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〈第11話〉晴明の再びのくちづけ※

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晴明からのくちづけは、最初は啄むようだったが、次第に深く、熱いものとなっていった。

そのくちづけに。琥珀は夢中になった。

(っはぁ…っ。熱いっ。頭がじんじんして…っ。何も考えられな…っ。)

『っはぁっ…晴明様、晴明様っ!』

そして。いつの間にか、その身体は熱くほてりだし。

(…何だか…。僕…っ変…。身体までじんじんして…っ。晴明さまもいつもと違う…。)

何もかもが琥珀には初めての経験だった。こんな、身体が熱くなる程のくちづけも、晴明のこんな表情も。

だがそれは晴明も同じだった。
琥珀に魅了されていた。
かつて、晴明がこれ程までに…。
我を忘れても良いと思える程に夢中になることはなかった。

晴明は、自分を抑えようとしながらも、その身体は歯止めがききそうになかった。

『食らい付くしたい!何もかも!!もう、何もかもを忘れ、琥珀を抱いてしまいたい!!』
晴明の欲望はいまにも火がつきそうな程、限界の状態で。

(…っはぁ。はぁっ。晴明…さま…。僕…っ。)

『こんなことでは、だめだ…!』
そう、思いつつも、震えながらも晴明に身をまかせ、必死でくちづけにこたえる琥珀の可愛らしさといったら…!

(っはぁ。っあ。晴明さま…っ。…晴明さまっ。)

…だが。
『…だめだ!!』
そう、言わんばかりに必死で晴明は堪えた。
そして。そっと琥珀から自らの身体を離すと、
「紅!紅!」
そう、何者かを呼びつけた。

(っえ?…紅?…誰?)

すると、そこには一匹の小さくも見目麗しいセキレイが現れた。
そして、そのセキレイは、今の琥珀にもはっきりと解る人の言葉で話した。

「何ですか、晴明様。もう、夕刻だというのに!ああ、こちらが先日から晴明様がしきりにおっしゃっていた琥珀様!それじゃ、ちょっと失礼いたします。」

(あっセキレイ。セキレイだ。…えっ?!)

と言うなり、その小さかったセキレイは、少し琥珀より年齢が少し上に見える人間の少年へと変わり、琥珀は、これも晴明の《術》なのかと、ただ驚いていたが、そんな琥珀のよこで
『紅』とよばれたセキレイ(今は、美しい少年へと変わっている。)と晴明は騒がしかった。

(…綺麗な人だなぁ…。でも、晴明さまとだいぶ親しいみたい…。)

晴明は、すっかり落ち着きを取り戻したかの様に
「何で、そんな姿をしているのだ…。」
とどこか紅を責めるそぶりだ。
それに対し。
紅も大人しくだまってはいない。。
「琥珀様と親しくなるためには、こちらの姿がよいかと。」

(…仲良くなれる?でもどうして晴明さま難しい顔されてるんだろう…。)

「それにしても…!」と苦虫を潰した様な表情になる晴明。
どうやら互いにまだまだ言い足りないことがあるようだったが、そんな、まだまだ続きそうな二人も、琥珀が。「あの…。」
そう、戸惑いがちに声をかけると途端に口論をやめた。

(あっ、まずかったかな…。)

そして。セキレイが化身した『紅』と呼ばれる美しい少年は琥珀に言う。

「はじめまして、琥珀様。今日より身のまわりのお世話をさせて頂きます。
ご紹介が先になってしまいましたが、改めまして。紅と申します。」
                                                     
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