上 下
7 / 20

16歳と18歳②

しおりを挟む
いきなりのキスに驚いたお義兄様が私を突き飛ばす。

「いたっ!」
と言うとお義兄様が

「あっ!ごごごめん!アリス!痛かった!?」
と助け起こす。
しかし赤くなり片目がぐるぐるしている。

「な、なんで?その…アリスは…」

「お義兄様のバカ!!私を逃げないでと言った癖に!逃げているのはお義兄様ですわ!!」
としがみつく。

「うっ!」

「あ、お腹大丈夫ですか?」
と殴られた箇所を撫でると

「……うう…」
と唸る。

「お義兄様…私は…お義兄様と結婚しますわ!」
と言うと驚きで片目が開くお義兄様は

「な、なんだって…!!?」
そして私はゴソゴソとポケットから木箱を取り出した。

「!!そ、それは!!僕の気持ち悪い髪の毛!!」
と自分の髪を自分で貶した!!

「そうです……。私はずっとこれを大切に持っていたんですよ!私の方が気持ちが悪いですわ!うふふ」
と言うとお義兄様が

「そんなことは…僕…僕なんて勝手にアリスの髪の毛を気付かないうちにちょっとだけ貰って持ってるんだ!僕の方が気持ち悪いよ!!」
と言った!何ですって!?本当にいつの間に!!

「まぁ私達とっても病んでおりますのね…お似合いですわ」
と言うとお義兄様は赤くなり

「気持ち悪く無いの?」
と言う。

「お義兄様の髪ですから気持ち悪くありませんよ?」
と言うと心臓を抑え出した。まさかそこも蹴られたのか?酷いことするわ!さっきの寮長!

「お義兄様大丈夫ですか?そこも蹴られました!?」
心臓をさすろうとすると手を掴まれた。

「違うよ…とっても熱くてドキドキしている。僕の愛するお人形さんから結婚したいなんて言われたんだ…!ほ、本当に結婚して一生側にいてくれるの?」
と言われ私は

「ええ、私はお義兄…レイモンド様のお人形ですもの。ちゃんと管理していただかないと困りますわ。好きな服も着ますし。ちゃんと大人しくお膝にも乗りますわ」
と言うとレイモンドは片目から涙した。

「きちんと目をお医者様に診せて下さいね」
と言うと

「治らないかもしれないよ?片目は嫌?」
と言われ

「片目にした人は誰ですか?」
と問い詰めてとうとう白状する。王族でこの学園に通う成績上位者のこの国の王子様らしい。たった一度…王子より上の点をとってしまったばかりに骨折や怪我を日常の苛めでハブられ一人で学園生活をして私にも嫌われたと思い込み家にも帰らなかったレイモンドは静かに一人で耐えていた。
片目は王子にやられた。
虐めがエスカレートしても相手が王子なので教師陣も黙っていた。レイモンドも爵位剥奪されたくなく思い通りに動かされた。

寮長や他の生徒達にもからかわれる生活を送っていたらしい。

「せめて相談してくれれば私はレイモンド様の味方だったのに!」
と悔しがると頭をポンポンされた。

「ありがとう…アリス…。大丈夫だよ。僕ずっとこんなこと慣れているんだ。昔からね。だから…優しくしてくれたお義父様やアリスは大好きなんだ…。こんなこと僕の人生で無かったから…

僕…人からきっと嫌われる星でも持っているんだ。だから皆から嫌われて…愛されることなんてないのが僕の普通なのに…本当に僕なんかと結婚していいの?」
私は涙を流し抱きついた。

「レイモンド様のお側にいられるならいいです!ちゃんとお世話してくださいね!私はレイモンド様が大好きですわ!!

卒業したら結婚して一緒に可愛い新しいお人形を作りましょう?」
と言うとレイモンドはその意味を理解して真っ赤になった。

「アリス!!ごめん!!人形だなんていつまでも言って…」

「いいんですよ。もう泣かないで一緒に遊びましょうね」
と言うとレイモンドは震えて抱きしめ

「うんっ!!うん!一緒にずっと遊ぼう!!ずっと無くさないよ!大切に扱うよ!!」
と暫くひんひんとレイモンドは泣きじゃくった。


それからレイモンドは少し変わった。
不気味な人形やらを首から下げて持ち歩いて私も同じようにそうして頭がおかしい奴等として学園中の噂になり始めた。

すれ違う人間には

「触れると死ぬ」
とボソリと言い身を守った。片目を潰したと思われる王子も君悪がりそれ以来近寄らなくなった。

ある日私はレイモンドにプレゼントした。

「これ!腕のいい職人に作ってもらったのよ!!」
と言い箱を渡す。レイモンドは不思議そうに箱を開けて

「ぎゃあああああ!!」
と叫んだ。

私はクスクス笑う。

「うう、驚いた…本物かと思ったよ…。何だ義眼か…よく出来てる」

「そうでしょう?目がいきなり復活したら皆きっと驚くわ!」
と言うとレイモンドは嬉しそうに義眼を嵌めてみる。

「どう?違和感ある?」

「ん…大丈夫…とても嬉しい…」
私が手鏡を渡すと何度も角度を変えて見ていた。

「凄い…僕の色…アリスの色…とても綺麗」
と喜ぶ。

「ふふ…良かった」
と私はレイモンドと手を繋ぎキスをする。
レイモンドは一旦ジョルジュの祖父の養子となり私と正式に結婚するために準備をすることになった。
ジョルジュも喜んで協力してくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【完結】帰れると聞いたのに……

ウミ
恋愛
 聖女の役割が終わり、いざ帰ろうとしていた主人公がまさかの聖獣にパクリと食べられて帰り損ねたお話し。 ※登場人物※ ・ゆかり:黒目黒髪の和風美人 ・ラグ:聖獣。ヒト化すると銀髪金眼の細マッチョ

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

執事が〇〇だなんて聞いてない!

一花八華
恋愛
テンプレ悪役令嬢であるセリーナは、乙女ゲームの舞台から穏便に退場する為、処女を散らそうと決意する。そのお相手に選んだのは能面執事のクラウスで…… ちょっとお馬鹿なお嬢様が、色気だだ漏れな狼執事や、ヤンデレなお義兄様に迫られあわあわするお話。 ※ギャグとシリアスとホラーの混じったラブコメです。寸止め。生殺し。 完結感謝。後日続編投稿予定です。 ※ちょっとえっちな表現を含みますので、苦手な方はお気をつけ下さい。 表紙は、綾切なお先生にいただきました!

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

最推しの幼馴染に転生できた!彼とあの子をくっつけよう!

下菊みこと
恋愛
ポンコツボンクラアホの子主人公と、彼女に人生めちゃくちゃにされたからめちゃくちゃに仕返したヤンデレ幼馴染くん(主人公の最推し)のどこまでもすれ違ってるお話。 多分エンドの後…いつかは和解できるんじゃないかな…多分…。 転生、ヤンデレ、洗脳、御都合主義なお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!

高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。

処理中です...