鬼畜皇子と建国の魔女

Adria

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After Story

9.酔っ払い※

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 私がルキウスの過去話を肴に、気持ちよく酒を呑んでいるのに、ルキウスが突然口付け、押し倒してきたので、私は折角の美酒をこぼしそうになってしまった。



「あ、危ないだろう! この酒、美味いのだぞ!」
「酒くさい……其方、どれ程呑んだのだ?」
「む? ルキウスの話を聞いていたら気持ち良くなってきたのでな。酒を2、3瓶程呑んだだけだ。あ! 返せ! 何をするのだ!」



 私がヘラヘラ笑いながら、そう答えるとルキウスが私の酒を奪ったので、私はムッとしてしまった。



「この酔っ払いが。もう呑むことは許さぬ」
「チッ。大体、其方がバルバラに溺れているから、私の従属魔法がなくなった事にも気付けぬのだ。あの時、気付いていれば、20年も私を失う事などなかっただろうな。ま、色ボケの其方には到底、無理な話か」



 私がルキウスの下から抜け出て、ルキウスの肩に肘をかけ、ニヤニヤしながら、そう言うとルキウスに睨まれてしまった。



「別に間抜けに睨まれても怖くなどない」
「私はバルバラに溺れてなどいない。あの様なオモチャ以下に溺れたりなどする訳がないだろう」
「む?」
「私は安心しきっていたのだ。まさか、其方から従属の焼印が消える訳がないと高を括っていただけだ。そして、バルバラを構う度に其方が見せる表情に興奮していたので、予想もせぬ事にまで気が回っていなかったというのもあるな」



 いや、そんな変態報告を受けても嬉しくはない。興奮していて気付けませんでしたって、よくそのような恥ずかしい事を平然と言えたな。


 まあ、イレーニアの力が働いていたのだろう。イレーニアの算段の邪魔になっては困るからな。
 恐らく、気が回らないように、それに考えが至らぬように……。



「ルドヴィカ……私が溺れているのは其方だ」
「え? っ! んんっ……んぅ、っぁ」



 私がイレーニアの事を考えていると、突然そのような事を言われ、口付けられて、私は一気に酔いがまわってしまったようだ。顔が熱い……。




「さて、もう眠るとするか……」
「え!?」
「何だ? 酔っ払いは、さっさと寝ろ」
「ここはするところだろう! せぬのか? 子作り!」



 私がルキウスの背中にベッタリと引っ付き、そう言うと、腹に肘打ちを食らってしまった。



「最中に吐かれては災難だ。第一、そのように子作り子作りと喚く女を抱く気になどならぬ」
「む?」


 ルキウスは、そう言いながら流れるような速さで私をベッドに寝かせ、寝具を掛けた。


 以前のルキウスなら、このような鬱陶しい絡みをすれば、絶対に完膚なきまでに叩きのめされ、それから犯していただろうに……。
 酒を沢山呑んだ私の体調を気にして寝かせてくれるような奴ではなかった。



 本当に後悔して思い直したのだな……。
 以前なら、私に溺れているなどと言ってくれなかっただろうし。



 私はルキウスをチラッと見た。
 ルキウスは寝ずに何やら政務の続きをしているようだ。ベッドに腰掛け、ナイトテーブルで書類に目を通し、何かを書いている。



 私はあの程度で泥酔する程、酒が弱くはないのだが……。大体、少しの酒は男女間の良い点火剤だろう?
 私は其方に溺れていると言われた甘い雰囲気のまま、抱き合いたかったのだが、ルキウスはそうではないのか?



 ルキウスの過去の話を聞いて、どれ程までに私を愛してくれていたかが分かり、とても嬉しかったのに……今の気持ちのまま愛されたかったのに……。



 だが、今何を言っても酔っ払いの戯言だと思うのだろうな……。



 私は私に背を向けて政務をしているルキウスをジトッとした目で睨みながら、寝具を頭まで被った。



「………………」


 ……いや、大人しく眠る訳がないだろう!




「ルキウス……。なあ、ルキウス」
「うるさい。寝ろ」
「嫌だ。ルキウスの馬鹿者。女心のひとつも分からぬのか? 色ボケのくせに」


 私がルキウスの手の中の書類を奪い、処理済みと処理前の書類と、インクとペンを魔法で机まで移動させると、ルキウスに冷ややかな目で睨まれてしまった。




「それを返せ」
「嫌だ」


 私がルキウスが手にしていた書類をヒラヒラさせながら、舌を出し、挑発すると、ルキウスに射殺されそうな目で睨まれてしまった。



「ほう。それほど仕置きを受けたいらしいな」
「は? 仕置き?」



 私が首を傾げると同時に書類を持っている手が、ルキウスに引かれてしまった。



「また同じような愚かな悪戯をした時は、以前の夜のように仕置きをすると言ったであろう」
「以前の……夜……?」




 私は、ルキウスの言葉にハッとした。
 あの立て続けに何度もイカされたイキ地獄の事を言っているのか……。



「違う! 私は優しく……」
「愚か者に優しくしてやる必要などないだろう。クッ、余程啼かされたいらしい」



 耳元で変態と囁かれ、押し倒された時には、ルキウスは私の弁解を聞いてはくれなかった。


 違うのだ。私は甘い雰囲気で優しく抱き合いたかったのだ。決してキツい仕置きを受けたかった訳ではない。



 違うのだ─────!!









「ひあああっ……待っ、やめ、あっ、ああ……深っ、奥……深っ……も、いやだ……ああっ、あっ、奥っ……奥むりっ……やあああぁぁぁ!!」




 ルキウスは、ベッドの上で散々私をイカせた挙句、挿入した途端私を抱きかかえ、窓にもたれさせながら、私の膝を持ち抱えた状態で、私を犯した。
 体を持ち上げられ、両脚が宙に浮いた状態で犯されると、あまりにも深く入って子宮すら貫かれているようで気がおかしくなりそうだった。



「クッ、どうした? ルドヴィカはこの体位が好きだな……立ったまま、挿入されるとルドヴィカの好きな奥までよく届くだろう」
「違っ、お、おく、あああ、こんなのっ、変っ……おかしくなっ、ああ、また、イッてしまっ……あああ!! ルキッ、ルキ、ウスッ、奥、届きすぎっ……あひっ、んんあっ、またイッ、あああぁぁ!! ルキ、ウスッ、─────っ!」



 息がまともに出来ず、ただイカされ続け、苦しいのに、何故私の体はイッてしまうのだ……?
 もう感じているのか、苦しいのかすら、分からぬ程に櫓立やぐらだちで犯され続け、私はとうとう気を失ってしまった。





「…………ん?」
「ああ、やっと気付いたか……」
「ル……ルキウス……? っ!!?」



 ベッドの上で、目が覚めてルキウスに手を伸ばそうとした瞬間、私は驚愕した。




「なっ、何故……はいったままなのだっ!?」
「其方が突然気を失うからだ。目覚めるまで待ってやったのだから、感謝しろ」
「いや……それはそれでっ! あっ、動くなっ! ひゃっ、ああっ……っ、いやっ、やめっ、動くなっ!!」



 挿れたまま、目が覚めるまで大人しく待っているルキウスを想像するだけで笑えてはくるが、馬鹿にして笑ってやる程、余裕がないのが残念だ。




「ひうっ、あ、ああっ、やめ……いやだっ、ああっ! あっ、ああ、あああぁぁ!!」
「ルドヴィカ、イク時は報告してからイケと前に教えただろう」
「あひっ、すまぬ! イッた! イッてるからあぁぁぁ! も、やめっ……ゆっくり、ゆっくりしてっ、あああ! やぁっ、またイッ、─────っ!!!」



 その後も何度も何度も犯され続け、私はもうヘロヘロだった。それにしても、私だとて体力には自信があるが、普通に体を動かす体力とイク時に使われる体力が違うせいか、長時間イカされ続けると、もう指一本すら動かす余裕がないくらいヘロヘロになってしまう……。




 ルキウスは20年経ったと思えぬ体力と性欲だが……疲れないのだろうか?




「ひあっ、このっ……色ボケッ、そういうとこっ、なおせっ」
「良い度胸だ」
「ひぃっ!! かき混ぜるなっ、やめっ、ああっ! 奥、ぐりぐりするなっ……やあっ、やめっ、イッてしまっ、ルキ、ウスッ、あああっ!!!」



 その後、悪態を吐くたび、更に倍返しにされ、私は最終的に泣きながら、もうしませんと何度も泣いて謝らされるはめとなった。



 意地悪で乱暴な交わりではあるが、それでも以前に比べて格段に優しくなった……。私の限界を見極めているようだし……。



 だが、限界を見極める目を持っているせいか、ギリギリまでを求められ過ぎて、私はもう死にそうだ。
 泥のように眠れそうだ……というか眠りたい……。



 今宵の教訓は、酔っているからといって、ルキウスを揶揄からかう時は程々に、だな。



◆後書き◇

 従属魔法が消えた時に、何故ルキウスが気付いていなかったのかという貴重なご意見を頂きまして、作中でそれに触れて補足させて頂きました。
 ついつい忘れたり見落としたりしがちなので、そういうご意見を頂けるのは大変嬉しい事です。
 ありがとうございます。
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