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第2章〜承
時々どころか自分が嫌になる
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今現在、体の調子が悪く、実家に一種の軟禁状態。
どこにも出ていけない生活に食事を拒否し、ユエさんとハムスター三兄弟と共に一室に引きこもり、水とトイレ以外電気しか使わない生活をしている。
悔しいのは部屋の扉が鍵がかからないこと。
実家の引っ越しの手伝いに来てから一気に体調を崩し、精神的にも不安定、起きるとパニックを起こすようになったのである。
家に戻りたい、病院にと思っても外に出るのが怖いのと、実家がタクシーを呼ぶか、歩いて40分山を下り一時間に一本のバスを待つ、市内とは言え非常に交通事情の悪い立地に立っている。
起きてパニック、薬を飲んで落ち着くまで横になり昼を過ぎるともうどうでもよくなる。
昨日、日曜日は妹の引っ越しの日だった。
私が羨ましかった京間6畳二間のアパートを引き払って来たのだが、そこで帰ってきた時に家族が、
「洗濯機と冷蔵庫とレンジとコンロいらんぞ……」
「ゴミに捨てるか……」
「レンジとコンロは家主さんが引き取ってくれるって」
「そうしたら、あとは……おい、なんか知らんか?」
とこっちを向いてくれたのである。
その前日は全員が出て行き、ユエさんと遊ぶはずが実家の犬が吠えまくり、仕方がないのでその犬の面倒を見て、今日は今日で再び吠えまくる犬のせいでめまいに頭痛が悪化。
犬をおとなしくさせるだけのために、犬を閉じ込めていたリビングで横になっていると腰痛再発。
その上、
「また寝よる。母さんと一緒か」
と言われ、ブチ切れ寸前だった自分は、それを隠し、知り合いの方に電話をかけた。
「もしもし、お久しぶりです。刹那です!突然すみません」
「あ、あぁ、せつさんお久しぶりです。どうしましたか?」
「あの、久し振りに、しかも突然ですが、あの、シェアハウスの代表の方の連絡先知りませんか?」
「えっと……今外なので……」
「ですよね……団体名だけでもお伺いできますか?」
本当に申し訳ないと伝えると、団体名を聞き、
「分かりました。本当にありがとうございます。あの、またお会いできたら……いつもお世話になっているのにすみません」
「あーいいですよ。それに、実は僕、転勤になって今別のところにいるんです」
「えっ……!」
一月に会った時には聞いていなかった。
「そ、そうだったんですか……」
「時々そちらに行きますから、またお会いしましょう」
「ほ、本当にすみません!ありがとうございます。失礼しました」
私の方が体調を崩し、距離をおいても笑顔で優しく接してくれ、仲良くしてくださっていたのに何も返せなかった自分が情けなく悲しくなった。
そして電話番号を調べ、かけるが日曜日のため繋がらず、メールを送った。
それだけでも疲労はピークだというのに、家族は、
「繋がらんのか」
「今月いっぱいで出て行くのに」
と急かす。
突然、
ブチッ!
とキレた。
「ええ加減にせえよ。一年前もひなの引っ越しの手続きや何やかやを全部押し付けといて、今回はやめておけっていうたのを押し切ったのはひなやろが!何でうちが、しんどいっていよんのに、電話かけまくらないかんのや!ボケ!」
「お前がシェアハウスってのがあるっていうたんやろが」
「寄付とか出来るとは言うたわ!やけどな、命令すんな!調子悪いいうとろが!ドアホ!いねや!自分でやれ!」
「どこに連絡すればいいん?」
「自分で調べろ!ボケ!しかも、うちが買ったブラックの三段ボックス、何で靴箱になっとんで!籐の家具も二つも無くなっとる!返せ!」
怒鳴りつける。
「お前の部屋には入るまいが!」
「大事にしとったもん次々取られて、その上命令か!もう知るか!勝手にせぇ!」
と一応、空き部屋になる予定のユエさんのいる部屋に籠る。
水はユエさんとハムスターの分、餌は一週間ある。
自分の食事は飴もない、でも先日当たった完全栄養食の粉が多分しばらくある。
それで凌ごう。
それか、タクシーを呼んで、荷物を詰め込んで逃げ出そうか……あぁ、お金がない。
もう、病院の看護師さんにも怒られた。
怖くてもう無理……。
薬もない……どうしても行きたいけど遠過ぎる。
何でこんなところに来てしまったのか、家族のヒステリーもきつい。
自分もパニックになり、叫びだしたくなる。
「郵便物が溜まっとる……予約していた本が届いとるのに、あれだけ頼んだのに、妹の家の近所だったのに、取りに行ってくれない。それに、また行くっていうから頼んだのに嫌だって……私は全部やってきたのに、あぁぁ、予約してた本、それに郵便物が……」
髪の毛をかきまくり、ひとしきり泣きじゃくると、ハムスターとユエさんに餌をあげ、そのまま完全栄養食の粉を水に溶かし、薬と一緒に流し込む。
疲れた……疲れた……自分は何でこんな生き方しかできないのだろう……。
家族 家 脱ぎ捨てられぬ カタツムリ
どこにも出ていけない生活に食事を拒否し、ユエさんとハムスター三兄弟と共に一室に引きこもり、水とトイレ以外電気しか使わない生活をしている。
悔しいのは部屋の扉が鍵がかからないこと。
実家の引っ越しの手伝いに来てから一気に体調を崩し、精神的にも不安定、起きるとパニックを起こすようになったのである。
家に戻りたい、病院にと思っても外に出るのが怖いのと、実家がタクシーを呼ぶか、歩いて40分山を下り一時間に一本のバスを待つ、市内とは言え非常に交通事情の悪い立地に立っている。
起きてパニック、薬を飲んで落ち着くまで横になり昼を過ぎるともうどうでもよくなる。
昨日、日曜日は妹の引っ越しの日だった。
私が羨ましかった京間6畳二間のアパートを引き払って来たのだが、そこで帰ってきた時に家族が、
「洗濯機と冷蔵庫とレンジとコンロいらんぞ……」
「ゴミに捨てるか……」
「レンジとコンロは家主さんが引き取ってくれるって」
「そうしたら、あとは……おい、なんか知らんか?」
とこっちを向いてくれたのである。
その前日は全員が出て行き、ユエさんと遊ぶはずが実家の犬が吠えまくり、仕方がないのでその犬の面倒を見て、今日は今日で再び吠えまくる犬のせいでめまいに頭痛が悪化。
犬をおとなしくさせるだけのために、犬を閉じ込めていたリビングで横になっていると腰痛再発。
その上、
「また寝よる。母さんと一緒か」
と言われ、ブチ切れ寸前だった自分は、それを隠し、知り合いの方に電話をかけた。
「もしもし、お久しぶりです。刹那です!突然すみません」
「あ、あぁ、せつさんお久しぶりです。どうしましたか?」
「あの、久し振りに、しかも突然ですが、あの、シェアハウスの代表の方の連絡先知りませんか?」
「えっと……今外なので……」
「ですよね……団体名だけでもお伺いできますか?」
本当に申し訳ないと伝えると、団体名を聞き、
「分かりました。本当にありがとうございます。あの、またお会いできたら……いつもお世話になっているのにすみません」
「あーいいですよ。それに、実は僕、転勤になって今別のところにいるんです」
「えっ……!」
一月に会った時には聞いていなかった。
「そ、そうだったんですか……」
「時々そちらに行きますから、またお会いしましょう」
「ほ、本当にすみません!ありがとうございます。失礼しました」
私の方が体調を崩し、距離をおいても笑顔で優しく接してくれ、仲良くしてくださっていたのに何も返せなかった自分が情けなく悲しくなった。
そして電話番号を調べ、かけるが日曜日のため繋がらず、メールを送った。
それだけでも疲労はピークだというのに、家族は、
「繋がらんのか」
「今月いっぱいで出て行くのに」
と急かす。
突然、
ブチッ!
とキレた。
「ええ加減にせえよ。一年前もひなの引っ越しの手続きや何やかやを全部押し付けといて、今回はやめておけっていうたのを押し切ったのはひなやろが!何でうちが、しんどいっていよんのに、電話かけまくらないかんのや!ボケ!」
「お前がシェアハウスってのがあるっていうたんやろが」
「寄付とか出来るとは言うたわ!やけどな、命令すんな!調子悪いいうとろが!ドアホ!いねや!自分でやれ!」
「どこに連絡すればいいん?」
「自分で調べろ!ボケ!しかも、うちが買ったブラックの三段ボックス、何で靴箱になっとんで!籐の家具も二つも無くなっとる!返せ!」
怒鳴りつける。
「お前の部屋には入るまいが!」
「大事にしとったもん次々取られて、その上命令か!もう知るか!勝手にせぇ!」
と一応、空き部屋になる予定のユエさんのいる部屋に籠る。
水はユエさんとハムスターの分、餌は一週間ある。
自分の食事は飴もない、でも先日当たった完全栄養食の粉が多分しばらくある。
それで凌ごう。
それか、タクシーを呼んで、荷物を詰め込んで逃げ出そうか……あぁ、お金がない。
もう、病院の看護師さんにも怒られた。
怖くてもう無理……。
薬もない……どうしても行きたいけど遠過ぎる。
何でこんなところに来てしまったのか、家族のヒステリーもきつい。
自分もパニックになり、叫びだしたくなる。
「郵便物が溜まっとる……予約していた本が届いとるのに、あれだけ頼んだのに、妹の家の近所だったのに、取りに行ってくれない。それに、また行くっていうから頼んだのに嫌だって……私は全部やってきたのに、あぁぁ、予約してた本、それに郵便物が……」
髪の毛をかきまくり、ひとしきり泣きじゃくると、ハムスターとユエさんに餌をあげ、そのまま完全栄養食の粉を水に溶かし、薬と一緒に流し込む。
疲れた……疲れた……自分は何でこんな生き方しかできないのだろう……。
家族 家 脱ぎ捨てられぬ カタツムリ
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