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第2話 変わろうと思ったわけ
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私のことをコソコソと(もはやコソコソじゃないときもあるが)監視しているのはさっきまで爽やかオーラを振りまきながら一軍女子に呼ばれていた伊東敬斗である。一応、家が隣同士の幼馴染だ。
幼少期は私は相当鈍臭かったらしく、いつも彼がフォローしてくれていた。勉強も運動も平均以下で自己肯定感も低かった私はもちろん友人なんて言える人はいなかった。それでも私に甘い家族と仲良くしてくれる敬斗がいたから、特に努力はせずにこのままでいいなんて思っていた。
そんな私だが、現在はそれなりの高校の特進クラスで順位もだいたい10番以内に入ってる。運動も苦手だったが、今はバドミントン部に所属し中学最後の県大会ではそれなりの成績をおさめている。
私が変われたのは中学1年生の冬のこと。
成績が悪かった私は教室で居残りをさせられていた。いつもは敬斗が助けてくれたが、
(今日は部活のミーティングがあるって言ってた)
プリントが終わった人から帰れるのだが、全く授業に追いつけてなかったため教室の中に1人取り残されていた。
「どうしよ…、」
「きゃはは!!まじでーー!、、あ…岩本じゃん」
同じバドミントン部に所属している一軍女子が教室にわらわらと入ってきた。
「あー、あれ?まだ居残りしてんの(笑)」
1人で居残りしている私を見て盛大に笑っている。
手元には全然進んでないプリントがある。
「あんたさ、1人じゃ何もできないわけ?いつもは敬斗君が助けてくれるもんねwww」
彼女たちが怖かった。私はバドミントン部でも皆の足を引っ張っている。監督は運動音痴な私にも配慮した内容の指導をしてくれるが、同時に申し訳無さをいつも感じていた。
「この際だから言わせてもらうけど、あんたただのお荷物だよ(笑)敬斗君も可哀想だからさ。正直迷惑だって」
「なぁんもできない出来損ないは、1人で教室の隅で静かにしてろよ!敬斗君に助けてもらおうとかそんなのおこがましすぎ」
私だって今、好きでここにいるわけじゃない。勉強だって一生懸命頑張ったのに、バドミントンだって、部活に入らなくてもいいならやってなかった!別に私だって頑張ってないわけじゃ…
「…っう……ッごめっ、…」
ポタポタと涙が自分の眼鏡を濡らしていく。ただただ悔しかった。こんなにもつまらない言い訳しか出てこない自分が。本当にひとりじゃ何もできないのだと。
「うわ…泣き出した、だる」
「もう帰ろ、敬斗君にはうちらからもう帰ってたよーって伝えてあげるから(笑)せいぜい1人で泣いてたら?」
----------------------------------------------------------------------------
静かになった教室でただ1人涙を流していた。
彼女たちが言ってることは何も間違っていない。敬斗君がいないと何もできないのは事実だ。いつも助けられてた。私はいつも頑張った気でいて、ホントは敬斗に甘えてただけなんだ。
そうだ……私はまだ“死ぬ気”で頑張ったことなんてなかった。
変わらないと。
もう、一人でも大丈夫って、敬斗に助けてもらわなくていいように。彼がもう私なんかを気にかけずに自由にいられるように。
今までごめんね。もう、、
「一人でもやっていける」
幼少期は私は相当鈍臭かったらしく、いつも彼がフォローしてくれていた。勉強も運動も平均以下で自己肯定感も低かった私はもちろん友人なんて言える人はいなかった。それでも私に甘い家族と仲良くしてくれる敬斗がいたから、特に努力はせずにこのままでいいなんて思っていた。
そんな私だが、現在はそれなりの高校の特進クラスで順位もだいたい10番以内に入ってる。運動も苦手だったが、今はバドミントン部に所属し中学最後の県大会ではそれなりの成績をおさめている。
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(今日は部活のミーティングがあるって言ってた)
プリントが終わった人から帰れるのだが、全く授業に追いつけてなかったため教室の中に1人取り残されていた。
「どうしよ…、」
「きゃはは!!まじでーー!、、あ…岩本じゃん」
同じバドミントン部に所属している一軍女子が教室にわらわらと入ってきた。
「あー、あれ?まだ居残りしてんの(笑)」
1人で居残りしている私を見て盛大に笑っている。
手元には全然進んでないプリントがある。
「あんたさ、1人じゃ何もできないわけ?いつもは敬斗君が助けてくれるもんねwww」
彼女たちが怖かった。私はバドミントン部でも皆の足を引っ張っている。監督は運動音痴な私にも配慮した内容の指導をしてくれるが、同時に申し訳無さをいつも感じていた。
「この際だから言わせてもらうけど、あんたただのお荷物だよ(笑)敬斗君も可哀想だからさ。正直迷惑だって」
「なぁんもできない出来損ないは、1人で教室の隅で静かにしてろよ!敬斗君に助けてもらおうとかそんなのおこがましすぎ」
私だって今、好きでここにいるわけじゃない。勉強だって一生懸命頑張ったのに、バドミントンだって、部活に入らなくてもいいならやってなかった!別に私だって頑張ってないわけじゃ…
「…っう……ッごめっ、…」
ポタポタと涙が自分の眼鏡を濡らしていく。ただただ悔しかった。こんなにもつまらない言い訳しか出てこない自分が。本当にひとりじゃ何もできないのだと。
「うわ…泣き出した、だる」
「もう帰ろ、敬斗君にはうちらからもう帰ってたよーって伝えてあげるから(笑)せいぜい1人で泣いてたら?」
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静かになった教室でただ1人涙を流していた。
彼女たちが言ってることは何も間違っていない。敬斗君がいないと何もできないのは事実だ。いつも助けられてた。私はいつも頑張った気でいて、ホントは敬斗に甘えてただけなんだ。
そうだ……私はまだ“死ぬ気”で頑張ったことなんてなかった。
変わらないと。
もう、一人でも大丈夫って、敬斗に助けてもらわなくていいように。彼がもう私なんかを気にかけずに自由にいられるように。
今までごめんね。もう、、
「一人でもやっていける」
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