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二章 初めての王都と父の実家
カッツェ商会にて
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父に連れられ商会の中に入る。
「いらっしゃいま…せ!?!?」
入り口のそばにいた年配の店員さんがこちらを見て目を見開き、口を開けている。
「トム、兄貴か親父はいるか?」
「………」
父は固まってるトムという従業員さんに話しかけるが反応がない。
「おーい、トムー」
「……。」
「おーい、生きてるかー??」
「……坊っちゃん…!」
目の前で手を振りつつ話しかけ続け、どうにかトムさんの意識が戻った。
「お、動いた。トム、嫁と娘を連れてきたんだ!兄貴と親父に会わせたいんだが今いるか?」
「…会長は今仕入れで王都を離れていますが、明日こちらに戻る予定となっております。アラン様は今執務室におられるかと。
まったく坊っちゃんは急にいなくなったと思ったら…」
「あー、悪いがお小言はまた今度聞くよ!店で話してるのもあれだしな。兄貴のとこに行ってくるわ。」
と、父が話を遮って伝えた。
「失礼致しました。そうですね、アラン様に早くお会いになってきて下さい。メイサ、執務室でお茶を出来る準備をお願いしてもいいかい?」
トムさんがそう言うと近くにいた若い従業員の女の子はその指示を聞き、慌ただしく動き始めた。
---------
父に抱っこされ、商会の4階にある執務室に向かう。外から見た感じ5階建くらいの大きさの建物で中もかなり広い。
本当に大きい商会だなーっと思ってると執務室のような所の前に着いた。
父がコンコンと執務室の扉を叩き、返事を待たずに扉を開ける。
パパン、返事くらい待とうね。
「お邪魔するぞー!兄貴久しぶりだな!嫁と娘を連れてきたぞ!聞きたいことがあるんだ!」
と、部屋の奥にいる赤い髪で長髪のメガネをした、髪型以外は父とそっくりな人に話しかけた。
「は…??」
と伯父さんらしき人は驚いて、トムさんと同じように固まっていたが、少しして状況を理解したようだ。
「…はぁ。キース…お前はなんでいつもいきなりなんだ?数年前にいきなり消えたと思ったら今度は急に帰ってきて…。嫁と娘も連れてきたって、こちらも色々と準備があるんだぞ?そして親父も今いない。」
呆れてるのか怒ってのか…そんな様子で話し始めた。
「親父のことはトムに聞いた!明日帰ってくるんだろ?そしたら明日挨拶するさ!
あ、そうそう!俺結婚したんだ!美人な嫁だろ?兄貴の嫁さんも美人だけどマリーも負けてないぜ??それにうちの娘を見てくれよ!!めちゃくちゃ可愛いだろ??」
マイペースに話始める父に、叔父さんはまたか…という顔をする。
結婚したんだ!って結婚連絡いれてなかったの??娘もいるんだよ??
しっかりしてパパン。なんか伯父さんが可哀想になってくる。
このパパンの自由奔放さに慣れてるのか、諦めたように伯父さんが溜息をつきつつ話を進める。
「はぁ……相変わらずだな。
結婚したのも子供が出来たのも知ってるさ。シャロン公爵家の方からも正式に連絡がきたよ。
お前の事はいつ何をしでかすかわからないからうちの密偵にも調べさせてはいたが、まさか急に駆け落ちするとは…。
うちは規模が大きくともただの商会だ。公爵家相手に下手の事は出来ないんだぞ…。
今回は公爵様がお許しを出してくれたから良かったが、最悪うちの商会はなくなってたぞ?」
それはそうだ。
父の実家は貴族ではない。
貴族の、それも公爵家の娘と駆け落ちなど、普通は許される事ではないのだ。
「悪かったな兄貴!
まぁでも大丈夫だったろ?
俺が愛するマリーの実家だぞ?そんなことはしないさ!なぁ?」
と父は母に話をふった。
話をふられた母は伯父さんの方を向き、綺麗なお辞儀をしてから話し始めた。
「はじめまして、キースの妻のマリーと申します。今はただのマリーでございますので普通に対応していただければと。
キースの言った通り公爵家としては何の問題もございませんわ。
私は事前に家族の承諾はとっておりましたから。色々と事情があり、駆け落ちという形を取らざる終えませんでしたが。…ただ……」
そこまで言い、笑顔のまま父の方に向き直すママン。
「ただ?」
「あなた?先ほどの話を聞く限りご家族に私達の事を伝えていなかったように聞こえたんですが、これは一体どういう事かしら…?」
「いや、これは、その、親父達なら勝手に把握するかなって…ほら、うちの商会にも密偵みたいなのがいて簡単に調べられるし…?」
「そうですか…。
ねぇあなた、後でゆーーっくりとお話しましょう。」
そうパパンに言うママンの方から冷んやりとした空気が伝わってくる。
あ、これママン怒ってるやつや。
パパンが顔を青ざめてプルプルしてる。
すみませんね、伯父さん。
うちの父親がご迷惑をおかけしました…。
その後大人達で色々話をし、
とりあえず父のお父さん(私のお爺ちゃん)が今日いないということで、詳しい話はまた明日する事になった。
馬車旅で疲れてるしね。
幼女はそんなに体力がないので助かります!
商会を出て父のオススメという宿をとり、父が母にたっぷり怒られた後、3人で仲良く寝た。
疲れてるからぐっすりである。
おやすみなさい。
「いらっしゃいま…せ!?!?」
入り口のそばにいた年配の店員さんがこちらを見て目を見開き、口を開けている。
「トム、兄貴か親父はいるか?」
「………」
父は固まってるトムという従業員さんに話しかけるが反応がない。
「おーい、トムー」
「……。」
「おーい、生きてるかー??」
「……坊っちゃん…!」
目の前で手を振りつつ話しかけ続け、どうにかトムさんの意識が戻った。
「お、動いた。トム、嫁と娘を連れてきたんだ!兄貴と親父に会わせたいんだが今いるか?」
「…会長は今仕入れで王都を離れていますが、明日こちらに戻る予定となっております。アラン様は今執務室におられるかと。
まったく坊っちゃんは急にいなくなったと思ったら…」
「あー、悪いがお小言はまた今度聞くよ!店で話してるのもあれだしな。兄貴のとこに行ってくるわ。」
と、父が話を遮って伝えた。
「失礼致しました。そうですね、アラン様に早くお会いになってきて下さい。メイサ、執務室でお茶を出来る準備をお願いしてもいいかい?」
トムさんがそう言うと近くにいた若い従業員の女の子はその指示を聞き、慌ただしく動き始めた。
---------
父に抱っこされ、商会の4階にある執務室に向かう。外から見た感じ5階建くらいの大きさの建物で中もかなり広い。
本当に大きい商会だなーっと思ってると執務室のような所の前に着いた。
父がコンコンと執務室の扉を叩き、返事を待たずに扉を開ける。
パパン、返事くらい待とうね。
「お邪魔するぞー!兄貴久しぶりだな!嫁と娘を連れてきたぞ!聞きたいことがあるんだ!」
と、部屋の奥にいる赤い髪で長髪のメガネをした、髪型以外は父とそっくりな人に話しかけた。
「は…??」
と伯父さんらしき人は驚いて、トムさんと同じように固まっていたが、少しして状況を理解したようだ。
「…はぁ。キース…お前はなんでいつもいきなりなんだ?数年前にいきなり消えたと思ったら今度は急に帰ってきて…。嫁と娘も連れてきたって、こちらも色々と準備があるんだぞ?そして親父も今いない。」
呆れてるのか怒ってのか…そんな様子で話し始めた。
「親父のことはトムに聞いた!明日帰ってくるんだろ?そしたら明日挨拶するさ!
あ、そうそう!俺結婚したんだ!美人な嫁だろ?兄貴の嫁さんも美人だけどマリーも負けてないぜ??それにうちの娘を見てくれよ!!めちゃくちゃ可愛いだろ??」
マイペースに話始める父に、叔父さんはまたか…という顔をする。
結婚したんだ!って結婚連絡いれてなかったの??娘もいるんだよ??
しっかりしてパパン。なんか伯父さんが可哀想になってくる。
このパパンの自由奔放さに慣れてるのか、諦めたように伯父さんが溜息をつきつつ話を進める。
「はぁ……相変わらずだな。
結婚したのも子供が出来たのも知ってるさ。シャロン公爵家の方からも正式に連絡がきたよ。
お前の事はいつ何をしでかすかわからないからうちの密偵にも調べさせてはいたが、まさか急に駆け落ちするとは…。
うちは規模が大きくともただの商会だ。公爵家相手に下手の事は出来ないんだぞ…。
今回は公爵様がお許しを出してくれたから良かったが、最悪うちの商会はなくなってたぞ?」
それはそうだ。
父の実家は貴族ではない。
貴族の、それも公爵家の娘と駆け落ちなど、普通は許される事ではないのだ。
「悪かったな兄貴!
まぁでも大丈夫だったろ?
俺が愛するマリーの実家だぞ?そんなことはしないさ!なぁ?」
と父は母に話をふった。
話をふられた母は伯父さんの方を向き、綺麗なお辞儀をしてから話し始めた。
「はじめまして、キースの妻のマリーと申します。今はただのマリーでございますので普通に対応していただければと。
キースの言った通り公爵家としては何の問題もございませんわ。
私は事前に家族の承諾はとっておりましたから。色々と事情があり、駆け落ちという形を取らざる終えませんでしたが。…ただ……」
そこまで言い、笑顔のまま父の方に向き直すママン。
「ただ?」
「あなた?先ほどの話を聞く限りご家族に私達の事を伝えていなかったように聞こえたんですが、これは一体どういう事かしら…?」
「いや、これは、その、親父達なら勝手に把握するかなって…ほら、うちの商会にも密偵みたいなのがいて簡単に調べられるし…?」
「そうですか…。
ねぇあなた、後でゆーーっくりとお話しましょう。」
そうパパンに言うママンの方から冷んやりとした空気が伝わってくる。
あ、これママン怒ってるやつや。
パパンが顔を青ざめてプルプルしてる。
すみませんね、伯父さん。
うちの父親がご迷惑をおかけしました…。
その後大人達で色々話をし、
とりあえず父のお父さん(私のお爺ちゃん)が今日いないということで、詳しい話はまた明日する事になった。
馬車旅で疲れてるしね。
幼女はそんなに体力がないので助かります!
商会を出て父のオススメという宿をとり、父が母にたっぷり怒られた後、3人で仲良く寝た。
疲れてるからぐっすりである。
おやすみなさい。
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