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花びらの契約

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こんなに可愛いなら、もっと早くにこうしていれば良かった。
気を失った小山田を後ろ抱きにしてバスタブにつかりながら桐生は少なからず後悔していた。

これまで小山田がラットになった時は、形跡を残さないように気を付けながら、脆い人形を愛でるように抱いていた。
挿入もできるだけ負担が残らないように、一度で済ませていたが、今回はあらゆる意味で遠慮なしだった。

ラットの時も可愛いが、やはり小山田は小山田らしいのが一番可愛い――
桐生は腕の中の小山田を見つめる。
くたりと自分にもたれる小山田の体は、桐生の所業によって酷いことになっていた。
いたるところに散った花びら、湯に沈む赤く熟れた秘所だけではない。
小山田の唇も歯も舌も。鼓膜も網膜も、全部犯してやった。

これまでの反動のように、小山田の体には 桐生の印がこれでもかと刻まれていた。

そして湯船につかる今もまた。
桐生の舌が小山田の項をひと舐めすると、そこに唇を充てて強く吸い上げた。
唇が去った後には、新たに刻まれた印が現れた。

結局、小山田からは結婚の承諾は得られなかったが、桐生が好きだと小山田の口から言わせたし、小山田からのキスも もぎ取れたので、桐生は上機嫌だった。

小山田を抱きながら、風呂場の時計を見た。
顔合わせの時刻が迫っているのを確認した後、小山田に目を落としてふわりと笑った。

おまえがこれじゃ 今回は無理そうだな?と。
そして刻んだばかりの印に口づけを落としたのだった。

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