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前世の亡骸とレーリオの思惑
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「さて、エミリー」
「きゃっ」
ぼんやりと眺めていると、突然レーリオが抱き締めてきた。驚いてしまい体を跳ねさせてしまうと、彼がとても嬉しそうに笑う。その姿はもうアルノルドだった。
「レーリオ様」
「これでエミリーは完全に私のものになれる。今から始めようか」
「え?」
(でも、それって交わりが必要なのですよね? 今からはさすがに……)
一歩後退り首を横に振ると、ロレットが「おやおや、では僕たちは下がっていますね~」と笑う。
その言葉にぎょっとした途端、グレタとラウラがエミリーをレーリオから引き剥がした。
「昨夜あんなにもエミリー様に無理を強いておいて今から? 神が許しても私たちが絶対に許しませんよ!」
「そうですわ! エミリー様に必要なのは休息です!」
「だが、疲労など私の魔力を与えれば癒えるが……」
「絶対になりません! 魔法で疲労をなくすのとのんびりと休息の時間を持つことは、まったく違うのです。これだからご主人様やロレットはいやだわ」
「あはは。とんだとばっちりです~」
(グレタ、ラウラ……)
頑として言い放つ二人を見て頼もしい侍女だと感動しながら、小さくショックを受けているレーリオの顔を見る。
その表情を見て少し胸が痛んでしまう自分は、つくづくレーリオに甘いなと思う。エミリーは自分自身に嘆息した。
「そういえば、魔力と血。あと精を受ける以外に魔族になれる方法はないのですか? わたくし、今交わりはできませんが、ほかの方法なら……」
「あるよ」
「あるのですか?」
ぱぁっと気持ちが明るくなる。
エミリーだとて、一刻も早く魔族となり正真正銘レーリオのものになりたいと思う気持ちは、レーリオに負けないくらいあるのだ。
ほかに方法があるなら、ぜひ試してみたい。
エミリーが喜ぶと、グレタとラウラが思いっきり首を横に振った。
「いけません、エミリー様!」
「確かに魔族を丸ごと喰らえば、人間は魔に堕ちます。けれど、それはいけません!」
「魔族を丸ごと喰らう?」
二人の言葉に目が点になる。呆然として彼女たちの言葉を復唱すると、レーリオがエミリーの肩を叩いた。そして大きく手を広げる。
「私はエミリーに文字通り喰べられても構わないよ」
「え……? い、いや! 絶対にいやです! そ、それにそんなことしたら、一緒に生きられないではありませんか!」
召し上がれとでも言わんばかりに迫ってくるレーリオから逃げて、グレタとラウラの背中に隠れる。その様子を見ながらロレットがずっと笑っている。
「そんなことはありませんよ~。主は魔族を統べる王です。人間に食べられたくらいでは死にません。魔力ですぐに元に戻れるので、喰べてあげたらどうですか~?」
「何を言うの、ロレット! エミリー様、よいですか。元々、人間を魔族にできるのは高位魔族のみです。私たちやロレットではできません」
「そうしたければ、己を喰らわすしかないのです。ある意味、最終手段です。だから、エミリー様がそんな方法を取る必要はないのですよ!」
グレタとラウラがそう言ってエミリーを守るようにレーリオとロレットの前に立ちはだかると、レーリオが笑った。
「冗談だよ。揶揄いすぎたかな? ごめんね、エミリー」
「……レーリオ様のばか。愛する人を喰べろだなんて、そのようなむごいことをよく言えますね」
「ごめんね、エミリー。私としてはエミリーの血と肉になるのは悪くないけど、それよりかは気持ちいいほうがいいよね。お詫びにたくさん気持ちよくしてあげるから今すぐ交わろうか」
「だから、今は無理だと言っているでしょう! レーリオ様のばか!」
とてもいい笑顔で「ばかって言うエミリー可愛い。もっと言って」と迫ってくるレーリオに首を横に振って胸を押す。すると、グレタが「あ!」と叫んだ。その声にびくっと体が跳ねてしまう。
「それよりも先に前世のエミリー様のご遺体を埋葬して差し上げないと。ご主人様ったらずっと寝室ごと凍らせて、たまに部屋にこもって泣いていらっしゃるのですもの。エミリー様は生まれ変わってこられたのですから、前世の器は埋葬して差し上げないと」
「えっ? 寝室ごと?」
「グレタ!」
グレタの言葉に目を見開くと、レーリオがグレタを睨みつける。
たまに泣いていたというところが恥ずかしかったのだろうか。それともいつまでも手放せなかったことを知られたくなかったのだろうか。
エミリーはレーリオの手を握った。
「グレタを叱るのはやめてくださいませ。それに、わたくしは嬉しいです。死後もそうやって大切にしてくれていたなんて、とても嬉しいです」
「エミリー……」
レーリオとかたく抱き合う。エミリーが自分の手で葬りたいと願うと、レーリオが小さく頷いて指を鳴らした。その瞬間、魔王城内のレーリオの部屋へと場が移る。
(いつも思いますが、個人が扱う転移魔法にしてはスケールが大きすぎるのです)
本来、その場にいた全員を一瞬で移動させるには大きな魔力が必要となる。だからその場合は転移の魔法陣を使うのだが、それを指先ひとつでやってのけるレーリオには驚きしかない。エミリーが驚いていると、彼がエミリーの手を引いた。
「エミリー。ここが私の部屋だよ」
「ええ、とても懐かしいですね。この黒一色でやや重苦しさがあるところ、好きでした」
「重苦しい?」
部屋全体が凍っているので寒いが、それ以外は何も変わらない。唯一、絨毯だけが鮮やかに赤く、それ以外はすべて黒なところ。レーリオが何も変わらないままエミリーを待っていてくれたことへの表れのような気がして、なんだかくすぐったい。
以前、この部屋でレーリオと過ごした時のことを思い出して、エミリーは頬を染めた。けれど、レーリオはエミリーと違って、とても沈んだ顔をしている。
「元気がありませんが、どうかしたのですか? やはり、前世のわたくしとお別れするのはいやですか? 申し訳ございません。浅慮でしたよね……」
亡骸を埋葬するということは、ある意味二度目の別れでもある。自分が生まれ変わってくるまで、彼にとってその亡骸がずっと心の拠り所だったのだ。
まだ時期尚早だったかと思い、レーリオに頭を下げようとすると、慌てて止められた。
「違うんだ! この部屋の内装をエミリーが重苦しいと言ったから……気に入らないのかと思って……。それだったらエミリー好みに内装を変えたいと思ったんだ」
その言葉にハッとする。
先程の自分の言葉が悪かったことに気づき、慌てて首を横に振る。
「いいえ、いいえ! そうではないのです! 言い方が悪かったです! わたくし、とてもこの部屋が好きです! だから変えないでください」
「本当に?」
「ええ!」
「ははっ、主はエミリーさんが絡むと弱すぎませんか? この部屋の内装のどこにライトさを感じるんですか? 重苦しいでしょう~」
笑うロレットを睨むと、ロレットは「黙ります~」と言ってまた笑う。
自分が絡むとレーリオは臆病だ。そうしたのは紛れもなく自分だろう。
エミリーはレーリオに微笑みかけて、彼の手を取った。
「レーリオ様。ロレット様なんて放っておいて、前世のわたくしに会わせてくださいませ」
「そうだね」
レーリオが頷いて、降りている天蓋のカーテンを上げる。すると、ベッドの中で自分が眠っていた。
その安らかな表情は、あの時――レーリオの腕の中で自分の選択に満足して逝ったのだということが再確認できる死に顔だった。
レーリオは部屋全体の凍結を解き、前世のエミリーを愛おしそうに抱き締め、「今までごめんね、ありがとう」と言い、口付けをした。
昔も今もこんなにも大切に愛されているのだと思うと嬉しい。けれど、こんなにも長い時間を一人で待たせていたのだと思うと張り裂けそうなくらい胸が痛かった。
この部屋に入るたびに、レーリオが後悔に苛まれたのではないかと心配になった。
「長い間、一人にしてしまってごめんなさい。これからはずっと側にいますから」
「エミリー」
レーリオがぎゅっと手を握ってくれる。エミリーはもう片方の手でその亡骸の腹に触れた。
「わたくし、レーリオ様との赤ちゃんを身ごもっていたのですよね?」
「うん。あの時、流し込んだ血と魔力。あとは精が――形となったのだと思う。彼はエミリーの体から取り出したあと、私の魔力で包んだがそれでもちゃんと育ってくれた」
そうか、無事に育ち産まれることができたのかとエミリーは安堵の息をついた。
そういえば、以前レーリオが言っていた。ディフェンデレの王族はエミリーの子孫でもあると――
その奇跡が起きたのは間違いなくレーリオの魔力が大きいゆえだろうが、すごく嬉しい。体にあった神力と神によりくだされた罰が、すべてを奪ってしまわなくて本当に良かった。
レーリオは一人ではなかった。
私たちの子が彼の側で彼の心に寄り添ってくれていたのだと思うと、胸が熱くなる。
「主がまた王室に入ると報告したら手伝うと言っていたので、そのうち帰ってくるんじゃないんですか~。すぐに会えますよ~」
「え? 生きているのですか?」
ロレットの言葉に驚いて、ロレットの両肩を掴む。すると、彼はいつものように飄々とした表情で笑った。
「ええ、もちろん。主の子ですから~。人間と共に生きることによって、人間の血が濃くなってきた魔族には寿命という概念が生まれてきましたが、最初のほうの王族は皆生きていますよ~。血が濃いので~」
「ちなみに、エミリーの母君の実家であるプロテッジェレ公爵家は我が王室と血が近い。魔族の血がエミリーにも流れているんだよ」
そう言って笑ったレーリオの表情に、肌が粟立つ。彼の強すぎる愛に身震いしてしまう。
彼がこの大陸を神から奪い、魔族と人間を共存させたのはこのためだったのだろう。
生まれ変わってきた時に、この体が魔族であれば都合がよい。そうでなくても、ここまで魔族が人間の中に混ざり合っていれば、魔族の血が流れている可能性は非常に高いだろう。
神々の干渉が完全になくなった今――以前より簡単に魔族になれるはずだ。
「きゃっ」
ぼんやりと眺めていると、突然レーリオが抱き締めてきた。驚いてしまい体を跳ねさせてしまうと、彼がとても嬉しそうに笑う。その姿はもうアルノルドだった。
「レーリオ様」
「これでエミリーは完全に私のものになれる。今から始めようか」
「え?」
(でも、それって交わりが必要なのですよね? 今からはさすがに……)
一歩後退り首を横に振ると、ロレットが「おやおや、では僕たちは下がっていますね~」と笑う。
その言葉にぎょっとした途端、グレタとラウラがエミリーをレーリオから引き剥がした。
「昨夜あんなにもエミリー様に無理を強いておいて今から? 神が許しても私たちが絶対に許しませんよ!」
「そうですわ! エミリー様に必要なのは休息です!」
「だが、疲労など私の魔力を与えれば癒えるが……」
「絶対になりません! 魔法で疲労をなくすのとのんびりと休息の時間を持つことは、まったく違うのです。これだからご主人様やロレットはいやだわ」
「あはは。とんだとばっちりです~」
(グレタ、ラウラ……)
頑として言い放つ二人を見て頼もしい侍女だと感動しながら、小さくショックを受けているレーリオの顔を見る。
その表情を見て少し胸が痛んでしまう自分は、つくづくレーリオに甘いなと思う。エミリーは自分自身に嘆息した。
「そういえば、魔力と血。あと精を受ける以外に魔族になれる方法はないのですか? わたくし、今交わりはできませんが、ほかの方法なら……」
「あるよ」
「あるのですか?」
ぱぁっと気持ちが明るくなる。
エミリーだとて、一刻も早く魔族となり正真正銘レーリオのものになりたいと思う気持ちは、レーリオに負けないくらいあるのだ。
ほかに方法があるなら、ぜひ試してみたい。
エミリーが喜ぶと、グレタとラウラが思いっきり首を横に振った。
「いけません、エミリー様!」
「確かに魔族を丸ごと喰らえば、人間は魔に堕ちます。けれど、それはいけません!」
「魔族を丸ごと喰らう?」
二人の言葉に目が点になる。呆然として彼女たちの言葉を復唱すると、レーリオがエミリーの肩を叩いた。そして大きく手を広げる。
「私はエミリーに文字通り喰べられても構わないよ」
「え……? い、いや! 絶対にいやです! そ、それにそんなことしたら、一緒に生きられないではありませんか!」
召し上がれとでも言わんばかりに迫ってくるレーリオから逃げて、グレタとラウラの背中に隠れる。その様子を見ながらロレットがずっと笑っている。
「そんなことはありませんよ~。主は魔族を統べる王です。人間に食べられたくらいでは死にません。魔力ですぐに元に戻れるので、喰べてあげたらどうですか~?」
「何を言うの、ロレット! エミリー様、よいですか。元々、人間を魔族にできるのは高位魔族のみです。私たちやロレットではできません」
「そうしたければ、己を喰らわすしかないのです。ある意味、最終手段です。だから、エミリー様がそんな方法を取る必要はないのですよ!」
グレタとラウラがそう言ってエミリーを守るようにレーリオとロレットの前に立ちはだかると、レーリオが笑った。
「冗談だよ。揶揄いすぎたかな? ごめんね、エミリー」
「……レーリオ様のばか。愛する人を喰べろだなんて、そのようなむごいことをよく言えますね」
「ごめんね、エミリー。私としてはエミリーの血と肉になるのは悪くないけど、それよりかは気持ちいいほうがいいよね。お詫びにたくさん気持ちよくしてあげるから今すぐ交わろうか」
「だから、今は無理だと言っているでしょう! レーリオ様のばか!」
とてもいい笑顔で「ばかって言うエミリー可愛い。もっと言って」と迫ってくるレーリオに首を横に振って胸を押す。すると、グレタが「あ!」と叫んだ。その声にびくっと体が跳ねてしまう。
「それよりも先に前世のエミリー様のご遺体を埋葬して差し上げないと。ご主人様ったらずっと寝室ごと凍らせて、たまに部屋にこもって泣いていらっしゃるのですもの。エミリー様は生まれ変わってこられたのですから、前世の器は埋葬して差し上げないと」
「えっ? 寝室ごと?」
「グレタ!」
グレタの言葉に目を見開くと、レーリオがグレタを睨みつける。
たまに泣いていたというところが恥ずかしかったのだろうか。それともいつまでも手放せなかったことを知られたくなかったのだろうか。
エミリーはレーリオの手を握った。
「グレタを叱るのはやめてくださいませ。それに、わたくしは嬉しいです。死後もそうやって大切にしてくれていたなんて、とても嬉しいです」
「エミリー……」
レーリオとかたく抱き合う。エミリーが自分の手で葬りたいと願うと、レーリオが小さく頷いて指を鳴らした。その瞬間、魔王城内のレーリオの部屋へと場が移る。
(いつも思いますが、個人が扱う転移魔法にしてはスケールが大きすぎるのです)
本来、その場にいた全員を一瞬で移動させるには大きな魔力が必要となる。だからその場合は転移の魔法陣を使うのだが、それを指先ひとつでやってのけるレーリオには驚きしかない。エミリーが驚いていると、彼がエミリーの手を引いた。
「エミリー。ここが私の部屋だよ」
「ええ、とても懐かしいですね。この黒一色でやや重苦しさがあるところ、好きでした」
「重苦しい?」
部屋全体が凍っているので寒いが、それ以外は何も変わらない。唯一、絨毯だけが鮮やかに赤く、それ以外はすべて黒なところ。レーリオが何も変わらないままエミリーを待っていてくれたことへの表れのような気がして、なんだかくすぐったい。
以前、この部屋でレーリオと過ごした時のことを思い出して、エミリーは頬を染めた。けれど、レーリオはエミリーと違って、とても沈んだ顔をしている。
「元気がありませんが、どうかしたのですか? やはり、前世のわたくしとお別れするのはいやですか? 申し訳ございません。浅慮でしたよね……」
亡骸を埋葬するということは、ある意味二度目の別れでもある。自分が生まれ変わってくるまで、彼にとってその亡骸がずっと心の拠り所だったのだ。
まだ時期尚早だったかと思い、レーリオに頭を下げようとすると、慌てて止められた。
「違うんだ! この部屋の内装をエミリーが重苦しいと言ったから……気に入らないのかと思って……。それだったらエミリー好みに内装を変えたいと思ったんだ」
その言葉にハッとする。
先程の自分の言葉が悪かったことに気づき、慌てて首を横に振る。
「いいえ、いいえ! そうではないのです! 言い方が悪かったです! わたくし、とてもこの部屋が好きです! だから変えないでください」
「本当に?」
「ええ!」
「ははっ、主はエミリーさんが絡むと弱すぎませんか? この部屋の内装のどこにライトさを感じるんですか? 重苦しいでしょう~」
笑うロレットを睨むと、ロレットは「黙ります~」と言ってまた笑う。
自分が絡むとレーリオは臆病だ。そうしたのは紛れもなく自分だろう。
エミリーはレーリオに微笑みかけて、彼の手を取った。
「レーリオ様。ロレット様なんて放っておいて、前世のわたくしに会わせてくださいませ」
「そうだね」
レーリオが頷いて、降りている天蓋のカーテンを上げる。すると、ベッドの中で自分が眠っていた。
その安らかな表情は、あの時――レーリオの腕の中で自分の選択に満足して逝ったのだということが再確認できる死に顔だった。
レーリオは部屋全体の凍結を解き、前世のエミリーを愛おしそうに抱き締め、「今までごめんね、ありがとう」と言い、口付けをした。
昔も今もこんなにも大切に愛されているのだと思うと嬉しい。けれど、こんなにも長い時間を一人で待たせていたのだと思うと張り裂けそうなくらい胸が痛かった。
この部屋に入るたびに、レーリオが後悔に苛まれたのではないかと心配になった。
「長い間、一人にしてしまってごめんなさい。これからはずっと側にいますから」
「エミリー」
レーリオがぎゅっと手を握ってくれる。エミリーはもう片方の手でその亡骸の腹に触れた。
「わたくし、レーリオ様との赤ちゃんを身ごもっていたのですよね?」
「うん。あの時、流し込んだ血と魔力。あとは精が――形となったのだと思う。彼はエミリーの体から取り出したあと、私の魔力で包んだがそれでもちゃんと育ってくれた」
そうか、無事に育ち産まれることができたのかとエミリーは安堵の息をついた。
そういえば、以前レーリオが言っていた。ディフェンデレの王族はエミリーの子孫でもあると――
その奇跡が起きたのは間違いなくレーリオの魔力が大きいゆえだろうが、すごく嬉しい。体にあった神力と神によりくだされた罰が、すべてを奪ってしまわなくて本当に良かった。
レーリオは一人ではなかった。
私たちの子が彼の側で彼の心に寄り添ってくれていたのだと思うと、胸が熱くなる。
「主がまた王室に入ると報告したら手伝うと言っていたので、そのうち帰ってくるんじゃないんですか~。すぐに会えますよ~」
「え? 生きているのですか?」
ロレットの言葉に驚いて、ロレットの両肩を掴む。すると、彼はいつものように飄々とした表情で笑った。
「ええ、もちろん。主の子ですから~。人間と共に生きることによって、人間の血が濃くなってきた魔族には寿命という概念が生まれてきましたが、最初のほうの王族は皆生きていますよ~。血が濃いので~」
「ちなみに、エミリーの母君の実家であるプロテッジェレ公爵家は我が王室と血が近い。魔族の血がエミリーにも流れているんだよ」
そう言って笑ったレーリオの表情に、肌が粟立つ。彼の強すぎる愛に身震いしてしまう。
彼がこの大陸を神から奪い、魔族と人間を共存させたのはこのためだったのだろう。
生まれ変わってきた時に、この体が魔族であれば都合がよい。そうでなくても、ここまで魔族が人間の中に混ざり合っていれば、魔族の血が流れている可能性は非常に高いだろう。
神々の干渉が完全になくなった今――以前より簡単に魔族になれるはずだ。
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