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二章 初めての王都と父の実家

実践!スキル「通販」

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「スキル、つうはん通販

そう口にして前に手をかざす。

すると、目の前に薄ら空間の歪みのようなものが出てくる。
アイテムボックスだ。

「ここにおかねお金をいれて…」

そう言ってお金を掴み、アイテムボックスに収納すると周りから「おおっ!」と声が上がる。

「収納系スキルを見た事はあるが、空間に何か消えるってのは何度見ても不思議だな…!!」

父がそんな事を呟くが、私からしたら魔法とかスキルとかってのが全部不思議よ。


「そして、かうもの買う物えらんで…」


目の前に周りから見えない板のような画面を表示させ、あえて手で操作してるフリをする。この状態の時は操作内容を考えるだけでいいんだけど、何かいじってる感があった方が色々選んでるみたいに見えるんのでは?と思ってこういう形にした。
(個人的に目線だけで動かすよりなんとなくやりやすいってのもある)


「空中に何か見えているのかしら?」

「鑑定スキルもなんか空中に見える系じゃなかったか?」

と色々話しながら両親は不思議そうにこちらをみている。

伯父さんは両親とは違い落ち着いており、真面目な顔でじっとこちらを見ている。

(ちなみに祖父は遠くから目を細めて頑張ってこちらを見ている)

「…ふむ、本人にしか見えない商品が表示され、それを選択出来る式なのかな…?」

「たぶん…?」

多分ではなくそういう設定なのだが、初めて使うフリをしたいので言い切らないようにする。

「商品の名前とか値段が書いてるのかな?リリーちゃんは文字は読めるのかい?」

「数字は前に教えたけど、文字はまだ教えてないわ。」

「そうか…もう少し大きくならないと内容はわからないか…」

「どうしましょう。適当に買って変なものが出てきたりしたら大変だわ。」

などと母と伯父さんが色々と話し始めた。



私は早く話を進めたいので

もじ文字めないけど、しゃしん写真がついてるからだいじょうぶ大丈夫だよ!」

「「「しゃしん…?」」」

あっ…そっか、多分写真もないんだ。

「えっと…がついてる!」

「絵か。それはわかりやすくていいな!」

危ない危ない…。

「リリーちゃん、見たことあるものがもしあれば試しに何か購入してみてもらってもいいかな?食べ物のようなものがあればそれがいいかな」

「リリーこれべたことあるがするからってみる!」

と、空中にある画面をいじるフリをしつつ、商品選択して購入画面に進む。

支払いはアイテムボックスからで…と

お、よし、いけた。


えたよ!」

とアイテムボックスから買ったトマトを取り出すと、また周りから驚きの声があがる。


「おお…!!そこから出てくるんだな!これは…トマトか!!うまそう!!最近食べてなかったなー!!冷やして食べるか!!ちなみに俺は塩をかける派だ!」

パパンの食べ方の好みは聞いてないよ?

「すごいわリリー!!お買い物行かないですぐに買えるのは便利ね!他には何があるのかしら…!!」

そうなんですよママン!通販はマジ便利なのです!!

と、両親が呑気に話す中
伯父さんは1人真剣な顔をしていた…。

「トマトだと…。近年は魔物の被害でトマト農家が少なくなり、今では1つで銀貨1枚もするのに…。それに色ツヤも私が知ってるトマトに比べて段違いに良い…」

何かブツブツと呟いている。

「リリーちゃん、ちなみにこれは一個いくらだったかわかるかい?」

えっと…銅貨が2枚減ってるから2銅貨か。
多分日本円だと200円くらい。

ちょっと高いかな?と思ったけど銅貨より小さい貨幣がないのかも。

ちゃいろ茶色のおかねが2つなくなったよ!」

そういうと

「2銅貨だと!?…や…安すぎる…。昔の値段と変わらないじゃないか!」

と伯父が声を荒げた。

ちょっと高いかな?と思ったけどそうじゃないのか。

「これは…なかなかにやばそうなスキルだぞ兄貴。
どんな商品を買えるのか、制限はあるのか、本当に食べられるのか…など色々と検証する必要はありそうだが…
このスキルもちは商人はもちろん…貴族…ものによっては王族が欲しがるぞ。」

ひぇ…!貴族…!王族…!!

すると両親が

「リリーは俺が守るから大丈夫さ!」

「そうよ、私の両親にも協力してもらうから大丈夫よ!」

と自信満々に答えてくれる。

頼もしい両親だよ…好き…。


遠くからも「わしもリリーたんを守るぞ…!!」と祖父も叫んでる。

聞こえてるんだ、そこ。
てかリリーたんって、その顔でリリーたんって。いや、別にいいんだけど…うん。

そして離れたらちゃんと喋れるんだねお爺ちゃん。最初会った時に無口だったのは本当に我慢してたのか。


そんな様子をみた伯父さんが微笑みながら

「それもそうだな。Sランク冒険者に公爵家がついてれば大丈夫か。俺と親父も協力するしな。」

と言ってくれる。



ん…?

Sランク冒険者って父のこと??
まじか!!すごいな!!!


Sランク冒険者(多分最高ランクでは?)・公爵家・大手の商会がバックについてるって強すぎぃ…!!

この環境…本当に安心して色々できそう…!!
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