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第一次地球戦
4話 チカラが欲しいか?
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メーシャは触手に足を掴まれて海に引きずり込まれていた。
呼吸もできずどんどん暗くなる視界と、引っ張られて海水が体を撫でるような感覚だけで、もうどれだけ深くまで来たのか判断がつかない。時間感覚も無くなり、あれから何秒か、何十秒か、はたまた数分なのか…………。
『あ~あ……。食べようと思ったのに、食べられる側にまわるなんて』
なす術なく引っ張られることしかできないメーシャは、ぼんやりとそんな事を考えていた。
『こんな食べごたえあるヤツ陸上でも厳しい戦いになるのに、相手のフィールドにまで連れて来られるなんてさ。……あーし、このまま負けちゃうのかな』
走馬灯だろうか? 今までの思い出や経験が脳裏に浮かび上がってくる。
初めての記憶はコスプレ好きのママの要望で、3歳くらいの頃家族3人でコスプレ家族写真を撮った時だ。
ママが勇者で、パパは魔法使い、メーシャは僧侶だった。なぜ僧侶かと言うと、メイスが1番強そうだったから。
次に思い出すのは初めてゲームをした小学生の時だ。
アクションや魔法がド派手でカッコよく、ドラゴンや巨人、グリフォンにスライムと、見たこともない存在がその世界には息づいていた。
瞬く間に心をワシ掴みにされたメーシャは、格闘技や武道などを習い始め、その合間に魔法の練習も欠かさなかった。もちろん、魔法が発動することは無かったが、元々才能があったのか努力が実を結んだのか、身体能力が爆上がりして今では隣町まで名声が轟くメーシャ番長ちゃんだ。
他にもアミカとおそろっちのシュシュを買ったことや、山田さんの家のトイプードルと遊んだこと、パパママの研究所にお弁当を持って行ったらコールタールのようなコーヒーを出されたことを思い出した。
だが、ゲーマーなメーシャが最後に思い出したのはやはりゲームのこと。しかし、活力や知恵を授けてくれるものだ。
『…………えっ! ちょっと待って? よくよく考えたら、この黒いタコってモンスターっぽくね?! そう、昨日ゲームしてた時にちょうどこんな感じの……そうそう。ブラッククラーケンみたいな名前の中ボスが出てきたんよ。なんかアガってきたな。……でも、ブラッククラーケンってザコだったんよね。ブーメランとか魔法で全体攻撃して触手を減らして、出てきた本体を総攻撃で2ターンキル。
そう思うとなんだか今の状況にムカついてきたな。ヤレるか? ヤっちゃうか?!』
心なしか息苦しさを感じなくなったメーシャは、みなぎる闘志に身をまかせ、深海だというにもかかわらず臨戦体制に入ったのだった。メーシャは数々のゲームを経て身についた戦闘狂みたいなフシがあるのだ。
『いくら番長でも海では無力なの? ────否!!』
足に巻きつく触手を両手でグイッと引き寄せる。
「むしろ返り討ちにしてくれるわ!!!」
そして、弱肉強食をこのタコにわからせてやると言わんばかりに、豪快に目の前の触手にかぶり付いてやったのだ。
『いや、まっずい……』
渋柿の渋いところだけを抽出したようなエグ味と、えも言えぬ酸味とその中に潜むケミカルな甘味。そして追い討ちをかけるのが、鼻にまとわりつくような汚れた泥の混じった磯のかおり。
とうてい人間の食べられる代物じゃない。味に点数を付けるならマイナス100億点だ。
「なんか違うベクトルでムカついてきたな。食べ物のうらみ……なのかな? なんか覚醒しそうかも」
怒りが限界突破して逆に冷静になったメーシャ。今ならものすっごい回し蹴りがだせそうだ。
メーシャはどうやってこのタコをとっちめてやろうと考えていると、いきなり脳が振動するような感覚にみまわれる。
『──気に入った……! 望みを叶えてやろう』
どこからとも無く響いてくる声。
「……この流れの『どこで気に入ったの!?』ってのは一旦置いとくとして。これが噂の脳に直接語りかけるってやつか!!」
メーシャが『あっ、これゲームでよくあるやつ! めちゃ感動だし~!』としばらく浮かれていると、声の主は痺れを切らしたのか、言い方を変えつつ大きめの声で再びメーシャに問いかけてきた。
『…………チカラが、欲しくねえか?』
イライラこそして無いものの、声の主は『こんなはずじゃないんだけどなぁ』感が満載の雰囲気を漂わせている。
「その『チカラ』って今の状況からして、このタコをボコボコにできるようなやつ?」
『そうそうそうそう! ものわかりが良いじゃねーか! ……で、欲しいだろ? やっっぱ!』
初めて現地の人と話が通じた旅行者のごとく嬉しがる声の主。もし犬なら尻尾を乱舞させているに違いない。
「でも、なんであーしなの? てか話し方めっちゃラフだな」
こういうのは厳かなタイプか、欲望を隠さずめちゃくちゃ悪そうなタイプだと相場が決まっているが、どちらかと言うと……そう、どちらかと言うと声の主は悪そうなタイプになるんだろうか。
『喜べいろはメーシャ! お前は俺様のもつチカラに適性がある。半年前の番長戦をかぶりつきの特等席で見てたからまちがいない!!』
そう、声の主はウロボロスである。
ウロボロスは浜に打ち上げられた後、エネルギー体になって少し騒がしいとある建物にたどり着いた。そして、その建物というのが、山田たち不良生徒とメーシャが戦った学校なのだ。
メーシャの無双っぷりを目の当たりにしたウロボロスは、映画のラスト5分のどんでん返しを見る視聴者のごとく釘付けになり、気付けば主役を撮るカメラマンの距離感でメーシャの活躍を見ていたのだった。
「あぁ……やめとくわ」
そんなウロボロスのk熱意とはうらはらに、メーシャの答えは冷たかった。
『──なんで!? せっかくめちゃくちゃ良いタイミングで声かけたのに!』
宿題をきっちりすれば遊園地に連れて行ってくれるという約束をしたのに、ギリギリになってお父さんに『ゴールデンウィークに仕事が入った』と言われた時の小学生のテンションだ。
「タコ足も頑張れば解けるっしょ」
聞く耳を持たないメーシャにウロボロスは食い下がる。
『い~やいやいやいや! ちょい考えてみ? ここ水深何mだと思ってんだよ。タコ足をどうにかした所で、水面に戻ってこれんのか!?』
話しているあいだにもどんどん深く沈んでいっている。いくらメーシャと言えども戻るのは難しいだろう。
「チョウチンアンコウって持って帰って良いかな……? タコは美味しく無かったし」
目の前を泳ぐチョウチンアンコウにメーシャは目を奪われてしまう。なかなかのオオモノだ。
『──お願い聞いて!?』
「……聞いてるってば! つまり、あんたのそのチカラが無いと、水面に出る前に息が切れちゃうってことっしょ?」
チョウチンアンコウを一度は捕まえたものの、手が滑ってしまいメーシャは惜しくも逃げられてしまう。
「……でもさ、教えてないのに名前知ってるし、勝手にプライベート見てるし、断りにくい状況での押し売りするし、そもそもチカラっていうのが何なのかも教えてくれないんだから、怪しすぎて警戒されるのは当たり前じゃん」
『あ……………………ごめんなさい。ごもっともです。……言われてみれば悪役っぽいな。というかストーカーか』
ウロボロスは素直に反省した。
己を顧みる余裕が無かったのは事実だが、メーシャに気持ちよく能力継承を行いたかったはずなのに、今はむしろ不快にさせてしまっている。
『じゃあ改めて自己紹介から。……良いか?』
ウロボロスは気持ちを改め、メーシャに誠実な態度をとることにした。
「どうぞ」
『俺様はウロボロス。この世界とは違う、いわゆる異世界の龍神で、ヒトからデウスと呼ばれている』
「異世界!? イイね。そんで、ウロボロス……永遠とか無限とかの代名詞みたいに言われてる、尻尾をくわえてる龍だね」
『それでチカラなんだが、まず今メーシャが"呼吸できてる"のも、普通に"おしゃべりできてる"のも、"水圧の影響を受けてない"のもチカラの一部だ」
「ぁえ!? あ、そう言えばそうだね! 今ふつーに声だしてるもんね。それに、ここまで深かったら体ペチャンコになってるか。それはマジ感謝。あんがとね、デウス……だよね?」
ウロボロスはこのままではメーシャが命を失いかねないと判断し、メーシャが触手を噛むちょっと前から能力で守っていたのだ
『ああ』
「あ、でもそれって戦いに関係あんの?」
水圧から守り、呼吸ができるということは息や空気を操るのだろうか? しかし、それ自体があまり有効打になるとは思えない。
『……へへっ! 関係あるんだな~こ・れ・が!!』
ウロボロス、もといデウスは得意げにそう言った。チカラによほど自信があるのだろう。
「マジ!? えっと、呼吸でしょ? ……じゃあ、炎とか氷のブレス吐いたり? 空気っていうなら、真空波が出せたりすんの?!」
メーシャは夢にまで見た特殊能力に、もうワクワクが止まらない。
『まっやろうと思えばそれもできるぜ! ──だが!!』
「だが!?」
『俺様のチカラはそんなしょぼいもんじゃねえ。聞いて驚け……?
っていうか、今は能力が制限されてて一部しか発揮できねえんだが、それでもすごいのはすごいからガッカリしないでくれな。それと、今後上手くいけば能力を拡張したり強化したりできるからその点は……』
「──イイから早く、驚かせろし!!」
デウスの言い訳を一刀両断。メーシャは今 待てができるほどお利口さんではないのだ。
『あ、すまん。じゃあ……こほん! 言うぞ?』
「おけ! 聞く準備はできてるよ」
メーシャが息をのみ、デウスの言葉を聞き逃さないように集中する。
そして少しの静寂の後、デウスは神妙な声色でこう言った。
『俺様のチカラは奪うだ……!!!』
呼吸もできずどんどん暗くなる視界と、引っ張られて海水が体を撫でるような感覚だけで、もうどれだけ深くまで来たのか判断がつかない。時間感覚も無くなり、あれから何秒か、何十秒か、はたまた数分なのか…………。
『あ~あ……。食べようと思ったのに、食べられる側にまわるなんて』
なす術なく引っ張られることしかできないメーシャは、ぼんやりとそんな事を考えていた。
『こんな食べごたえあるヤツ陸上でも厳しい戦いになるのに、相手のフィールドにまで連れて来られるなんてさ。……あーし、このまま負けちゃうのかな』
走馬灯だろうか? 今までの思い出や経験が脳裏に浮かび上がってくる。
初めての記憶はコスプレ好きのママの要望で、3歳くらいの頃家族3人でコスプレ家族写真を撮った時だ。
ママが勇者で、パパは魔法使い、メーシャは僧侶だった。なぜ僧侶かと言うと、メイスが1番強そうだったから。
次に思い出すのは初めてゲームをした小学生の時だ。
アクションや魔法がド派手でカッコよく、ドラゴンや巨人、グリフォンにスライムと、見たこともない存在がその世界には息づいていた。
瞬く間に心をワシ掴みにされたメーシャは、格闘技や武道などを習い始め、その合間に魔法の練習も欠かさなかった。もちろん、魔法が発動することは無かったが、元々才能があったのか努力が実を結んだのか、身体能力が爆上がりして今では隣町まで名声が轟くメーシャ番長ちゃんだ。
他にもアミカとおそろっちのシュシュを買ったことや、山田さんの家のトイプードルと遊んだこと、パパママの研究所にお弁当を持って行ったらコールタールのようなコーヒーを出されたことを思い出した。
だが、ゲーマーなメーシャが最後に思い出したのはやはりゲームのこと。しかし、活力や知恵を授けてくれるものだ。
『…………えっ! ちょっと待って? よくよく考えたら、この黒いタコってモンスターっぽくね?! そう、昨日ゲームしてた時にちょうどこんな感じの……そうそう。ブラッククラーケンみたいな名前の中ボスが出てきたんよ。なんかアガってきたな。……でも、ブラッククラーケンってザコだったんよね。ブーメランとか魔法で全体攻撃して触手を減らして、出てきた本体を総攻撃で2ターンキル。
そう思うとなんだか今の状況にムカついてきたな。ヤレるか? ヤっちゃうか?!』
心なしか息苦しさを感じなくなったメーシャは、みなぎる闘志に身をまかせ、深海だというにもかかわらず臨戦体制に入ったのだった。メーシャは数々のゲームを経て身についた戦闘狂みたいなフシがあるのだ。
『いくら番長でも海では無力なの? ────否!!』
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「むしろ返り討ちにしてくれるわ!!!」
そして、弱肉強食をこのタコにわからせてやると言わんばかりに、豪快に目の前の触手にかぶり付いてやったのだ。
『いや、まっずい……』
渋柿の渋いところだけを抽出したようなエグ味と、えも言えぬ酸味とその中に潜むケミカルな甘味。そして追い討ちをかけるのが、鼻にまとわりつくような汚れた泥の混じった磯のかおり。
とうてい人間の食べられる代物じゃない。味に点数を付けるならマイナス100億点だ。
「なんか違うベクトルでムカついてきたな。食べ物のうらみ……なのかな? なんか覚醒しそうかも」
怒りが限界突破して逆に冷静になったメーシャ。今ならものすっごい回し蹴りがだせそうだ。
メーシャはどうやってこのタコをとっちめてやろうと考えていると、いきなり脳が振動するような感覚にみまわれる。
『──気に入った……! 望みを叶えてやろう』
どこからとも無く響いてくる声。
「……この流れの『どこで気に入ったの!?』ってのは一旦置いとくとして。これが噂の脳に直接語りかけるってやつか!!」
メーシャが『あっ、これゲームでよくあるやつ! めちゃ感動だし~!』としばらく浮かれていると、声の主は痺れを切らしたのか、言い方を変えつつ大きめの声で再びメーシャに問いかけてきた。
『…………チカラが、欲しくねえか?』
イライラこそして無いものの、声の主は『こんなはずじゃないんだけどなぁ』感が満載の雰囲気を漂わせている。
「その『チカラ』って今の状況からして、このタコをボコボコにできるようなやつ?」
『そうそうそうそう! ものわかりが良いじゃねーか! ……で、欲しいだろ? やっっぱ!』
初めて現地の人と話が通じた旅行者のごとく嬉しがる声の主。もし犬なら尻尾を乱舞させているに違いない。
「でも、なんであーしなの? てか話し方めっちゃラフだな」
こういうのは厳かなタイプか、欲望を隠さずめちゃくちゃ悪そうなタイプだと相場が決まっているが、どちらかと言うと……そう、どちらかと言うと声の主は悪そうなタイプになるんだろうか。
『喜べいろはメーシャ! お前は俺様のもつチカラに適性がある。半年前の番長戦をかぶりつきの特等席で見てたからまちがいない!!』
そう、声の主はウロボロスである。
ウロボロスは浜に打ち上げられた後、エネルギー体になって少し騒がしいとある建物にたどり着いた。そして、その建物というのが、山田たち不良生徒とメーシャが戦った学校なのだ。
メーシャの無双っぷりを目の当たりにしたウロボロスは、映画のラスト5分のどんでん返しを見る視聴者のごとく釘付けになり、気付けば主役を撮るカメラマンの距離感でメーシャの活躍を見ていたのだった。
「あぁ……やめとくわ」
そんなウロボロスのk熱意とはうらはらに、メーシャの答えは冷たかった。
『──なんで!? せっかくめちゃくちゃ良いタイミングで声かけたのに!』
宿題をきっちりすれば遊園地に連れて行ってくれるという約束をしたのに、ギリギリになってお父さんに『ゴールデンウィークに仕事が入った』と言われた時の小学生のテンションだ。
「タコ足も頑張れば解けるっしょ」
聞く耳を持たないメーシャにウロボロスは食い下がる。
『い~やいやいやいや! ちょい考えてみ? ここ水深何mだと思ってんだよ。タコ足をどうにかした所で、水面に戻ってこれんのか!?』
話しているあいだにもどんどん深く沈んでいっている。いくらメーシャと言えども戻るのは難しいだろう。
「チョウチンアンコウって持って帰って良いかな……? タコは美味しく無かったし」
目の前を泳ぐチョウチンアンコウにメーシャは目を奪われてしまう。なかなかのオオモノだ。
『──お願い聞いて!?』
「……聞いてるってば! つまり、あんたのそのチカラが無いと、水面に出る前に息が切れちゃうってことっしょ?」
チョウチンアンコウを一度は捕まえたものの、手が滑ってしまいメーシャは惜しくも逃げられてしまう。
「……でもさ、教えてないのに名前知ってるし、勝手にプライベート見てるし、断りにくい状況での押し売りするし、そもそもチカラっていうのが何なのかも教えてくれないんだから、怪しすぎて警戒されるのは当たり前じゃん」
『あ……………………ごめんなさい。ごもっともです。……言われてみれば悪役っぽいな。というかストーカーか』
ウロボロスは素直に反省した。
己を顧みる余裕が無かったのは事実だが、メーシャに気持ちよく能力継承を行いたかったはずなのに、今はむしろ不快にさせてしまっている。
『じゃあ改めて自己紹介から。……良いか?』
ウロボロスは気持ちを改め、メーシャに誠実な態度をとることにした。
「どうぞ」
『俺様はウロボロス。この世界とは違う、いわゆる異世界の龍神で、ヒトからデウスと呼ばれている』
「異世界!? イイね。そんで、ウロボロス……永遠とか無限とかの代名詞みたいに言われてる、尻尾をくわえてる龍だね」
『それでチカラなんだが、まず今メーシャが"呼吸できてる"のも、普通に"おしゃべりできてる"のも、"水圧の影響を受けてない"のもチカラの一部だ」
「ぁえ!? あ、そう言えばそうだね! 今ふつーに声だしてるもんね。それに、ここまで深かったら体ペチャンコになってるか。それはマジ感謝。あんがとね、デウス……だよね?」
ウロボロスはこのままではメーシャが命を失いかねないと判断し、メーシャが触手を噛むちょっと前から能力で守っていたのだ
『ああ』
「あ、でもそれって戦いに関係あんの?」
水圧から守り、呼吸ができるということは息や空気を操るのだろうか? しかし、それ自体があまり有効打になるとは思えない。
『……へへっ! 関係あるんだな~こ・れ・が!!』
ウロボロス、もといデウスは得意げにそう言った。チカラによほど自信があるのだろう。
「マジ!? えっと、呼吸でしょ? ……じゃあ、炎とか氷のブレス吐いたり? 空気っていうなら、真空波が出せたりすんの?!」
メーシャは夢にまで見た特殊能力に、もうワクワクが止まらない。
『まっやろうと思えばそれもできるぜ! ──だが!!』
「だが!?」
『俺様のチカラはそんなしょぼいもんじゃねえ。聞いて驚け……?
っていうか、今は能力が制限されてて一部しか発揮できねえんだが、それでもすごいのはすごいからガッカリしないでくれな。それと、今後上手くいけば能力を拡張したり強化したりできるからその点は……』
「──イイから早く、驚かせろし!!」
デウスの言い訳を一刀両断。メーシャは今 待てができるほどお利口さんではないのだ。
『あ、すまん。じゃあ……こほん! 言うぞ?』
「おけ! 聞く準備はできてるよ」
メーシャが息をのみ、デウスの言葉を聞き逃さないように集中する。
そして少しの静寂の後、デウスは神妙な声色でこう言った。
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