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桐生の悪戯

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無事に小山田を隔離室に連れてくることができた。
ベッドに横たえて、ブランケットをほどいてやる。
すると、小山田は はぁ…とため息のような息をたてると、すぐに両手を中心に持っていこうとした。
しかし そこに届く前に、桐生はその腕を捉えて小山田の上半身を引き起こした。

すると、はぁはぁと上気した顔を傾げながら小山田が小さい声をこぼした。

「あつ。・・・くるしい。・・・これ とる・・・。」

本格的なラットに陥った小山田は、どこか焦点が定まらない視線を首元に向けた。
そうだな、これは邪魔だ。
桐生は そんなふうに思いながら、黙って小山田の首からチョーカーを外してやった。

だが本当は、小山田にネックガードがあろうがなかろうがどちらでも良いことだった。
桐生自身がラットを起こして、小山田の中で射精してやる。
たったそれだけのことで終わる話だったからだ。


桐生もベッドに上がって、小山田の前に座った。
小山田の汗で湿ったジャケットとシャツを脱がせてやると、湿気を帯びた肌が空気に晒される。
空調管理の効いた隔離室の中でそれはあっという間に乾き、すぐにいつものさらりとした質感に戻った。

小山田の肌の手触りは、Ωの吸い付くような肌質とは違った。
性的なものをあまり感じさせない、健やかな肌に桐生は早速 唇を当てると、きつく吸い上げて印を付けた。
小山田の鎖骨の辺りに、また新しい赤い花びらが散った。
そうすることで、桐生は己で決めたルールを 破ったのだった。

これまで、桐生は小山田に性交の事実をあからさまに感じさせないように気を付けていた。
性的に奥手な小山田に、いきなりそれを突きつけることは酷だと思ったからだ。

最上位αとの行為に小山田の体はついていけず、その最後には気を失ってしまう。
それからしばらくして小山田が目覚めたときには、後孔内の処理は済まされ、身なりも整えられていた。
もちろん、体にうっ血痕などあるはずもなかった。…目に見える範囲では、であるが。

小山田がこの印に気が付いたらどんな顔をするのだろう…桐生はいたずらっぽく笑った。
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