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食べられました①
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「ねぇ、ちょっ……やめて。豹のまま、キスしない、でっ……あっ!」
彼の体を押して抵抗してみせるが、何処かでこの触れ合いを喜んでいる自分がいる。慰めでも、ひとときの戯れでも、構わない。今はただ彼の温もりに浸りたい。
「ふぁっ、あ、リ、リグニスッ」
舌の付け根からつーっと舐められ搦め取られ、チュッと軽く吸われて体が跳ねた。お互いの唾液を交わすように、口腔内を舐めまわされて、口の中から犯される感覚に体に熱が帯びていくのを感じる。
長いキスに頭がぼーっとしてくると、彼は自分が抵抗しないことが分かったのか、少しずつ舌を下にさげてきた。首筋から鎖骨へと這い、クリスティアーナのドレスの縁をぺろりとひと舐めし口に咥える。
「きゃっ!」
ぐいっと引っ張られた衝撃と共に、肌が突然外気に晒された。ドレスを引き裂かれたのだと分かり、クリスティアーナの体が強張ると宥めるようなキスが落ちてくる。
「クリスティアーナ。私が人の姿に戻らなかったのは我慢ができなかったからだ」
慌てて引き裂かれたドレスを掻き集め体を隠そうとしていると、彼が甘えるようにすり寄ってくる。そして首筋をねっとりと舐め上げられた。
「はぅっ」
「襲いたくなる劣情を抑えているのをクリスティアーナは知らないのだろうな。人の姿になれば、速攻で其方を犯してしまうぞ」
(え……?)
予想もしない言葉にぽかんとしてしまう。彼はそんなクリスティアーナを気にせずに「其方は可愛すぎるのだ。何度押し倒したいと思ったことか」と、ぶつぶつ呟いている。そして、耳朶に噛みついてきた。
「ぁう……っ、か、噛まないでっ」
「クリスティアーナが愚かなことを言うからお仕置きだ。知っているか、猫科の動物の性器には、陰茎棘がある。それを挿れたら、クリスティアーナはどのような反応をするのだろうな。獣の姿のまま犯してやろうか?」
「え?」
(棘……?)
彼の言葉に血の気が引いていく。慌てて首を横に振った。
「なら、良い子にしていろ。言っておくが、其方は私の婚約者だ。ほかの者になど嫁げるはずもない」
「は? 婚約者? 嘘よ!」
「嘘ではない。なんだ? 聞いていなかったのか?」
リグニスは十一年前――傷が治り家に帰った時に、正式に婚約を申し込んだと言った。そしてそれはちゃんと成されているとも言った。
(ひ、ひどい! それが本当ならどうして誰も教えてくれなかったのよ!)
「じゃあ、パーティーは? 婚約者ならエスコートするべきでしょう? 無視しておいて、よくそんなこと言えるわね」
「と言っても、私は騎士団長として陛下や殿下方をお守りする任務がある。仕事中に其方と話したり、ましてや踊れるわけなんてないだろう? その件に関しては君の父上には謝罪し許してもらっているが?」
こともなげに言い放つリグニスに唖然とする。クリスティアーナが固まっていると、リグニスが「分かったなら、お仕置きの続きをするぞ」と、またキスをしてきた。
つまり言葉が足りないリグニスや、おそらくリグニスから話を聞いていると信じてきって何も教えてくれない両親のせいで、クリスティアーナは長い間ずっと悩んできたのだ。
「なんなのよ……。私が悩みに悩みぬいた時間を返しなさいよ! 第一、謝罪するなら父にではなく私にでしょう!」
「……それもそうだな。すまない」
「そ、それに、そういうことがしたいなら、人の姿に戻りなさいよ! 私は獣姦なんて認めないわ!」
キスしてくるリグニスの顔を引っ叩く。突然叩かれて驚いている彼をきつく睨んで顔ごと背けると、彼は「そのうち戻る」とだけ言って、胸元を舐めてきた。
「っ! ちょっとやめてよ……!」
「無理だ、もう止められぬ」
そう言って、胸の曲線をなぞるように這うリグニスの舌に、肌が粟立つ。息を呑んだのと同時に、彼がクリスティアーナの胸の先端を咥えた。
「ああっ!」
舌先で包み込み、上顎で扱くように吸われると、経験したことのない感覚が体を包む。ざらざらした彼の舌が胸の先端を這うたびに、たまらなくなった。
「はぁ、っ……あっ、待っ、それだめぇ」
リグニスから逃れようと身を捩る。が、彼はクリスティアーナの上に覆い被さって夢中で胸の先端をしゃぶっていた。
そんな彼を張り倒してやりたい気持ちと愛おしいと思う気持ちが混ざり合う。ぎゅっと抱きつくと、甘噛みされた。
(あ、もう……こんなの……)
突然甘く歯を立てられ、もう片方の胸は肉球のついた手で器用に先端を転がされる。その事実がクリスティアーナをひどく混乱させた。
クリスティアーナが背中をびくびくと反らせると、さらに追い上げるように胸の先端を舌先で転がされ強く吸い上げられる。
「あんっ、ひぁ……っ」
漏れ出る声が恥ずかしくて手で自分の口を押さえる。快感に耐えていると、わずかに残っていたドレスが剥ぎ取られ、生まれたままの姿にされてしまう。
(どうしよう。どうしましょう……。そのうちっていつ人に戻ってくれるの?)
混乱しながら体を隠そうとすると、彼の熱い舌が胸の曲線をつーっとなぞり、ツンと胸の先端をつついた。体が跳ねると、胸の先端をくりくりと転がされて、何度もいやいやと首を横に振った。でも、与えられる快感からは逃げられない。
クリスティアーナの思考が甘く濁ってきた時、リグニスが体を下にずらしてきた。その動作にどくんと心臓が高鳴って体が強張る。それを分かっているのか、リグニスがペロペロと太ももを舐めた。初めは外側を舐めていた舌が、ゆっくりと内側にすべってくる。
閉じている脚を開けということなのだろう。それが分かってしまって、じわりと汗をかいた。その瞬間、リグニスがかぷりと足の指を甘噛みする。
「きゃあっ」
痛くはなかったが驚いて身を竦ませた隙をついて、彼が脚の間に体を滑り込ませた。
彼の体を押して抵抗してみせるが、何処かでこの触れ合いを喜んでいる自分がいる。慰めでも、ひとときの戯れでも、構わない。今はただ彼の温もりに浸りたい。
「ふぁっ、あ、リ、リグニスッ」
舌の付け根からつーっと舐められ搦め取られ、チュッと軽く吸われて体が跳ねた。お互いの唾液を交わすように、口腔内を舐めまわされて、口の中から犯される感覚に体に熱が帯びていくのを感じる。
長いキスに頭がぼーっとしてくると、彼は自分が抵抗しないことが分かったのか、少しずつ舌を下にさげてきた。首筋から鎖骨へと這い、クリスティアーナのドレスの縁をぺろりとひと舐めし口に咥える。
「きゃっ!」
ぐいっと引っ張られた衝撃と共に、肌が突然外気に晒された。ドレスを引き裂かれたのだと分かり、クリスティアーナの体が強張ると宥めるようなキスが落ちてくる。
「クリスティアーナ。私が人の姿に戻らなかったのは我慢ができなかったからだ」
慌てて引き裂かれたドレスを掻き集め体を隠そうとしていると、彼が甘えるようにすり寄ってくる。そして首筋をねっとりと舐め上げられた。
「はぅっ」
「襲いたくなる劣情を抑えているのをクリスティアーナは知らないのだろうな。人の姿になれば、速攻で其方を犯してしまうぞ」
(え……?)
予想もしない言葉にぽかんとしてしまう。彼はそんなクリスティアーナを気にせずに「其方は可愛すぎるのだ。何度押し倒したいと思ったことか」と、ぶつぶつ呟いている。そして、耳朶に噛みついてきた。
「ぁう……っ、か、噛まないでっ」
「クリスティアーナが愚かなことを言うからお仕置きだ。知っているか、猫科の動物の性器には、陰茎棘がある。それを挿れたら、クリスティアーナはどのような反応をするのだろうな。獣の姿のまま犯してやろうか?」
「え?」
(棘……?)
彼の言葉に血の気が引いていく。慌てて首を横に振った。
「なら、良い子にしていろ。言っておくが、其方は私の婚約者だ。ほかの者になど嫁げるはずもない」
「は? 婚約者? 嘘よ!」
「嘘ではない。なんだ? 聞いていなかったのか?」
リグニスは十一年前――傷が治り家に帰った時に、正式に婚約を申し込んだと言った。そしてそれはちゃんと成されているとも言った。
(ひ、ひどい! それが本当ならどうして誰も教えてくれなかったのよ!)
「じゃあ、パーティーは? 婚約者ならエスコートするべきでしょう? 無視しておいて、よくそんなこと言えるわね」
「と言っても、私は騎士団長として陛下や殿下方をお守りする任務がある。仕事中に其方と話したり、ましてや踊れるわけなんてないだろう? その件に関しては君の父上には謝罪し許してもらっているが?」
こともなげに言い放つリグニスに唖然とする。クリスティアーナが固まっていると、リグニスが「分かったなら、お仕置きの続きをするぞ」と、またキスをしてきた。
つまり言葉が足りないリグニスや、おそらくリグニスから話を聞いていると信じてきって何も教えてくれない両親のせいで、クリスティアーナは長い間ずっと悩んできたのだ。
「なんなのよ……。私が悩みに悩みぬいた時間を返しなさいよ! 第一、謝罪するなら父にではなく私にでしょう!」
「……それもそうだな。すまない」
「そ、それに、そういうことがしたいなら、人の姿に戻りなさいよ! 私は獣姦なんて認めないわ!」
キスしてくるリグニスの顔を引っ叩く。突然叩かれて驚いている彼をきつく睨んで顔ごと背けると、彼は「そのうち戻る」とだけ言って、胸元を舐めてきた。
「っ! ちょっとやめてよ……!」
「無理だ、もう止められぬ」
そう言って、胸の曲線をなぞるように這うリグニスの舌に、肌が粟立つ。息を呑んだのと同時に、彼がクリスティアーナの胸の先端を咥えた。
「ああっ!」
舌先で包み込み、上顎で扱くように吸われると、経験したことのない感覚が体を包む。ざらざらした彼の舌が胸の先端を這うたびに、たまらなくなった。
「はぁ、っ……あっ、待っ、それだめぇ」
リグニスから逃れようと身を捩る。が、彼はクリスティアーナの上に覆い被さって夢中で胸の先端をしゃぶっていた。
そんな彼を張り倒してやりたい気持ちと愛おしいと思う気持ちが混ざり合う。ぎゅっと抱きつくと、甘噛みされた。
(あ、もう……こんなの……)
突然甘く歯を立てられ、もう片方の胸は肉球のついた手で器用に先端を転がされる。その事実がクリスティアーナをひどく混乱させた。
クリスティアーナが背中をびくびくと反らせると、さらに追い上げるように胸の先端を舌先で転がされ強く吸い上げられる。
「あんっ、ひぁ……っ」
漏れ出る声が恥ずかしくて手で自分の口を押さえる。快感に耐えていると、わずかに残っていたドレスが剥ぎ取られ、生まれたままの姿にされてしまう。
(どうしよう。どうしましょう……。そのうちっていつ人に戻ってくれるの?)
混乱しながら体を隠そうとすると、彼の熱い舌が胸の曲線をつーっとなぞり、ツンと胸の先端をつついた。体が跳ねると、胸の先端をくりくりと転がされて、何度もいやいやと首を横に振った。でも、与えられる快感からは逃げられない。
クリスティアーナの思考が甘く濁ってきた時、リグニスが体を下にずらしてきた。その動作にどくんと心臓が高鳴って体が強張る。それを分かっているのか、リグニスがペロペロと太ももを舐めた。初めは外側を舐めていた舌が、ゆっくりと内側にすべってくる。
閉じている脚を開けということなのだろう。それが分かってしまって、じわりと汗をかいた。その瞬間、リグニスがかぷりと足の指を甘噛みする。
「きゃあっ」
痛くはなかったが驚いて身を竦ませた隙をついて、彼が脚の間に体を滑り込ませた。
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