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第四章 女王
79.娘の変化と夫への苛立ち
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あの噴水に落ちた事件から、ベレニーチェが変なのです。何が変と言われれば、難しいのですけれど……。感覚的に変なのです。勿論、見た目は普通に見えるのですけれど……。
まずは、言葉遣いです。まだ6歳で拙い部分もあったのに、まるで大人のように、とても流暢に話すのです。言葉遣いは、まだ子供のようですが、たまに驚くほどに大人びた発言をすることもあるのです。
そして教えたこともないのに、王宮の料理人に引けを取らないくらいの料理やお菓子を作り出すのです。
ベレニーチェは、食い意地が張っているからと笑っていましたが、そんな事で教えてもいない料理を作れるものなのでしょうか? 料理長もとても驚いていましたし……。
それに、聞いたこともない料理名や調味料の名を口にし、その調味料や料理を作り出してしまいました。今まで口にした事のないような、味付けや食感に、わたくしだけじゃなく皆も驚いていました。
そういえば、マッティア様がベレニーチェが倒れた時、うわ言のように呟いた言葉が聞いたことのない言語だと申しておりました。……それは、これと関係があるのでしょうか?
「ベレニーチェは、あの事故の時に何かが……あったのでしょうか? 例えば……前世の記憶を思い出したとか……?」
わたくしの呟きに政務中のマッティア様や議官の方たちが、クスクスと笑い出しました。
わたくしはムッとして、執務机をバンっと叩き、つい反論してしまいました。
「笑っていますが、ではどうやって、最近のベレニーチェの行動を説明するのですか? 前世に異国の料理人だったと疑いたくなるような料理スキルなのですよ! 発言だって、たまに大人のような物言いをしますし」
「はっ、くだらない。女性は夢見がちだからいけないのです。異国の料理についての本でも読んだのでしょう。それに、ただ背伸びをしたい年頃なだけですよ」
マッティア様が、わたくしの話を一蹴してしまいました。わたくしは、そのマッティア様のご様子に苛立ちを覚えました。
どうせ、わたくしは夢見がちな女です。砂糖菓子のように甘い考えの女です。
「どうせ、わたくしは見た目通りの考えしか出来ない子供です」
「いえ、そこまでは言っていませんが……。ベアトリーチェ? 怒ったのですか?」
「別に怒ってなどいません。さあ、政務でもしましょう」
わたくしはマッティア様を睨みながら、政務に取り掛かりました。わたくしだとて、大人ですし女王という責任のある任についているので、お仕事中は感情的にはなりません……。けれど、嫌味くらいは言いたいのです。
いえ、嫌味だけでは気がすみません。ギャフンと言わせてやらないと……。……ですが、落とし穴を掘ると、わたくしが泣かされるだけですし……。
それに、ペガゾ様はマッティア様が怖いと言って、もう何も手伝ってくれなさそうですから、協力は望めそうにありません。
聖獣のくせに不甲斐ないことです。
…………一体どうしたら良いのでしょうか?
「どうすれば、マッティア様をギャフンと言わせられると思いますか?」
わたくしが、アニェッラとベルタに相談すると、またですか……と呆れた顔をされました。
「ここ数年、落ち着いていましたのに、また悪戯の虫でも騒いだのですか?」
「やめておいた方が良いですよ、どうせ泣かされるだけなのですから」
「だって、マッティア様ったら腹が立つような事ばかり言うのですよ! ギャフンと言わせてやらないと気がすみません」
「ベアトリーチェ様の趣味に口を出すつもりはありませんが、もう少し平和な趣味でも作って下さいな」
わたくしの憤慨に、2人は相手にしてくれません。毎回、失敗しているので、どうせ今回も成功しないと思われているのです………悔しいのです。
それに趣味って何ですか?
マッティア様をギャフンといわせる趣味……確かにもうそうなっているのかもしれません……成功しないので、満たされない趣味ですが……。
「では、閨で仕返しをして差し上げればよろしいのでは?」
「「「きゃあっ!」」」
またもや、突然の女官長に、わたくし達は驚いてしまいました。女官長は、何やら悪そうな笑みを浮かべておられます。
「閨で優位に立ち、陛下を泣かせてやれば宜しいのです」
簡単に言いますが、それこそ無理な話です。いつもいつもベッドの中で泣かされているのはわたくしの方です。マッティア様は最近特に意地悪になりましたし……。
そりゃあ、わたくしだとて一度くらいはマッティア様より優位に立ってみたいです……。ですが、いつも訳が分からなくなるのは、わたくしの方で、マッティア様はいつも余裕がありそうです。
「ですが……、わたくしには男性を悦ばせるテクニックなんて持ち合わせていません。いつもマッティア様のペースなのですもの……」
わたくしが恥ずかしそうに、ゴニョゴニョと呟くと、女官長が大丈夫ですと仰いました。
「私が持つ閨でのテクニックを、少しばかり伝授して差し上げましょう」
その言葉に、わたくし達3人は息をのみました。
それから、わたくしは女官長に教わることに致しました。かなり、恥ずかしいのですが、一度くらいベッドの中で主導権を握ってみるのも良いのかもしれません。
ですが、この方法は実は、かなり難しいのです。男女の交わりには快楽が伴いますが、そこに溺れてしまうと、結局いつも通りとなってしまいます。
わたくしが気をやらず、マッティア様の快楽をコントロールする……、口で言うのは簡単ですが、とても難しいのです。
女官長が教えて下さったのは、口でのやり方や女性上位での腰のつかい方です。口でやらされた事はありますが、気持ち良くさせられた事はありませんし、上に乗ってわたくしが動いても、マッティア様は余裕たっぷりの顔をされていました。
いつもいつも、わたくしだけが恥ずかしい思いをしている気が……。わたくしだとて、マッティア様に恥ずかしさを味わわせてみたいです。
「騎乗位で、男性の精を漏らさないように交わる事です。女王陛下が、陛下の絶頂をコントロールするのです。もうイカせてくれと言わせれば、こちらの勝ちです」
む、難しいのです……。
ですが、この方法だとマッティア様のご機嫌を損ねる事なく、マッティア様の泣き顔が見られそうです。
ですが、とても難しいのです。色々と教えて頂きましたが、どうも身についているとは思えません。……いいえ! 弱気になってはいけません! 恥ずかしい思いをして練習したのですから、わたくし絶対成し遂げてみせます。
「ベアトリーチェ様、あの本当に宜しいのですか? 私、どうも女官長に揶揄われているだけだと思うのですが……」
ベルタが、冷静になって下さいという顔をしています。
ですが、これ以外にマッティア様に勝つ方法が思いつきません。
「わたくし、絶対マッティア様を泣かせてみせるのです!」
「ですが、きっと泣かされるのはベアトリーチェ様の方ですよ」
「ふ、不吉な事を言わないでください!」
わたくしがそう言うと、ベルタは溜息を吐きました。
「まあ、一度経験してみないと分からない事もあるでしょう。ベアトリーチェ様は、今頭に血がのぼっている様なので……」
「ベルタ……?」
「明日の朝の結果報告を楽しみにしています。まあ、予想通りでしょうけれど」
そう言って、ベルタはわたくしの夜の準備をして去って行きました。今日は、わたくしの部屋でマッティア様をお招きするのです。
ここ何年も、マッティア様の部屋でばかりなので、たまには雰囲気を変えてみるのも良いですし……、それに催淫作用のあるお香も焚いてみたのです。
「何やら、不思議な香りがしますね」
部屋に入ってくるなり、マッティア様がそう仰ったので、わたくしは嬉しさのあまり頷きました。
「女官長に教えて頂いたのです。リラックス作用があるそうですよ。いつも、マッティア様はお仕事ばかりしていますから……」
「ありがとうございます、ベアトリーチェ。昼間、拗ねていたようですが、機嫌はなおったのですか?」
「ええ」
なおっていません。
ふふっ、わたくしの嘘にマッティア様は、喜んでいます。こういうところは、チョロイのですけれど……。
「ベアトリーチェ……」
マッティア様がわたくしの腰を引き寄せ、艶っぽい声で、わたくしの名を呼びました。それだけで、体の中から何かが湧き上がってくるような変な感覚が致します。
マッティア様が、わたくしを片手で抱き上げ、口付けをしながら、胸に手をのばしたので、わたくしは慌ててマッティア様を止めました。
「ま、待って下さい! 今日はわたくしが致します!」
「ベアトリーチェが?」
マッティア様が、とても驚いています。わたくしは恥ずかしいという気持ちを何とか抑え込み、ベッドに腰掛けているマッティア様の足の間に座り込みました。
「ベアトリーチェ、本当に?」
「本当です! わたくしだって、たまにはマッティア様に気持ち良くなって頂きたいのです。いつもわたくしばかりでは……何やら悪いですし……」
わたくしの言葉にマッティア様が感動しています。そして、床に座り込んでいるわたくしを突然抱き上げました。
「ま、待って下さい! 今日はわたくしが……」
「分かっていますが、せめてベッドの上で……。床に座ったままだと、体が冷えてしまいますよ」
そう言って、マッティア様が優しく微笑み、わたくしの髪を撫でました。その気遣いに、少し心がチクリと痛みました。
まずは、言葉遣いです。まだ6歳で拙い部分もあったのに、まるで大人のように、とても流暢に話すのです。言葉遣いは、まだ子供のようですが、たまに驚くほどに大人びた発言をすることもあるのです。
そして教えたこともないのに、王宮の料理人に引けを取らないくらいの料理やお菓子を作り出すのです。
ベレニーチェは、食い意地が張っているからと笑っていましたが、そんな事で教えてもいない料理を作れるものなのでしょうか? 料理長もとても驚いていましたし……。
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「ベレニーチェは、あの事故の時に何かが……あったのでしょうか? 例えば……前世の記憶を思い出したとか……?」
わたくしの呟きに政務中のマッティア様や議官の方たちが、クスクスと笑い出しました。
わたくしはムッとして、執務机をバンっと叩き、つい反論してしまいました。
「笑っていますが、ではどうやって、最近のベレニーチェの行動を説明するのですか? 前世に異国の料理人だったと疑いたくなるような料理スキルなのですよ! 発言だって、たまに大人のような物言いをしますし」
「はっ、くだらない。女性は夢見がちだからいけないのです。異国の料理についての本でも読んだのでしょう。それに、ただ背伸びをしたい年頃なだけですよ」
マッティア様が、わたくしの話を一蹴してしまいました。わたくしは、そのマッティア様のご様子に苛立ちを覚えました。
どうせ、わたくしは夢見がちな女です。砂糖菓子のように甘い考えの女です。
「どうせ、わたくしは見た目通りの考えしか出来ない子供です」
「いえ、そこまでは言っていませんが……。ベアトリーチェ? 怒ったのですか?」
「別に怒ってなどいません。さあ、政務でもしましょう」
わたくしはマッティア様を睨みながら、政務に取り掛かりました。わたくしだとて、大人ですし女王という責任のある任についているので、お仕事中は感情的にはなりません……。けれど、嫌味くらいは言いたいのです。
いえ、嫌味だけでは気がすみません。ギャフンと言わせてやらないと……。……ですが、落とし穴を掘ると、わたくしが泣かされるだけですし……。
それに、ペガゾ様はマッティア様が怖いと言って、もう何も手伝ってくれなさそうですから、協力は望めそうにありません。
聖獣のくせに不甲斐ないことです。
…………一体どうしたら良いのでしょうか?
「どうすれば、マッティア様をギャフンと言わせられると思いますか?」
わたくしが、アニェッラとベルタに相談すると、またですか……と呆れた顔をされました。
「ここ数年、落ち着いていましたのに、また悪戯の虫でも騒いだのですか?」
「やめておいた方が良いですよ、どうせ泣かされるだけなのですから」
「だって、マッティア様ったら腹が立つような事ばかり言うのですよ! ギャフンと言わせてやらないと気がすみません」
「ベアトリーチェ様の趣味に口を出すつもりはありませんが、もう少し平和な趣味でも作って下さいな」
わたくしの憤慨に、2人は相手にしてくれません。毎回、失敗しているので、どうせ今回も成功しないと思われているのです………悔しいのです。
それに趣味って何ですか?
マッティア様をギャフンといわせる趣味……確かにもうそうなっているのかもしれません……成功しないので、満たされない趣味ですが……。
「では、閨で仕返しをして差し上げればよろしいのでは?」
「「「きゃあっ!」」」
またもや、突然の女官長に、わたくし達は驚いてしまいました。女官長は、何やら悪そうな笑みを浮かべておられます。
「閨で優位に立ち、陛下を泣かせてやれば宜しいのです」
簡単に言いますが、それこそ無理な話です。いつもいつもベッドの中で泣かされているのはわたくしの方です。マッティア様は最近特に意地悪になりましたし……。
そりゃあ、わたくしだとて一度くらいはマッティア様より優位に立ってみたいです……。ですが、いつも訳が分からなくなるのは、わたくしの方で、マッティア様はいつも余裕がありそうです。
「ですが……、わたくしには男性を悦ばせるテクニックなんて持ち合わせていません。いつもマッティア様のペースなのですもの……」
わたくしが恥ずかしそうに、ゴニョゴニョと呟くと、女官長が大丈夫ですと仰いました。
「私が持つ閨でのテクニックを、少しばかり伝授して差し上げましょう」
その言葉に、わたくし達3人は息をのみました。
それから、わたくしは女官長に教わることに致しました。かなり、恥ずかしいのですが、一度くらいベッドの中で主導権を握ってみるのも良いのかもしれません。
ですが、この方法は実は、かなり難しいのです。男女の交わりには快楽が伴いますが、そこに溺れてしまうと、結局いつも通りとなってしまいます。
わたくしが気をやらず、マッティア様の快楽をコントロールする……、口で言うのは簡単ですが、とても難しいのです。
女官長が教えて下さったのは、口でのやり方や女性上位での腰のつかい方です。口でやらされた事はありますが、気持ち良くさせられた事はありませんし、上に乗ってわたくしが動いても、マッティア様は余裕たっぷりの顔をされていました。
いつもいつも、わたくしだけが恥ずかしい思いをしている気が……。わたくしだとて、マッティア様に恥ずかしさを味わわせてみたいです。
「騎乗位で、男性の精を漏らさないように交わる事です。女王陛下が、陛下の絶頂をコントロールするのです。もうイカせてくれと言わせれば、こちらの勝ちです」
む、難しいのです……。
ですが、この方法だとマッティア様のご機嫌を損ねる事なく、マッティア様の泣き顔が見られそうです。
ですが、とても難しいのです。色々と教えて頂きましたが、どうも身についているとは思えません。……いいえ! 弱気になってはいけません! 恥ずかしい思いをして練習したのですから、わたくし絶対成し遂げてみせます。
「ベアトリーチェ様、あの本当に宜しいのですか? 私、どうも女官長に揶揄われているだけだと思うのですが……」
ベルタが、冷静になって下さいという顔をしています。
ですが、これ以外にマッティア様に勝つ方法が思いつきません。
「わたくし、絶対マッティア様を泣かせてみせるのです!」
「ですが、きっと泣かされるのはベアトリーチェ様の方ですよ」
「ふ、不吉な事を言わないでください!」
わたくしがそう言うと、ベルタは溜息を吐きました。
「まあ、一度経験してみないと分からない事もあるでしょう。ベアトリーチェ様は、今頭に血がのぼっている様なので……」
「ベルタ……?」
「明日の朝の結果報告を楽しみにしています。まあ、予想通りでしょうけれど」
そう言って、ベルタはわたくしの夜の準備をして去って行きました。今日は、わたくしの部屋でマッティア様をお招きするのです。
ここ何年も、マッティア様の部屋でばかりなので、たまには雰囲気を変えてみるのも良いですし……、それに催淫作用のあるお香も焚いてみたのです。
「何やら、不思議な香りがしますね」
部屋に入ってくるなり、マッティア様がそう仰ったので、わたくしは嬉しさのあまり頷きました。
「女官長に教えて頂いたのです。リラックス作用があるそうですよ。いつも、マッティア様はお仕事ばかりしていますから……」
「ありがとうございます、ベアトリーチェ。昼間、拗ねていたようですが、機嫌はなおったのですか?」
「ええ」
なおっていません。
ふふっ、わたくしの嘘にマッティア様は、喜んでいます。こういうところは、チョロイのですけれど……。
「ベアトリーチェ……」
マッティア様がわたくしの腰を引き寄せ、艶っぽい声で、わたくしの名を呼びました。それだけで、体の中から何かが湧き上がってくるような変な感覚が致します。
マッティア様が、わたくしを片手で抱き上げ、口付けをしながら、胸に手をのばしたので、わたくしは慌ててマッティア様を止めました。
「ま、待って下さい! 今日はわたくしが致します!」
「ベアトリーチェが?」
マッティア様が、とても驚いています。わたくしは恥ずかしいという気持ちを何とか抑え込み、ベッドに腰掛けているマッティア様の足の間に座り込みました。
「ベアトリーチェ、本当に?」
「本当です! わたくしだって、たまにはマッティア様に気持ち良くなって頂きたいのです。いつもわたくしばかりでは……何やら悪いですし……」
わたくしの言葉にマッティア様が感動しています。そして、床に座り込んでいるわたくしを突然抱き上げました。
「ま、待って下さい! 今日はわたくしが……」
「分かっていますが、せめてベッドの上で……。床に座ったままだと、体が冷えてしまいますよ」
そう言って、マッティア様が優しく微笑み、わたくしの髪を撫でました。その気遣いに、少し心がチクリと痛みました。
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