君の全てに愛の色を

刹那玻璃

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『色』と言うのはなに?

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「あのぉ……」

 コロコロとした声が聞こえる。
 あのアルフォンシアの声はキンキンとした、あまり高位貴族としてあれはないんじゃないか? と言いたくなるものだったが……。

「あの、どこに行くのでしょう?」

 毛布の間から青い瞳がこちらを見る。

「一応ディーロウの街に行けと言われたのですが……」
「は? お前はここを田舎だと言っていたのに、誰に言われたんだ?」
「アルフォンシアさんにです」
「アルフォンシアがお前だろう?」

 見つめると、首をコテンと倒す。

「いえ、私はアルフォンシアさんじゃありません」
「何を言ってる。その顔は、アルフォンシアだ。それに、髪はすぐに色を染められるが、瞳のその色は、滅多に出ない」
「そうなんですか? 色ってなんですか?」
「はっ? 色、色というのは……」

 口ごもる。
 改めて『色』の意味を考えたのだ。
 意味は……そして、どう説明したらいいのか……。

「な、なんで今更。お前はよく、ピンクのドレスだの、青色がいいだのと言っていただろう」
「ぴんく……あおいろ……?」

 反対側に首を傾けるアルフォンシア? に、2年前まで悩まされてきたビリアルドは違和感を感じる。

「もしかして、ニセモノか?」
「ニセモノというか、姿を借り受けているだけです。えっと」

 モゾモゾと肩にかけていたボロボロのバッグを漁ると、何かを見つける。

「これを、ディーロウにいるおばさま? に渡してほしいと言ってました。おばさまはあなたですか?」
「叔母は俺の母だ。そんなことも忘れたのか? それに……」

 渡されたチョーカーを確認して焦ったように従姉妹を見る。

「おい? このダイヤモンドは? これはピンクダイヤモンドだ」
「アルフォンシアさんに交換してもらいました。元はここにあります」

 耳を飾るサファイアのピアスを示す。

「これは……本物! お前は……本当に……」
「わかっていただけましたか?」

 アルフォンシア? はじっと見つめてくる。
 その眼差しから逃れるように、ビリアルドは顔を背けたのだった。
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