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緑の精霊王と紅の狼
一応リーが命を狙われるのはこんな理由です。
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「面倒~というか、クリスは伯父上の直系の孫なんだから、バカを追い落としてお前が王位即きなよ」
「俺こそ嫌がられるだろ。あのババァと親父の血を継いでるのに」
「神聖レオニール帝国の第二皇女だけどねぇ~品も教養も美貌も、マナーも全くないけどね!」
「伯父貴は神聖レオニール帝国の第一皇女の第一子だけどな? 一応、顔もおばぁさまに似てる」
「うるさいよ! クリスだって僕に似てるなら母さま似でしょ!」
がうっ!
文句を言うリーに、少々うんざりとした表情で、答える。
「じいさまが、会うたびに「どっちがリーで、どっちがクリスだ? 一応フェルナンドは髪の色が違うから区別がつくが……」とか、ニヤニヤ言うからな……」
しかし、嫌そうというより、可愛がってくれるのは嬉しいが、しつこいと言いたいらしい。
「エルのとこの子供は可愛げがないって言ってたけど、クリスはうちの内孫だって溺愛してるもんね。まぁ、フェルのとこのクシュナは、文字通りガキ大将だから手を焼いてるけどね」
「まぁ、じいさまたちの孫っていうのはありがたいというか誇っていいが、実父と父方の祖母はクズだ……」
「あの……お聞きしますが、ストフさまのお父さんとお母さんのお母さんは、どちらも帝国の方ですか?」
エレナの問いかけに、あ、と二人は一瞬顔を見合わせる。
「あ、伝えてなかった……えっと、俺の父方の祖父は先代国王陛下エーベルト。母方はその双子の弟で、昔王太弟ハインリヒ……現在臣籍降下されて大公位を持たれているんだ。で、大公であるおじいさまの夫人……このリー伯父貴たち兄妹の母は、神聖レオニール帝国の現在の皇帝の伯母、二代前の皇帝の第一子、第一皇女エンジェラ。前王エーベルトの王妃ヴァネッサは第三皇女……だったかな?」
「ううん、第二皇女ではあったらしいよ。でも、実母が身分が低かったらしいから、母さまを生んだ正妃の養女としてここに嫁いだらしい。じゃないと、うちの母さまが伯父上と結婚しないのはおかしいって言われかねないからね。結構、色々やってたみたいだよ。本来なら向こうの国に婚約者いたのに、こっちに嫁ぐ母さまの一行に強引についてきたり、母さまに毒盛ったり、殺そうとしたり……一応伯父上の代わりに迎えに行ってた父さまがうんざりするくらい次々に母さまが怪我するし、食事も杜撰なやり方で毒盛るし、これは行き着くまでに母さま死んじゃうかもって、母さまに体格のよく似た影と母さま入れ替えて、母さまは男装させて、父さまの侍従って事で、こっちの国の使節団メンバーとして連れ帰って……まぁその間に父さまと母さま、恋に落ちた……らしいです」
「……まぁ、じいさまはおばあさまを溺愛されているからなぁ……『わしの愛しの妖精姫』って」
「……うん、幾つになっても……」
視線を彷徨わせるリー。
自分の幼少期より見慣れた光景である。
砂糖菓子より甘い、見ていて辛いというかイタイ……。
と言いつつ、その言っているリーが、父親とほぼ同レベルの存在だとクリスは思っているが口には出さない。
「で、父方の祖母は、自分の出自が劣る上に、自分の息子の出来が悪すぎるので、出来のいい異母姉の子供を年から年中命を狙い続け、特に夫が出来が悪い息子を廃嫡にして、可愛がっていたリー伯父貴を王太子にしたいと思っていたという噂だけに激怒して、未だに伯父貴を殺そうとしているのと、優しく温和な異母姉を妬み嫌がらせを続けているという……こっちの王族の腐った体質だったりするんだよな……」
溜息をついたクリスだった。
ふと、窓から外を見たリーが声をかける。
「あ、もう少ししたら到着するよ。向こうで、医師に来てもらっているから、診てもらって、特に足の治療を忘れないで」
「足?」
クリスはドレスの下の足をチラッと見る。
「うん、さっき暗殺者に投げた靴掴んでるから解ってますよ~。どう見ても琥珀ちゃんや姫の足のサイズは21くらいなのに、靴25だよ? 爪先に布詰めてたでしょ? 重みが違うからね。履き慣れない靴は靴擦れや水膨れのもと。クリス、しばらく抱っこして移動だからね?」
「了解」
先導する騎馬からさっきとは違う合図……そして、それに返ってくるのは、打楽器のようなドーンという音。
「あれは、ラーシェフ領の鋳物で作った銅鑼。門が開く合図だよ。速度落とさず入ることができるっていう意味。回数が違うと、速度落とせ、入場準備ありしばらく待て、とか、入場許可できない、になるんだ」
リーの言葉通りに、速度は落とされずそのまま堅牢な門を通り過ぎたのだった。
「俺こそ嫌がられるだろ。あのババァと親父の血を継いでるのに」
「神聖レオニール帝国の第二皇女だけどねぇ~品も教養も美貌も、マナーも全くないけどね!」
「伯父貴は神聖レオニール帝国の第一皇女の第一子だけどな? 一応、顔もおばぁさまに似てる」
「うるさいよ! クリスだって僕に似てるなら母さま似でしょ!」
がうっ!
文句を言うリーに、少々うんざりとした表情で、答える。
「じいさまが、会うたびに「どっちがリーで、どっちがクリスだ? 一応フェルナンドは髪の色が違うから区別がつくが……」とか、ニヤニヤ言うからな……」
しかし、嫌そうというより、可愛がってくれるのは嬉しいが、しつこいと言いたいらしい。
「エルのとこの子供は可愛げがないって言ってたけど、クリスはうちの内孫だって溺愛してるもんね。まぁ、フェルのとこのクシュナは、文字通りガキ大将だから手を焼いてるけどね」
「まぁ、じいさまたちの孫っていうのはありがたいというか誇っていいが、実父と父方の祖母はクズだ……」
「あの……お聞きしますが、ストフさまのお父さんとお母さんのお母さんは、どちらも帝国の方ですか?」
エレナの問いかけに、あ、と二人は一瞬顔を見合わせる。
「あ、伝えてなかった……えっと、俺の父方の祖父は先代国王陛下エーベルト。母方はその双子の弟で、昔王太弟ハインリヒ……現在臣籍降下されて大公位を持たれているんだ。で、大公であるおじいさまの夫人……このリー伯父貴たち兄妹の母は、神聖レオニール帝国の現在の皇帝の伯母、二代前の皇帝の第一子、第一皇女エンジェラ。前王エーベルトの王妃ヴァネッサは第三皇女……だったかな?」
「ううん、第二皇女ではあったらしいよ。でも、実母が身分が低かったらしいから、母さまを生んだ正妃の養女としてここに嫁いだらしい。じゃないと、うちの母さまが伯父上と結婚しないのはおかしいって言われかねないからね。結構、色々やってたみたいだよ。本来なら向こうの国に婚約者いたのに、こっちに嫁ぐ母さまの一行に強引についてきたり、母さまに毒盛ったり、殺そうとしたり……一応伯父上の代わりに迎えに行ってた父さまがうんざりするくらい次々に母さまが怪我するし、食事も杜撰なやり方で毒盛るし、これは行き着くまでに母さま死んじゃうかもって、母さまに体格のよく似た影と母さま入れ替えて、母さまは男装させて、父さまの侍従って事で、こっちの国の使節団メンバーとして連れ帰って……まぁその間に父さまと母さま、恋に落ちた……らしいです」
「……まぁ、じいさまはおばあさまを溺愛されているからなぁ……『わしの愛しの妖精姫』って」
「……うん、幾つになっても……」
視線を彷徨わせるリー。
自分の幼少期より見慣れた光景である。
砂糖菓子より甘い、見ていて辛いというかイタイ……。
と言いつつ、その言っているリーが、父親とほぼ同レベルの存在だとクリスは思っているが口には出さない。
「で、父方の祖母は、自分の出自が劣る上に、自分の息子の出来が悪すぎるので、出来のいい異母姉の子供を年から年中命を狙い続け、特に夫が出来が悪い息子を廃嫡にして、可愛がっていたリー伯父貴を王太子にしたいと思っていたという噂だけに激怒して、未だに伯父貴を殺そうとしているのと、優しく温和な異母姉を妬み嫌がらせを続けているという……こっちの王族の腐った体質だったりするんだよな……」
溜息をついたクリスだった。
ふと、窓から外を見たリーが声をかける。
「あ、もう少ししたら到着するよ。向こうで、医師に来てもらっているから、診てもらって、特に足の治療を忘れないで」
「足?」
クリスはドレスの下の足をチラッと見る。
「うん、さっき暗殺者に投げた靴掴んでるから解ってますよ~。どう見ても琥珀ちゃんや姫の足のサイズは21くらいなのに、靴25だよ? 爪先に布詰めてたでしょ? 重みが違うからね。履き慣れない靴は靴擦れや水膨れのもと。クリス、しばらく抱っこして移動だからね?」
「了解」
先導する騎馬からさっきとは違う合図……そして、それに返ってくるのは、打楽器のようなドーンという音。
「あれは、ラーシェフ領の鋳物で作った銅鑼。門が開く合図だよ。速度落とさず入ることができるっていう意味。回数が違うと、速度落とせ、入場準備ありしばらく待て、とか、入場許可できない、になるんだ」
リーの言葉通りに、速度は落とされずそのまま堅牢な門を通り過ぎたのだった。
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