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第二章 人間の国
第29話 謎の美女
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「──ディ、深き森の大蛇!! ど、どうしてこんな場所に……!」
驚きの表情で、アスカは呟いた。
目の前では、その深き森の大蛇が、今にも金髪の美女に襲い掛かろうとしている。特に長く伸びた二本の鋭い牙は、毒か涎かすらわからない粘液が糸を引いて。
「……強いのか?」
端的に尋ねる。すると、アスカも簡潔に答えた。
「……A級。それも、本来この辺りには居ない筈の」
なるほど。A級か……力試しには丁度いい。問題なく倒せる様なら、A級の依頼でもこなせる筈だ。しかし、今はまず、目の前の女性を救出しないと。余り、時間の猶予は無さそうだ。
「この辺りに居ない筈の魔物か……だが、話は後だ。まずは、あの女を助ける……!」
森の樹を背に、深き森の大蛇から目を離せないまま、動けないでいるその女性。長い金髪に栗色の瞳。アスカよりは少し年上だろうか。スラッとした、長身の美女だ。人間なんて簡単に丸飲みしてしまいそうな巨大な蛇の魔物に、怯えた表情で──
──ん?
怯えた表情?
いや……違う!
たった今、気付いた。よく見ると、あれは怯えた表情なんかでは無い。どちらかと言うと、嫌悪感……まるで、気持悪い虫でも見る様な目だ。
何だか、様子がおかしい。そう思い、飛び出そうとした足を止めようとした矢先、その美女は乱心して叫び出した。
「嫌ああああああっ! 蛇ぃぃぃぃ…! こ、こっちに来ないでえぇぇぇぇぇっ!!」
悲鳴の様な叫び声と同時に、その美女の両手から放射状に炎の柱がうねり始めた。そして、その炎の柱が、深き森の大蛇を捕獲する様に絡み付く。ここまで熱気が伝わって来る、凄まじい程の高温。その炎が深き森《ディーペス》の大蛇を中心に幾重にも重なって交わり、収束していく。
《ギシャアアアアアアアアッ!!》
思わぬ反撃にあい、深き森の大蛇がのたうち回る。しかし、炎で拘束されているからなのか、殆どその場から動けない様だ。只、その場でもがき苦しんでいる。
「な、何だ……?」
思わず、声が零れた。
今、目の前で起こっている、この状況は何なんだ?
襲われていると思っていた美女が、まさかの反撃。しかも、とんでも無い威力の魔法を使って。あれは、明らかに初級魔法では無い。中級魔法? いや、上級魔法か?
既に、深き森の大蛇は炭の様に黒い物体に変わり果て、無残な姿を晒している。
「A級の魔物を一瞬にして消し炭だと……?」
そんな、俺の呟きにアスカが答えた。またも、驚きの表情に目を見開きながら……。
「──ユ、固有能力……」
驚きの表情で、アスカは呟いた。
目の前では、その深き森の大蛇が、今にも金髪の美女に襲い掛かろうとしている。特に長く伸びた二本の鋭い牙は、毒か涎かすらわからない粘液が糸を引いて。
「……強いのか?」
端的に尋ねる。すると、アスカも簡潔に答えた。
「……A級。それも、本来この辺りには居ない筈の」
なるほど。A級か……力試しには丁度いい。問題なく倒せる様なら、A級の依頼でもこなせる筈だ。しかし、今はまず、目の前の女性を救出しないと。余り、時間の猶予は無さそうだ。
「この辺りに居ない筈の魔物か……だが、話は後だ。まずは、あの女を助ける……!」
森の樹を背に、深き森の大蛇から目を離せないまま、動けないでいるその女性。長い金髪に栗色の瞳。アスカよりは少し年上だろうか。スラッとした、長身の美女だ。人間なんて簡単に丸飲みしてしまいそうな巨大な蛇の魔物に、怯えた表情で──
──ん?
怯えた表情?
いや……違う!
たった今、気付いた。よく見ると、あれは怯えた表情なんかでは無い。どちらかと言うと、嫌悪感……まるで、気持悪い虫でも見る様な目だ。
何だか、様子がおかしい。そう思い、飛び出そうとした足を止めようとした矢先、その美女は乱心して叫び出した。
「嫌ああああああっ! 蛇ぃぃぃぃ…! こ、こっちに来ないでえぇぇぇぇぇっ!!」
悲鳴の様な叫び声と同時に、その美女の両手から放射状に炎の柱がうねり始めた。そして、その炎の柱が、深き森の大蛇を捕獲する様に絡み付く。ここまで熱気が伝わって来る、凄まじい程の高温。その炎が深き森《ディーペス》の大蛇を中心に幾重にも重なって交わり、収束していく。
《ギシャアアアアアアアアッ!!》
思わぬ反撃にあい、深き森の大蛇がのたうち回る。しかし、炎で拘束されているからなのか、殆どその場から動けない様だ。只、その場でもがき苦しんでいる。
「な、何だ……?」
思わず、声が零れた。
今、目の前で起こっている、この状況は何なんだ?
襲われていると思っていた美女が、まさかの反撃。しかも、とんでも無い威力の魔法を使って。あれは、明らかに初級魔法では無い。中級魔法? いや、上級魔法か?
既に、深き森の大蛇は炭の様に黒い物体に変わり果て、無残な姿を晒している。
「A級の魔物を一瞬にして消し炭だと……?」
そんな、俺の呟きにアスカが答えた。またも、驚きの表情に目を見開きながら……。
「──ユ、固有能力……」
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