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転生者の少女の章

自分が進化版ですか?

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 はい?
 私のスキルが変? ですか?
 普通ですよ?
 だって、縫うだけじゃないですか。

 異能って、前世の地図を書いた方ですか?
 リアルすぎる地図を徒歩で作り上げたそうですね?
 測量……あれは本当にすごいです。
 一歩の長さを一定に保ち、方角を確認して、作り上げる……。
 あの方こそ異能さん……。(誰か突っ込んでください……)

 はっ!
 意識飛ばした。

 目の前では、おじさまが説明してくださってました。
 集中しなくては!

「お前のその裁縫スキルは、ある一族の特殊技能なんだ! その一族以外に出ることは、ほぼあり得ない。それに、一瞬でも目にしたもの……それがいつでも構わない。本を読んだだけ、ふと絵を見ただけでも、それを立体的に再現する能力……コピーだ。しかも、そのコピーがまだ劣化版ならまだマシ。お前は劣化どころか、その本物以上のものをその手で生み出す」

 ……はい? 前世のコピペ(コピーandペースト)ってことですか?
 私が生み出すとはなんでしょう?

 おじさまが真剣な眼差しで私を見ます。

「うちの……エッシェンドルフの一族には、他の一族よりも高い確率で能力持ちが生まれるんだ。何でそれが高いのかはあまりわかっていない。ただ、最近の研究というか代々の一族が遺した日記や、放浪記みたいなものを調べていてわかってきてる。俺はまぁ、この国にいることが多かったが、俺の弟たちをはじめとした先祖の多くは世界中をさすらって、結婚して戻ってきたり、嫁を連れて帰ったり、実子だけじゃなく、養子としてでも子供連れて帰ったりと……で、次の世代になると不思議な能力を持つ子が……隔世遺伝でも生まれることがある。ちなみに、その裁縫や組紐、刺繍などのスキルはエリーゼの母方の血筋。父方からは変わったものに気に入られるスキル……出てるな……シエラに見つかるとは、史上最悪の過去最低の悪夢だ……」
「失礼な、パシヴァル。私は、ただ、リドルの娘に会いに行っただけじゃない。こんなに可愛いとは思わなかったけど」
「可愛い……? どこがですか?」
「何言ってるの! 可愛いよ? 自覚ないの? うわぁ……なんでこんなにまんまるの目でクルンクルンのふわふわの髪で、可愛いのに自覚ないの? あ、パシヴァルにこの子に似た、グランディアのイヌを進呈するね? めちゃくちゃ可愛いから!」

 にっこにっこ笑ってます。

 私とワンちゃんとはちょっと違いますよね?

「首傾げてるけど、そういう仕草とか、本当自然体で可愛いところとかだからね? あ、パシヴァルの実家のエッシェンドルフ家は、ものすごく愛情深い一族なんだよ?」
「へぇ……」

 うちの父が愛情深いかどうかはともかく、パシヴァルさまは愛妻家で子供さんを可愛がる方で有名です。

「そして、最も厄介なのは、その再現能力だ。過去に見たものや知ったものを忠実に再現できる。立体であろうが関係ない」
「あっ! それってこれも入りますか?」

 恐る恐る尋ねつつ、マジックバッグからイアルベとオオサンショウウオを取り出す。
 私をものすっごい顔で見つめるお二人がいた。

「それ、何?」
「オオサンショウウオとイアルベです!」
「きもっ……」

 きもってひどいです……シエラさま。
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