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神様ヘル……助けてー(棒)

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「そして僕が呼ばれた事に、激しく違和感」

「まぁ良いじゃない。神様つながりじゃない」

Tシャツにジーパンにビーサンの少年、皆が大好き『渡りの神』ワタル君に降臨していただいた。
黒髪にルビーみたいな赤い目。ちなみに今日のTシャツには「ああっ神さまっ」って入ってた。色々掠っていて怖い。荒ぶっていて怖い。

「まぁ、一日一回神降ろしが出来るのが神子の特権だからね。
……で、聞きたいのは君の八百万の神召喚のことで良いのかな?」

「いえす」

「今ナチュラルに他の神様冒涜せんかったか?」

「のー」

「まぁいいか。君が日本の神を召喚出来るのは、君が好かれているからだよ」

「その好かれている理由が知りたいの」

むむむっとなる渡りの神様。
よく分からないけど、地球の方にいる人間の魂は弱い部類に入るらしい。
こっちの人が日本に行けば、神格の低い神様になれるだろう。それくらい強い魂を持っている。
でも日本の神には神格がある。神格が高いイコールが何かは分かっているつもりだ。

「神格の高い神を呼べば教えてくれるって言うけど、それを望む時この世界がどうなるか分からなかった。だって創世の神なんて呼び出したらロクなことにならないでしょ?」

「何!?それはダメだ!!」

「だからやめたのよう。日本の国造りに参加した神以上の神格なんて無理……だからワタル君に聞こうと思ったの」

「日本の神って奥が深いな。ガイアはそんな事言ってなかったのに……君を日本から離した時、すごくもめたって言ったのおぼえてる?」

「うん。だから私にここに来た説明が遅れたって」

「その時にガイアが言ってたんだ。神の欠片が日本から消えたって」

「欠片?」

「うちには無いシステムだから詳細は不明だよ。ガイア達が慌てて魂を動かしたかと聞かれて、オルの嫁を日本から転移させたって言ったら怒られてさ」

なるほど。
私は神の欠片ってのを持ってて、日本に必要だったけどワタル君がオルの嫁として異世界に転移させたから、神様達が召喚出来るようになったと。

ふむ。

「やっぱりよく分からないんですけど」

「そうだよねー。この世界の事なら教えられるけど、異世界の事だからねー」

「でもヒントもらえた。もうちょっと考えてみる。今は灰色の馬鹿野郎達をなんとかしないとだから」

「うん。頑張って」

手を振って消えるワタル君。
結界は解かれて、馬車に向かおうとするとオルが外で待っていた。
無言で抱き締められる。私は「大丈夫だよー」と背中をポンポンしてあげた。

「結局よく分からなかった。でも大丈夫。オルと一緒なのは変わらないよ」

ちょっと離れただけで不安がるオルに、しばらくワタル君とは会うまいと誓う。

…………私の腰のために。













「人の子エンリ、前方に件の者の気配」

シナトベの言葉に、ぐったりしてた私はスクナビコナが回復してくれて、オルは気配を消して外に飛び出す。
私は考えながら複数神召喚し、馬車に気配消しの結界を付与した。

「あれはもう人ではない、邪を纏った獣がおる。武人殿に任せておけ」

捕縛して話を聞こうにも、人ではなくなっているらしい。オルはクラウス君に連絡をとっていて、指示待ち状態だ。

「人に戻せないの?」

「穢れを祓う神もおるが、あれはもう邪の塊のようなもの。人だったものはほぼ無い」

「…………遅かったのかな」

「背負うなエンリ。堕ちた者にも理由はあろうが、堕ちきるには人を殺す必要がある。あれらは同族を殺した。禁忌を犯した」

「そっか」

オルは無表情で灰色の人間だったモノを見ている。
そんなオルに寄り添うと、そっと抱き寄せられた。


翌朝、灰色の獣は朝日に溶けて消えていた。
彼らの残骸は地面に残った灰色の染みだけだった。



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