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第二章 人間の国
第34話 ビビの事情
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「──話はわかった」
宿の一階にある食堂の一角。俺とアスカ、そしてヴィヴィアンは話合いをしていた。何故、彼女は俺達に付き纏うのか。その、大まかな理由は大体わかった。
強力な固有能力を持っているにも関わらず、ヴィヴィアンがぶつかった冒険者としての壁。それは、まさに俺達を仲間に欲しがっていた、理由その物だった。
「……これ以上、上のクラスに行く為には避けては通れない問題ですの」
岩壁の巨熊。
俺が倒したその存在こそが、ヴィヴィアンが仲間を欲する理由らしい。ヴィヴィアンは強力な固有能力を持っている。その威力は、恐らく中級魔法のそれか、それ以上。
しかし、岩壁の巨熊には魔法が効かない。流石に強力な能力だけあって、奴も無傷と言う訳にはいかないらしいが。だが、そもそも魔法自体を弾いてしまう岩壁の巨熊が相手では、ヴィヴィアンも殆どの魔力を使い尽くしてしまうそうだ。
そして、ヴィヴィアンは考えた。今後、同じ様な特徴を持つ魔物を相手にしないとは限らない。その可能性に気付き、彼女は一人で冒険者を続ける事に限界を感じ始めていたのだ。
「そこにタイミング良く、岩壁の巨熊を倒す様な新人冒険者が現れた……と言う事か。しかも、自分のユニークスキルすら知っている奴等と言う好条件付きで」
そりゃあ、仲間に誘いたくなるのもわからないでは無い。確かに、ヴィヴィアンにとっては都合の良い条件が揃っている。
「そう言う事ですわ」
ようやく、納得の行く説明が出来たのか、ヴィヴィアンはそう言って首を縦に降った。
「でも、どうしてそこまでして冒険者になりたいんだ? それも、身分を隠してまで……」
王女だと言う事がバレれば、何かしら面倒な事になる事くらいは予想が付く。しかし、せっかく強力な固有能力を持ちながら、それを使えないと言うのも勿体無い。何か、いい方法がありそうな気もしないではないのだが。だが、そんな俺の気遣いはヴィヴィアンの回答でかき消された。
「いずれ、固有能力の存在は公表するつもりですわ。ですが、それはまだ先の話……私が、冒険者として成功を遂げた後でないと意味がありませんの」
は?
どういう事だ?
固有持ちである事を公表すると言う事は、自らの身分を明かすと言う事だ。王家に連なる血筋であるという事を。しかし、何故、冒険者として成功した後である必要があるんだ。どうせ明かすなら、始めから公表した方が色々とやり易い。それに、王家の威厳だって保てる。やはり、ユニーク持ちは優れていると。
「どうやら、訳ありみたいだな……」
──この、ヴィヴィアンと言うお姫様。どうやら、何か深い事情を抱えている様だ。
宿の一階にある食堂の一角。俺とアスカ、そしてヴィヴィアンは話合いをしていた。何故、彼女は俺達に付き纏うのか。その、大まかな理由は大体わかった。
強力な固有能力を持っているにも関わらず、ヴィヴィアンがぶつかった冒険者としての壁。それは、まさに俺達を仲間に欲しがっていた、理由その物だった。
「……これ以上、上のクラスに行く為には避けては通れない問題ですの」
岩壁の巨熊。
俺が倒したその存在こそが、ヴィヴィアンが仲間を欲する理由らしい。ヴィヴィアンは強力な固有能力を持っている。その威力は、恐らく中級魔法のそれか、それ以上。
しかし、岩壁の巨熊には魔法が効かない。流石に強力な能力だけあって、奴も無傷と言う訳にはいかないらしいが。だが、そもそも魔法自体を弾いてしまう岩壁の巨熊が相手では、ヴィヴィアンも殆どの魔力を使い尽くしてしまうそうだ。
そして、ヴィヴィアンは考えた。今後、同じ様な特徴を持つ魔物を相手にしないとは限らない。その可能性に気付き、彼女は一人で冒険者を続ける事に限界を感じ始めていたのだ。
「そこにタイミング良く、岩壁の巨熊を倒す様な新人冒険者が現れた……と言う事か。しかも、自分のユニークスキルすら知っている奴等と言う好条件付きで」
そりゃあ、仲間に誘いたくなるのもわからないでは無い。確かに、ヴィヴィアンにとっては都合の良い条件が揃っている。
「そう言う事ですわ」
ようやく、納得の行く説明が出来たのか、ヴィヴィアンはそう言って首を縦に降った。
「でも、どうしてそこまでして冒険者になりたいんだ? それも、身分を隠してまで……」
王女だと言う事がバレれば、何かしら面倒な事になる事くらいは予想が付く。しかし、せっかく強力な固有能力を持ちながら、それを使えないと言うのも勿体無い。何か、いい方法がありそうな気もしないではないのだが。だが、そんな俺の気遣いはヴィヴィアンの回答でかき消された。
「いずれ、固有能力の存在は公表するつもりですわ。ですが、それはまだ先の話……私が、冒険者として成功を遂げた後でないと意味がありませんの」
は?
どういう事だ?
固有持ちである事を公表すると言う事は、自らの身分を明かすと言う事だ。王家に連なる血筋であるという事を。しかし、何故、冒険者として成功した後である必要があるんだ。どうせ明かすなら、始めから公表した方が色々とやり易い。それに、王家の威厳だって保てる。やはり、ユニーク持ちは優れていると。
「どうやら、訳ありみたいだな……」
──この、ヴィヴィアンと言うお姫様。どうやら、何か深い事情を抱えている様だ。
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