わたくしは親も兄弟もおりません!自由にさせていただきます!……はぁぁ?今更何をおっしゃいますの?

刹那玻璃

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番外編を集めてる^_^ ねこネコ(=^ェ^=)

番外編:彩映の伯母さまとお会いしました。

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 お久しぶりです、彩映です。
 今日は、ばぁばとふぅちゃんとお出かけです^ - ^
 ばぁばはパパのお母さまで、ふぅちゃんはパパの双子のお姉さんです。
 本当は、途中までママとパパも一緒だったのですが、つきちゃんのお家の方で用事があって途中でお別れしました。
 えっと、わたくしは会ったことがないのですが、つきちゃんの旦那さんの弟さんたちが、悪いことをしたそうです。
 ……旦那さんの弟さんはたくさんいるらしいです。
 サドと脳筋バカと浮気者と可愛いのと一番腹黒、そしてやんちゃ坊主だそうです。
 で、可愛い弟さん以下は大丈夫らしいですが、今回は浮気者さんが問題を起こしたのでシメに行くそうです。

 千夏ちゃんと風深ちゃんは、レクパパのマガタ領のお家に行きました。

『いろはと一緒に行く!』

 千夏ちゃんは首を振って、行きたくないって言ってましたが、にっこり笑ったルードじぃじに連れて行かれました。

『騎士になるそうだから』
『ルードじぃじが期待してるんだ』
『剣の稽古するんだって』
『うちのベルはなりたくないみたい』

って、レクパパは丁寧に紙に書いてくれました。

 ルードじぃじは、レクパパのお父さまです。
 わたくしにはパパとママ、じぃじとばぁばがいっぱいです。
 そして、ベルお兄ちゃんは、レクパパとふぅちゃんの末っ子で、わたくしより5歳上だったと思います。

 ただいまわたくしは、ばぁばとふぅちゃんと手を繋いで歩いています。
 お出かけ先は、カズールの街にあるセイおじさまの奥さんである、おばさまのお店兼工房です。

 おばさまは、次期公爵夫人兼芸術家です。
 お若い頃から刺繍やパッチワーク、編み物、レース編み、刺し子、ぬいぐるみ作りなどをコツコツされていて、セイおじさまと出会って結婚しました。
 活動は続けつつ、子供を生み育てながら、バトロンとしても、若くまだ芽の出ていない作家を発掘したり、題材を考えて色々な方と個展を開いたりされていたそうです。
 今度新作を発表するので、今は工房に篭りっきりらしく、おじさまが寂しがってるそうです。

「ばぁばとふぅちゃんと、お出かけ嬉しいです……えっと、どうしてセリちゃんも一緒なのですか?」

 そうなのです。
 今日は後一人、セリちゃんも一緒です。

『三人だけなんて、絶対ダメ』
『護衛も少ないんだから』
『最低でもボクも行きます!』
『ボクは強いんだからね!』

って、紙に書いてくれました。

 強い……。
 ばーばとふぅちゃんとセリちゃんを見て、

「じーじとパパと、レクパパとセリちゃん……一番強いのは?」

とつい聞いてしまいました。
 すると困った顔になって、

『答えられないです』
『言うなら、シエラおじさんかな?』
『ボク達の師匠だから』

って、セリちゃんは見せてくれました。

 強いんですね。
 そういえば、カズール伯爵のシエラじーじはものすごく強くて、お弟子さんの殆どが高位騎士だって聞きました。
 パパだけじゃなく、幸矢パパや蒼記パパ、セリちゃんを小さい頃から教えてきたそうです。

「わたくしも、シエラじーじにお願いしたら、教えてもらえるでしょうか?」

 もうちょっと、身体を鍛えることができるでしょうか?

 考え込んでいると、セリちゃんが必死に首を振ります。
 紙に向き合い、いつになく乱れた文字で、

『いろははやめよう!』
『散歩と柔軟体操だけでいいよ!』
『パパに散歩行こうって言おう!』

と見せられました。

「でも……パパは、千夏ちゃんと風深ちゃんと行くのです。わたくしは……運動音痴みたいです……かけっこも遅いのです」

 思い出してがっかりです。
 千夏ちゃんはとっても足が速いです。
 風深ちゃんもおっとりしているのですが、わたくしはすぐに逃げられてしまいます。
 この間、あまりにも転んでしまうので、膝とひじにプロテクターをつけられました。

『ヘルメットもつけなさい』
『怪我をしたらパパは泣く』

 パパが真剣な顔で言っていました。
 あまり大袈裟にしてほしくないので良いって言ったのに、勘違いして、

『じゃぁ、可愛くしようか?』

と、ヘルメットに猫耳、手袋は猫の手、尻尾も準備されてしまいました。
 しまおうとしたら、パパに悲しい顔をされて、仕方なくつけて中庭に出たら、パパだけじゃなく、じーじ達が、

『可愛い!』
『この格好でいいと思う!』

と言ってくれました……恥ずかしかったです。
 でも、完全装備しても速くなった訳じゃありません。
 それにあのままずっと走るのも嫌です。

『今は走るより体力つけなきゃ』
『階段登り降りもいいんだよ?』
『廊下をゆっくり歩くのも』

「そうなのですか?」

『走り続けるより長く歩く方がいい』
『これはボクの経験から』

 セリちゃんはペンにキャップをつけると、握って力こぶ。
 筋肉っていうのは分かりませんが、セリちゃんは華奢そうに見えて、とっても強そうです。
 パパは長身ですが、やっぱり鍛え方が違うのかもです。
 わたくしは小さい方なので、多分、セリちゃんのいう通りなのかもです。

 セリちゃんが、別の方向を見ます。
 その視線を追っていくと、大きく両手をブンブン振って近づいて来ます。

『あ、ナオミ姉さんだ』

 ナオミお姉さんですか?
 誰でしょうか?

 すごいです!
 真っ赤な、燃えるような……でも、ギラギラじゃなくて、少し寂しそうな色です。
 うんと……夕焼け色です。
 もう少ししたら沈むような……最後に太陽がため息をついている色です。

 前に、夕焼けの色をパパにそう伝えたら、

『いろはのおばさまが』
『こんな夕焼け色の髪』
『綺麗な色だよ』

って言っていました。

『寂しいってため息をついてる』
『夕焼けの色って素敵な表現だね』

とも言ってくれました。

 近づいてきた女の人は……パパのナムグちゃんのカンナギに似ていました。

 カンナギというのは、グランディアの言葉で『巫女』という意味だそうです。
 カンナギは、朱金の毛並みと緑色の瞳で、パパはデレデレなのに素っ気ないお姉ちゃんみたいな子です。
 でも、パパがいうにはカンナギはわたくしにはとっても甘いのだそうです。
 パパのお休みの日には、わたくしが中庭で遊ぶ時にはついていてくれます。
 わたくしがリハビリでお散歩していて疲れてしまった時には、背中に乗せて帰ってくれました。

 ぴょんぴょん飛び跳ねながらお姉さんは、ばぁばに近づいてお話ししています。
 お姉さんの髪は後ろにおだんごにしていて、それを包んだ布をカラフルなリボンで結んでいます。
 可愛いですね。

『ナオミお姉さんは、いろはのおばさま』
『会いにきてくれてありがとうだって』

 わぁぁ、じゃぁ、セイおじさまの奥さまなんですね。

『いろは、ご挨拶しようか?』

 うなずいて、ばぁばとお話を終えたタイミングを、合図してもらって、

「こんにちは、ナオミおばさま。彩映です」

と挨拶をしました。
 にっこりと笑ったおばさまは、

『ようこそ、いろはちゃん』

と書いてくれました。

『会えて嬉しいわ』
『今日は可愛いワンピースね』

 頭を撫でてもらえたのでとっても嬉しいです。
 このワンピースは、ママがわたくしのために生地から選んで作ってくれたものです。
 明るいパステル色が大好きです。
 それから、案内されたこぢんまりとしたお家で、朱金色の髪のおじさまと栗色の髪のおばさまがいたのでご挨拶したのだけれど…… 

『私の両親よ』
『久しぶりに戻ってきたの』

とおばさまが書いてくれました。
 アルファリドルおじさまと、エーメおばさまです。
 アルファリドルおじさまは昔騎士で、今は培った知識を活かして地域に貢献する仕事をしているそうです。
 すごいですね。

 おばさまのお家は、可愛くてとてもいっぱいのものがありました。
 不思議なのは、織り機……ラディリアの大祖父ちゃまの別荘にある織り機とも違う形をしている。

『これはリボン用なの』
『この地域のおじいちゃんに譲ってもらったのよ』

 マジックバッグの中に入れていた眼鏡をかけてじっくりと見る。
 面白そう……作ってみたいなぁ……。
 パパにお願いしたいなぁ。

『もし気になるなら』
『これはダメだけど』
『使っていない小さいのをあげる』

 おばさまのボードを見て、わたくしは嬉しくなりました。

「本当? おばさま! 嬉しいです!」

『でも、長時間使わないでね?』
『1日1時間までよ?』

「はい!」

 嬉しいです。
 今度、風深ちゃんの誕生日なので、何か考えていたのですが。
 間に合えば、リボンタイや髪を結ぶ細いリボンを作るのです。
 使い方を教わるのが楽しみになりました。
 そして、お茶をのんで、ゆっくりした後、カズールのお屋敷に帰ってお昼寝をしたのでした。
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