミリーは息を呑んだ。
「はい」
エミリーが頷くと、レーリオが――これが最後の抱擁とでもいうかのように前世の自分をもう一度強く抱き締めた。その瞳にはわずかだが涙が滲んでいる。
その姿を見て、少し胸が痛む。
(今は……。わたくしは生まれ変わってレーリオ様の側にいますが、ずっといられなかった……ずっと一人にしてしまっていたんですもの)
それはどれほどのつらさだろうか。千年という長きの間、レーリオが一人で何を思い、何を考え、苦しんだのか。その苦悩を本当の意味で理解することはできないだろう。
エミリーは胸元をぎゅっと掴んで、唇を引き結んだ。
(その千年の間――前世のわたくしの遺体は少しでも貴方の慰めになりましたか?)
エミリーは心の中で問いかけながら、レーリオの背中を見つめた。
「ああ、エミリー。鼻筋が通り、少し勝気そうな目。声は唄うように可愛らしく、背中から腰のラインは芸術だ。貴方の一挙一動すべてが私を魅了したよ。もう別れかと思うと寂しい」
「あはは、気持ち悪いです~。というより、しんみりした場の雰囲気をぶっ壊さないでください」
「凍らせてエミリーの体の時だけを止めて、貴方を見つめたり貴方の隣に眠る日は――つらいことのほうが多かったけど、それでもエミリーがいてくれて本当に良かったと思っている。だからこの千年を耐えられたんだ。生まれ変わってきてくれてありがとう。今度こそ絶対に離さないから、安らかに眠ってくれ」
亡骸に縋りついて泣いているレーリオを見て、ロレットがずばっと言い放つ。レーリオはまったく気にせず言葉を続けているが、エミリーはロレットを睨み、彼の手を小さく叩いた。
「ロレット様。少しお言葉が過ぎますよ」
「そうですか~? では、エミリーさんは今の主の言動を気持ち悪いとは思わないんですか? まったく? これぽっちも?」
「え、えっと……。確かに言葉選びに少々行きすぎな点は認めますけれど、わたくしはそんなにも愛していただけて嬉しいです。それに最後なのですから、レーリオ様の好きなようにお別れさせてあげてください」
ロレットと言い合っていると、レーリオが前世の自分の亡骸を棺の中に寝かせた。その瞬間、その棺を護るように二体の黒いドラゴンが寄り添う。
「え? ドラゴン? なぜ、ドラゴンが……」
「ご主人様の使い魔なので、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ、エミリー様」
「ええ、とてもいい子なんです」
突然現れたドラゴンにおののいていると、グレタとラウラが怖くないように手を握ってくれる。
(ドラゴンが使い魔だなんて、やはりレーリオ様は魔王なのですね)
彼が魔王なのはもちろん分かってはいるが、普段の穏やかで優しい彼はどうも魔王っぽくはないので、このように力を奮っているところを見ると改めて感心してしまう。
「エミリー。皆で一緒にお別れをしようか」
「はい」
レーリオのその言葉で、深呼吸をしてから棺の側に寄る。グレタとラウラ、ロレットも棺に跪き、花を手向けた。
記憶はあるが、前世の自分を見ていると不思議な気持ちになってくる。エミリーはそっと亡骸に触れた。
「わたくしはもう二度とレーリオ様から離れません。今回こそがすべての繰り返しの――本当の意味での終わりであり、最後の人生です。もう絶対にレーリオ様を一人にはしない。置いていったりなどしません。誓います。だから安心して眠ってくださいませ。今までありがとうございました」
誓いを込めた決意を口にして前世の自分の手を両手で握り、深々と頭を下げる。すると、その手の上にレーリオの手が重ねられた。そして力強く抱きしめてくれる。
「エミリー、ありがとう。前世の君の母君の想い、神々の想い。その者たちの想いよりも――私を選んだことを決して後悔させたりしない。必ず幸せにすると誓うよ。我が心は永遠にエミリーだけのものだ」
「レーリオ様」
「愛しているよ、エミリー。二度と離さない」
「ええ。もう離さないで」
かたく抱き合うと、棺の周囲に紫の炎が揺らめく。その瞬間、一瞬空間が歪んだ。
「きゃっ!」
「大丈夫だよ。我が魔界に葬るだけだから」
レーリオがそう言った途端、暗い闇がドラゴンと棺を呑み込んだ。二、三度瞬きをして目を擦ってみても、そこにはもう何もなかった。
(終わったのですね……)
いや、そうではない。これからが始まりなのだ。レーリオと共に歩んでいく始まり。エミリーはレーリオの手を握って微笑んだ。
「さて、レーリオ様。久しぶりに魔王城の中庭でお茶でもしましょう。わたくしたちの子についても詳しく聞かせてくださいませ」
「あの子に会いたいなら、すぐにでも呼びつけるよ。手伝うと言っておきながら未だに戻ってこないんだけど、エミリーが帰ってきたことを知らせたら、瞬く間に帰ってくるだろうから」
呆れたように溜息をつくレーリオに笑うと、彼がエミリーを抱き上げベッドに座らせた。そして目の前に跪く。
(レーリオ様……?)
「エミリーの望みをもっと聞かせて? エミリーの気持ち。私にしてほしいこと。欲しいもの。今のエミリーが何を嬉しく思って、何を大切にしているのか。全部全部教えてほしい」
「レーリオ様……」
「エミリーが望むのなら、私は世界中の金銀財宝でも集めてくるし、どんな大国だって滅ぼしてあげるよ。貴方が望むことはなんだってしてあげる。だから、教えて? エミリーは魔王妃となったのだよ。貴方は私の側で望むだけでいいんだ」
(望むだけで……?)
エミリーはレーリオの言葉に驚いた。
それではまるでエミリーが望めば、どれほど愚かなことでも、残虐なことでも成し遂げると言っているようなものではないか。
彼の極重の愛を受けながら、エミリーは心にかたく誓った。
(これからはさらに言葉選びには気をつけましょう)
うっかり何かをほしいと言ってしまったら、翌日には――いや、数分後には目の前にありそうだ。エミリーはレーリオの行動を予測して眩暈がした。
「レーリオ様。わたくしが望むのは平和です。貴方とグレタやラウラ、ロレット様やお母様やお兄様。お祖父様――皆と、平穏に暮らせる日常こそが大切なのです。なので、わたくしのためを思うならディフェンデレを今以上に平和で住みやすい国にしてくださいませ。あ、いいえ、訂正します。わたくしはディフェンデレの王太子妃。貴方は王太子です。貴方に望むだけではいけません。共によい国をつくっていきましょう。それがわたくしの願いです」
「仰せのままに」
そう言って恭しくエミリーの手を取るレーリオに微笑みかける。
ペルデレとディフェンデレが戦争をし、レーリオと二度と会えないと思った時は、生きている意味なんてないと思った。
エミリーが欲しいものはレーリオと一緒にいることのできる日常だ。レーリオから愛されて、共に幸せに暮らす穏やかで優しい日々。それに勝るものはない。
それはどんな金銀財宝よりも素晴らしい宝なのだ。
「愛しています、レーリオ様」
「私も愛しているよ。愛している。その美しい髪も可愛らしい顔も、美しい体も。髪の毛一本、爪の先だとて、すべて私のものだ」
「レーリオ様ったら……」
目に涙を浮かべながら、とても大真面目にそう言うレーリオにいけないと思いつつ、つい笑ってしまう。
ふと気がつくと、部屋の中には自分とレーリオだけで、ロレットもグレタもラウラもいなかった。
(あら、お茶の用意をしてくれに行ったのかしら?)
エミリーがぼんやりとそんなことを考えていると、突然押し倒された。
「え? レーリオ様?」
「ああ、私のエミリー。私だけの聖女だ。エミリーは奇跡なんだよ。尊い。尊すぎるよ。いつもいつも私はエミリーを想うだけで興奮してしまうんだよ。分かってる? 私のエミリー。ああ、もう本当にたまらないよ。感動だ。愛している。可愛い可愛い私だけの聖女。いや、女神だ。エミリーは女神。今後こそ、私は失敗しない。さあ、魔族になる儀式を始めようか」
「ちょ、ちょっと落ち着いてください」
恍惚の表情を浮かべてのしかかってくるレーリオの胸を押す。
(皆が部屋からいなくなった意味が分かった気がします。レーリオ様の歯止めがきかないことを察したのですね)
有能な臣下たちだ。
普段はレーリオに軽口をたたいていても、本当に彼が望んだ時は決して邪魔をしない。
(ですが、昨夜に続いて……レーリオ様のお相手なんてできるでしょうか)
少し落ち着かせないと本当に抱き潰されてしまいそうな気がして、エミリーはレーリオの胸を押しながら叫んだ。
「わ、わたくし、まずはお茶を飲みたいです! 喉が渇きました! ちょっとお茶をして落ち着きま、んんっ!」
その瞬間、ティーセットが現れたと思ったら、荒々しく唇を奪われ、口移しでお茶を飲まされる。
「ち、違う、ちがうのっ……と、とりあえず、飲みたい、とか……そういうのじゃ、なくて……んんっ」
「駄目だよ、エミリー。もう逃がさない」
「っ!」
唇を離したレーリオが笑った。湧き立つ魔力。ゆっくりと変わっていく見た目。そしてエミリーの体に巻きつくジェラティーナ。
その上、ここは魔王の城だ。いつもいる人の世界と時間の流れが違うこの空間で――彼が余裕を失っている。
絶対に魔族になるための一回分だけではすまないだろうと、エミリーは息を呑んだ。
0
お気に入りに追加
618
あなたにおすすめの小説
進学できないので就職口として機械娘戦闘員になりましたが、適正は最高だそうです。
ジャン・幸田
SF
銀河系の星間国家連合の保護下に入った地球社会の時代。高校卒業を控えた青砥朱音は就職指導室に貼られていたポスターが目に入った。
それは、地球人の身体と機械服を融合させた戦闘員の募集だった。そんなの優秀な者しか選ばれないとの進路指導官の声を無視し応募したところ、トントン拍子に話が進み・・・
思い付きで人生を変えてしまった一人の少女の物語である!
愛理の場合 〜レズビアンサークルの掟〜
本庄こだま
恋愛
美貌と妖艶。倒錯した性欲の覚醒。汚れた世界で信じられるものは、自分自身の“肉体”のみ……。
ウリ専レズビアンの「愛理」は、今宵も女を求めてホテル街に立ち、女に買われ、そして女に抱かれる。
ある夜、一人のレズナンパ師「恭子」に出会い「レズサークル」の乱交パーティーへと誘われた事から、愛理の運命の歯車が歪な音を立てて動き出すーー。
※この作品は過度な性描写があります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
※この作品には同性愛描写、ふたなりの登場人物等、アブノーマルな設定が登場します。苦手な方はご注意ください。
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
試される愛の果て
野村にれ
恋愛
一つの爵位の差も大きいとされるデュラート王国。
スノー・レリリス伯爵令嬢は、恵まれた家庭環境とは言えず、
8歳の頃から家族と離れて、祖父母と暮らしていた。
8年後、学園に入学しなくてはならず、生家に戻ることになった。
その後、思いがけない相手から婚約を申し込まれることになるが、
それは喜ぶべき縁談ではなかった。
断ることなったはずが、相手と関わることによって、
知りたくもない思惑が明らかになっていく。
逆襲妻~二股夫を追い出し若き社長を食らう
青の雀
恋愛
人形作家で主婦の美和子は、ある早朝奇妙な夢で目が覚める
顔はよくわからないが、体つきから明らかに若い男からの愛撫に身を蕩けさせられている夢
近頃、旦那とご無沙汰だからか、変な夢を見てしまったのだと思っていた
旦那の和男とは、いわゆる職場結婚で子供ができたことをきっかけとして、美和子は、人形作家としてデビューする
人形作りは、娘時代に趣味でやっていただけだったが、いわゆるプロはだしで当時から大勢のファンがいた
専業主婦にならず、家で仕事をする美和子は、子供を育てながら、和男の帰りを待っている
ある時、和男のワイシャツに口紅が付いていることに気づく
問い詰めると喧嘩に発展し、髪の毛を掴んでひっ張られる暴行を受ける
売り言葉に買い言葉で、和男はそのまま家を出ていってしまう
言いすぎたことを反省した美和子は、和男を迎えに行くべき、探しに行くが…和男が美和子の同期入社の女子社員と浮気している現場を目撃してしまう
悲しくて、つらくて、つい自分を慰める行為に夢中になる
そんなとき、偶然出会った若い男性に和男の不満をついこぼしてしまったことから急接近
その男性に手マンでイカされ、女としての自信を取り戻す
夫に復讐すべくある行動を起こす…
よくある話です
初夢にこんなストーリー性のある夢を見たことから書きます
裏切られたあなたにもう二度と恋はしない
たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。
あなたに相応しくあろうと努力をした。
あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。
なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。
そして聖女様はわたしを嵌めた。
わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。
大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。
その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。
知らずにわたしはまた王子様に恋をする。
冤罪! 全身拘束刑に処せられた女
ジャン・幸田
ミステリー
刑務所が廃止された時代。懲役刑は変化していた! 刑の執行は強制的にロボットにされる事であった! 犯罪者は人類に奉仕する機械労働者階級にされることになっていた!
そんなある時、山村愛莉はライバルにはめられ、ガイノイドと呼ばれるロボットにされる全身拘束刑に処せられてしまった! いわば奴隷階級に落とされたのだ! 彼女の罪状は「国家機密漏洩罪」! しかも、首謀者にされた。
機械の身体に融合された彼女は、自称「とある政治家の手下」のチャラ男にしかみえない長崎淳司の手引きによって自分を陥れた者たちの魂胆を探るべく、ガイノイド「エリー」として潜入したのだが、果たして真実に辿りつけるのか? 再会した後輩の真由美とともに危険な冒険が始まる!
サイエンスホラーミステリー! 身体を改造された少女は事件を解決し冤罪を晴らして元の生活に戻れるのだろうか?
*追加加筆していく予定です。そのため時期によって内容は違っているかもしれません、よろしくお願いしますね!
*他の投稿小説サイトでも公開しておりますが、基本的に内容は同じです。
*現実世界を連想するような国名などが出ますがフィクションです。パラレルワールドの出来事という設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる