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悪役令嬢学園編
悪役令嬢は改めて自己紹介をする
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「あの、何だかよくわからないけど私のせい、だよね? ごめんねエルヴェラールちゃんと……マクレーン弟くん?」
「君ねぇ……まあいいや。僕はアルム=ルイス=マクレーン。一応よろしくね」
「ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕はレオン=カイル=ローゼンシュヴァリエ。この国の第三王子だ」
「僕はウィルム=ドーラ=マクレーン。できればあまり気安く話しかけないでほしいね」
「……」
一字一句違わず乙女ゲームの自己紹介シーンが実現した。
本来ならばこれは入学式前のオープニングイベントに組み込まれているシーンなのだが。
「ヴォルグ、自己紹介の流れみたいですよこれ」
「ああ。そうみたいだな。俺はヴォルグ=リタ=イズフェス」
ヴォルグ様はオープニングイベントでは自己紹介をせず、中庭で偶然出会った時にやっと名前を聞くことができる攻略対象ゆえか自己紹介がたった一言で終わった。
まあ、本来のセリフも「俺は……ヴォルグでいい」で終わってしまうのだが。
「改めまして、私はエルヴェラール=フィオン=インヴィディア。フローラさんに教えられるようなことは何一つありませんが仲良くしていただけると嬉しいです」
流れにそって私も自己紹介をしてみたのだがどこかで聞いたような自己紹介だった気がするのは気のせいだと思いたい。
「あら、そこで仲良く談笑している暇があるのかしら? ガイダンスまであと五分ですけれどそんなペースで歩いていては間に合いませんわよ」
金色の見事なドリルを両サイドに装備し、後ろの方にも小さなドリルをいくつも装備したいかにもな悪役顔をした令嬢がこちらを振り返って鼻で笑った。誰だこいつ。
「アルム、先ほどの質問にお答えします。あれがブーメランです」
「うん。なんかわかった気がする」
ガイダンスまであと五分しかないのであれば走りにくそうなヒールの高い靴を履いてゆったり歩いているドリル令嬢もこちらを気にしている場合ではないと思う。
「な、何ですの! ぶーめらん? 意味はわかりませんけれど何故だかとても苛立つ言葉ですわね」
「ねぇアルム、これが正しい宮廷言葉というやつでしょうか」
「うん。君のとは違ってイントネーションが板についてて完璧」
確かにそう思う。ドリル令嬢の宮廷言葉は日常的に使っているかのように流暢で見た目にも相まって悪役令嬢らしい。
しかし、私はこの世界のもとになったであろう乙女ゲームの悪役令嬢はエルヴェラールしか知らない。
もしかするとこのドリル令嬢はゲームのエルヴェラールの取り巻きか何かだったのかもしれない。
「二人とも、急ぐぞ」
「ほ?」
「は?」
ヴォルグ様が私とアルムを両脇に抱えて走り出した。
背中にはレオン殿下も背負われている。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよぉぉぉ!」
ドリル令嬢があっという間に遠くなってしまった。そしてガイダンスには余裕で間に合った。あと三分もある。
三人も抱えてたった二分で階段を二階分くだり体育館まで走るなんてなんて身体能力。
「何とか間に合ったな」
ヴォルグ様は息も乱さず汗一つもかかずに私たちをおろした。
「さすがヴォルグ。今日はいつもより揺れが少なくて快適だったよ」
「殿下は背中だったから……オェ、気持ち悪い」
お前ら毎回ヴォルグ様に抱えられてるのかよ。
「君ねぇ……まあいいや。僕はアルム=ルイス=マクレーン。一応よろしくね」
「ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕はレオン=カイル=ローゼンシュヴァリエ。この国の第三王子だ」
「僕はウィルム=ドーラ=マクレーン。できればあまり気安く話しかけないでほしいね」
「……」
一字一句違わず乙女ゲームの自己紹介シーンが実現した。
本来ならばこれは入学式前のオープニングイベントに組み込まれているシーンなのだが。
「ヴォルグ、自己紹介の流れみたいですよこれ」
「ああ。そうみたいだな。俺はヴォルグ=リタ=イズフェス」
ヴォルグ様はオープニングイベントでは自己紹介をせず、中庭で偶然出会った時にやっと名前を聞くことができる攻略対象ゆえか自己紹介がたった一言で終わった。
まあ、本来のセリフも「俺は……ヴォルグでいい」で終わってしまうのだが。
「改めまして、私はエルヴェラール=フィオン=インヴィディア。フローラさんに教えられるようなことは何一つありませんが仲良くしていただけると嬉しいです」
流れにそって私も自己紹介をしてみたのだがどこかで聞いたような自己紹介だった気がするのは気のせいだと思いたい。
「あら、そこで仲良く談笑している暇があるのかしら? ガイダンスまであと五分ですけれどそんなペースで歩いていては間に合いませんわよ」
金色の見事なドリルを両サイドに装備し、後ろの方にも小さなドリルをいくつも装備したいかにもな悪役顔をした令嬢がこちらを振り返って鼻で笑った。誰だこいつ。
「アルム、先ほどの質問にお答えします。あれがブーメランです」
「うん。なんかわかった気がする」
ガイダンスまであと五分しかないのであれば走りにくそうなヒールの高い靴を履いてゆったり歩いているドリル令嬢もこちらを気にしている場合ではないと思う。
「な、何ですの! ぶーめらん? 意味はわかりませんけれど何故だかとても苛立つ言葉ですわね」
「ねぇアルム、これが正しい宮廷言葉というやつでしょうか」
「うん。君のとは違ってイントネーションが板についてて完璧」
確かにそう思う。ドリル令嬢の宮廷言葉は日常的に使っているかのように流暢で見た目にも相まって悪役令嬢らしい。
しかし、私はこの世界のもとになったであろう乙女ゲームの悪役令嬢はエルヴェラールしか知らない。
もしかするとこのドリル令嬢はゲームのエルヴェラールの取り巻きか何かだったのかもしれない。
「二人とも、急ぐぞ」
「ほ?」
「は?」
ヴォルグ様が私とアルムを両脇に抱えて走り出した。
背中にはレオン殿下も背負われている。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよぉぉぉ!」
ドリル令嬢があっという間に遠くなってしまった。そしてガイダンスには余裕で間に合った。あと三分もある。
三人も抱えてたった二分で階段を二階分くだり体育館まで走るなんてなんて身体能力。
「何とか間に合ったな」
ヴォルグ様は息も乱さず汗一つもかかずに私たちをおろした。
「さすがヴォルグ。今日はいつもより揺れが少なくて快適だったよ」
「殿下は背中だったから……オェ、気持ち悪い」
お前ら毎回ヴォルグ様に抱えられてるのかよ。
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