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孔明さん新婚ですが、レッドカードスレスレですよ。
新婚孔明さんの嫁溺愛ぶりは荊州中の噂話になるでしょう。
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おいおいと別れを惜しみ泣きじゃくる兄子瑜を船に乗せ、送り出した孔明には、普段通りの生活が待っていた。
いや、何時もならば、一人で炊事、洗濯、掃除、繕い物、畑仕事など全般を孔明がしていたのだが、琉璃が手伝うと言い出した。
姉達や月英も均も壊滅的な才能だった為、琉璃もさせないつもりだったのだが、驚いたことに掃除に洗濯、料理に意外な程の才能を見せ、洗い物や畑の世話も孔明が教えるとすぐに手伝い始める。
裁縫は、まだまだ小さな手で衣の仕立ては無理だが、繕いは即座に覚えた。
想像以上に出来た嫁である。
「できましゅた!」
自分の衣の繕い物をしていた琉璃は、てててっと嬉しそうに孔明に見せに来る。
兄の子瑜ではないが、最近琉璃には子犬の耳と尻尾が生えているのではないかと言う位、はちきれんばかりに満面の笑みを浮かべている。
その嬉しそうな顔を見るのが孔明も嬉しくて、ついつい琉璃と一緒にいるのだが、月英に言わせると、
「イチャイチャすんな。のろけんな。恋人のいる均だけなら我慢したが、お前は限度を超えている!! 」
らしい。
孔明にしては、他の兄弟は全く役に立たなかった家事を琉璃が手伝ってくれる。
それだけでも嬉しいものである。
その上、表情のなかった琉璃が考え込んだり、ぱっと笑顔になったり、コロコロと表情を変え、それを見せてくれるのだ。
可愛くて仕方がない。
だから、色々な表情が見てみたくて、堪らないのだが……。
「……今日、塾の手伝い行かなくて良いよね?」
「ほほぉ……どんな理由だ?」
朝食時、ボソッと呟いた孔明に月英は設計図を見ながら答える。
「月英。行儀悪いですよ! 食事中に何してるんですか! それに、人の話を聞くなら聞く姿勢を取って下さい!」
「んー? ご飯は食べたいが、お前の日課は聞くの飽きた。だから、飽きたを示す態度だ。悪いか?」
「げーつーえーいー! お願いします。私の代わりに授業に行って! 暑苦しい弟弟子達より、琉璃の方が良い! 今日は琉璃に新しい……」
「アホ! 今日の琉璃はオレが女性としてのたしなみ、楽器演奏の授業をする予定だ!」
月英は、義弟を呆れた眼差しで見る。
「それが見たいんですよ~! お願いだから、今日はお休みしたいです! あっ! そうだ、元直兄に!」
「アホかー! 元直を使うな! 自分でしろっ。全く、何だ? こいつは、結婚前と全く違うじゃないか?」
均は溜め息をつく。
「多分、今まで兄弟に平等に与えていた愛情を、琉璃一人に向けることに決めたからだと思うの。師匠」
「……暑苦しい。その上、はた迷惑な……」
月英はこぼす。
それ程、孔明が琉璃に対する愛情は深過ぎる程深く、重すぎる程重い。
さすがは子瑜の弟である。
周囲にははた迷惑な程……。
しかし、元々愛情に飢えていた琉璃にとっては、孔明の愛情は嬉しくて堪らないようで、孔明は人目も憚らずイチャイチャするが、琉璃は二人きりの時に甘えている。
良く似た夫婦らしい。
「んと……にいしゃま。今日はらいじにゃおしごとれしゅよ。お仕事しにゃいと、ご飯たべらりぇないでしゅよ。お仕事しましょう、れしゅ」
元々ろくな食事を与えられていなかったらしい琉璃は、毎日毎食食べられるのが嬉しいらしく、幸せそうに食べる。
戦場では手づかみだったのか、箸や先端が二本に割れた突き刺して食べる道具が余り得意でない琉璃は、夫や女装中の兄弟の手の動かし方を真似ている。
そのぎこちなさに、孔明は、
「これはこう使うと使いやすいよ。それにこれはこう。……うん、上手上手」
「ホント? 良かった、なのれしゅ」
出来てほっとし安心しきった表情で、孔明を見上げる様に、
「か、可愛いよ! 琉璃は国一番の奥さんだ!」
ガバッと嫁を抱き締める暴走義弟と、親友をやめてやろうかと思いつつ、月英は、
「こら。琉璃も言ってるんだ。早く食事してとっとと仕事行ってこい。琉璃も言ってやれ」
「えと……にいしゃま。頑張って、お仕事してくりゃさい。で、琉璃にもお勉強教えてくりゃさい、琉璃も、お勉強したいれしゅ」
「わ、解った! ちゃんと仕事行ってくる! だから、今日覚えたことを教えてね? 約束」
「あいっ」
新婚夫婦の家に居候を決めた自分を本気で殴りたくなった、月英であった。
いや、何時もならば、一人で炊事、洗濯、掃除、繕い物、畑仕事など全般を孔明がしていたのだが、琉璃が手伝うと言い出した。
姉達や月英も均も壊滅的な才能だった為、琉璃もさせないつもりだったのだが、驚いたことに掃除に洗濯、料理に意外な程の才能を見せ、洗い物や畑の世話も孔明が教えるとすぐに手伝い始める。
裁縫は、まだまだ小さな手で衣の仕立ては無理だが、繕いは即座に覚えた。
想像以上に出来た嫁である。
「できましゅた!」
自分の衣の繕い物をしていた琉璃は、てててっと嬉しそうに孔明に見せに来る。
兄の子瑜ではないが、最近琉璃には子犬の耳と尻尾が生えているのではないかと言う位、はちきれんばかりに満面の笑みを浮かべている。
その嬉しそうな顔を見るのが孔明も嬉しくて、ついつい琉璃と一緒にいるのだが、月英に言わせると、
「イチャイチャすんな。のろけんな。恋人のいる均だけなら我慢したが、お前は限度を超えている!! 」
らしい。
孔明にしては、他の兄弟は全く役に立たなかった家事を琉璃が手伝ってくれる。
それだけでも嬉しいものである。
その上、表情のなかった琉璃が考え込んだり、ぱっと笑顔になったり、コロコロと表情を変え、それを見せてくれるのだ。
可愛くて仕方がない。
だから、色々な表情が見てみたくて、堪らないのだが……。
「……今日、塾の手伝い行かなくて良いよね?」
「ほほぉ……どんな理由だ?」
朝食時、ボソッと呟いた孔明に月英は設計図を見ながら答える。
「月英。行儀悪いですよ! 食事中に何してるんですか! それに、人の話を聞くなら聞く姿勢を取って下さい!」
「んー? ご飯は食べたいが、お前の日課は聞くの飽きた。だから、飽きたを示す態度だ。悪いか?」
「げーつーえーいー! お願いします。私の代わりに授業に行って! 暑苦しい弟弟子達より、琉璃の方が良い! 今日は琉璃に新しい……」
「アホ! 今日の琉璃はオレが女性としてのたしなみ、楽器演奏の授業をする予定だ!」
月英は、義弟を呆れた眼差しで見る。
「それが見たいんですよ~! お願いだから、今日はお休みしたいです! あっ! そうだ、元直兄に!」
「アホかー! 元直を使うな! 自分でしろっ。全く、何だ? こいつは、結婚前と全く違うじゃないか?」
均は溜め息をつく。
「多分、今まで兄弟に平等に与えていた愛情を、琉璃一人に向けることに決めたからだと思うの。師匠」
「……暑苦しい。その上、はた迷惑な……」
月英はこぼす。
それ程、孔明が琉璃に対する愛情は深過ぎる程深く、重すぎる程重い。
さすがは子瑜の弟である。
周囲にははた迷惑な程……。
しかし、元々愛情に飢えていた琉璃にとっては、孔明の愛情は嬉しくて堪らないようで、孔明は人目も憚らずイチャイチャするが、琉璃は二人きりの時に甘えている。
良く似た夫婦らしい。
「んと……にいしゃま。今日はらいじにゃおしごとれしゅよ。お仕事しにゃいと、ご飯たべらりぇないでしゅよ。お仕事しましょう、れしゅ」
元々ろくな食事を与えられていなかったらしい琉璃は、毎日毎食食べられるのが嬉しいらしく、幸せそうに食べる。
戦場では手づかみだったのか、箸や先端が二本に割れた突き刺して食べる道具が余り得意でない琉璃は、夫や女装中の兄弟の手の動かし方を真似ている。
そのぎこちなさに、孔明は、
「これはこう使うと使いやすいよ。それにこれはこう。……うん、上手上手」
「ホント? 良かった、なのれしゅ」
出来てほっとし安心しきった表情で、孔明を見上げる様に、
「か、可愛いよ! 琉璃は国一番の奥さんだ!」
ガバッと嫁を抱き締める暴走義弟と、親友をやめてやろうかと思いつつ、月英は、
「こら。琉璃も言ってるんだ。早く食事してとっとと仕事行ってこい。琉璃も言ってやれ」
「えと……にいしゃま。頑張って、お仕事してくりゃさい。で、琉璃にもお勉強教えてくりゃさい、琉璃も、お勉強したいれしゅ」
「わ、解った! ちゃんと仕事行ってくる! だから、今日覚えたことを教えてね? 約束」
「あいっ」
新婚夫婦の家に居候を決めた自分を本気で殴りたくなった、月英であった。
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