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ヴァーロの狩で得たもの
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「……美味しい!」
ナイフとフォークを使い優雅に食べるアルスは、ハンバーグを口に入れると感嘆する。
コロコロと一口サイズのハンバーグをフォークにさしてパクリと食べたフィーアも、
「おいちっ!」
と声を上げ、椅子の上で飛び跳ねる。
「フィーア。ダメダメ。いい子でおすわりだよ」
「ねえね! おいちっ! ねえねもたべて!」
「うんうん。食べるよ~」
ラハシアが丁寧にナイフでハンバーグを切っているのを横目に、アルスは僅かに身を乗り出す。
「琴葉。この料理は、ハンバーグって言ってたが、肉は固くないな??」
「ヴァーロくんがくれたイノシシの肉と、少し鳥のお肉を混ぜてひき肉にしました。それ以外にはパン粉と玉ねぎと塩コショウを少し混ぜて形を作って焼いたものです」
「い、イノシシ……オークとかじゃないよな? それに鳥って兄貴が最近狩った鳥ってもしかして……コカドリーユか!」
肉の正体を知り、唖然として兄を見る。
ヴァーロだけ三枚のハンバーグを乗せていたのだが、すでに2枚目を食べており、口のまわりのベトベトをチロッと舌で舐め、
「あ、バレちゃった。でもロック鳥と一角ウサギとワイバーンは今度食べようね! 他には……えっと……」
「いうなぁぁ! 聞きたくない!」
アルスは耳を押さえてうめく。
「あの……ダメだったのでしょうか?」
「……いや……イノシシの素材はここではやめておく……コカドリーユというのは、ちょっとヤバイ系の野生のニワトリだ……うん、ニワトリってことにしよう」
話を誤魔化そうとしたアルスの言葉尻を奪うように桜智が、
【凶暴な雄鶏に尻尾が毒蛇のアレじゃないの? ほら、琴葉、ファンタジー小説で、コカトリスっていうのがいるじゃない? 視線を合わせると石化したり、息は毒を撒き散らすとか言われてて、最悪の凶暴な伝説の鳥。バジリスクって言う伝説上の毒のトカゲも有名よね。アタシたちの地域でいたバジリスクは、そこまで脅威じゃないトカゲの一種らしいけど】
琴葉は手を止め、焦ったようにヴァーロとアルスを見る。
「あの……毒抜きとか石化解除の特殊能力ないので、そのまま調理してしまったのですが……後で石化したりしますか? あのっ! もしなったらいけないので、毒消し効果のあるもの知りませんか!」
「……すまん……俺が言い方が悪かった」
「ボクも……」
顔を見合わせた兄弟は、琴葉に頭を下げる。
「コカドリーユは、生きてる時は本当に厄介な生き物なんだが、倒すと羽根もくちばしもトサカも尾の蛇も全部使えるんだ。血は精製すると万能薬の素材に使えるし、毒消しや石化解除の薬も作れる。肉も美味くて高額で売買できる。しかも体がかなり大きいものだから、一体倒すと冒険者一人が数年働かなくて済むってくらいだ」
「でね? 前に一回市場に出したら高額で取引された上に、奪い合いも起きて……めんどくさいからそれからはちょっとずつ出してたんだけど、この間出せってアホな貴族に言われて、ありませーんって断ったの。でも断ってそんなに経ってないのにここにあるからアルス、焦ったんでしょ」
「……あぁ……ガメツイ兄貴なら売ってるはずと思った」
「だって、アイツの一族、そんな勇気もないくせに、ボクの後をくっついてただけなのに、ボクが倒したのに! 獲物を掠め取ろうとしたから強めにお仕置きしといたんだよ。なのにしょっちゅう、その息子である現在の当主がボクの獲物の所有権は父の息子である自分にあるとか言って訴えてきてさぁ……ムカついたから、アイツの屋敷に近くにいたオークの軍団を送り込んでやったよ……うん、女性や子供はちゃんと守ったとも。悪いことしてない下働きのいたあたりは被害がないようにして……」
ふふふふっ……
笑うヴァーロの話を聞かせないようにラハシアは琴葉の耳、アルスはフィーアの耳を押さえている。
桜智はオークという生き物が、前世のファンタジー小説のアレならヤバイよなぁと思いつつ、
【で、そのオークはアンタが討伐して恩は売ったのね?】
「うん、ちなみにオークキングとか上位種も退治して、屋敷はオークが壊したってことにしておいたよ」
【うん、ぶっ壊してよかったんじゃない? 他人の勲功を奪って威張ってる馬鹿はいらないでしょ】
「そうそう。で、素材に分解して、下位のオークだけ売って、これはオークキングだったと思うよ」
【そんなのは、ステーキで食べるべきだったでしょ?】
オークはファンタジーでは豚イノシシ系でも上位にくる美味い肉なのだ。
それをハンバーグとは勿体無いではないか。
「えぇぇ? そう? オークは脂身が多いんだよ。結構脂の比率が高いからそのままよりこういうふうな調理方法の方が美味しいよ。逆に鶏肉は、鶏皮剥いでたし、あっさりしてる肉だから混ぜたらちょうどいいはずだよ」
【それより豚と大根で煮物でしょ。脂身が甘くてとろけるんだから】
「あ、それもいいですね。鶏皮は今度アルスさんのお酒のおつまみとか、おやつに使います。オークの肉も脂の多いところは別にしていて、今度ラードにしようと思ってます」
「あぁ……ボク、琴葉の料理大好き……今度どんな料理が食べられるのか楽しみで仕方ないんだ」
うっとり……先程の暗黒の笑みはどこに行ったのか、思い出してだらしない表情になるヴァーロ。
「あぁ……このチキンライスも美味しいし、コロッケもやみつきになる……ポテトサラダもこのボクが敗北したくなるくらい美味しかった……」
「あ、このコロッケの中身を、ポテトサラダにしても美味しいですよ」
ナイフとフォークを使い優雅に食べるアルスは、ハンバーグを口に入れると感嘆する。
コロコロと一口サイズのハンバーグをフォークにさしてパクリと食べたフィーアも、
「おいちっ!」
と声を上げ、椅子の上で飛び跳ねる。
「フィーア。ダメダメ。いい子でおすわりだよ」
「ねえね! おいちっ! ねえねもたべて!」
「うんうん。食べるよ~」
ラハシアが丁寧にナイフでハンバーグを切っているのを横目に、アルスは僅かに身を乗り出す。
「琴葉。この料理は、ハンバーグって言ってたが、肉は固くないな??」
「ヴァーロくんがくれたイノシシの肉と、少し鳥のお肉を混ぜてひき肉にしました。それ以外にはパン粉と玉ねぎと塩コショウを少し混ぜて形を作って焼いたものです」
「い、イノシシ……オークとかじゃないよな? それに鳥って兄貴が最近狩った鳥ってもしかして……コカドリーユか!」
肉の正体を知り、唖然として兄を見る。
ヴァーロだけ三枚のハンバーグを乗せていたのだが、すでに2枚目を食べており、口のまわりのベトベトをチロッと舌で舐め、
「あ、バレちゃった。でもロック鳥と一角ウサギとワイバーンは今度食べようね! 他には……えっと……」
「いうなぁぁ! 聞きたくない!」
アルスは耳を押さえてうめく。
「あの……ダメだったのでしょうか?」
「……いや……イノシシの素材はここではやめておく……コカドリーユというのは、ちょっとヤバイ系の野生のニワトリだ……うん、ニワトリってことにしよう」
話を誤魔化そうとしたアルスの言葉尻を奪うように桜智が、
【凶暴な雄鶏に尻尾が毒蛇のアレじゃないの? ほら、琴葉、ファンタジー小説で、コカトリスっていうのがいるじゃない? 視線を合わせると石化したり、息は毒を撒き散らすとか言われてて、最悪の凶暴な伝説の鳥。バジリスクって言う伝説上の毒のトカゲも有名よね。アタシたちの地域でいたバジリスクは、そこまで脅威じゃないトカゲの一種らしいけど】
琴葉は手を止め、焦ったようにヴァーロとアルスを見る。
「あの……毒抜きとか石化解除の特殊能力ないので、そのまま調理してしまったのですが……後で石化したりしますか? あのっ! もしなったらいけないので、毒消し効果のあるもの知りませんか!」
「……すまん……俺が言い方が悪かった」
「ボクも……」
顔を見合わせた兄弟は、琴葉に頭を下げる。
「コカドリーユは、生きてる時は本当に厄介な生き物なんだが、倒すと羽根もくちばしもトサカも尾の蛇も全部使えるんだ。血は精製すると万能薬の素材に使えるし、毒消しや石化解除の薬も作れる。肉も美味くて高額で売買できる。しかも体がかなり大きいものだから、一体倒すと冒険者一人が数年働かなくて済むってくらいだ」
「でね? 前に一回市場に出したら高額で取引された上に、奪い合いも起きて……めんどくさいからそれからはちょっとずつ出してたんだけど、この間出せってアホな貴族に言われて、ありませーんって断ったの。でも断ってそんなに経ってないのにここにあるからアルス、焦ったんでしょ」
「……あぁ……ガメツイ兄貴なら売ってるはずと思った」
「だって、アイツの一族、そんな勇気もないくせに、ボクの後をくっついてただけなのに、ボクが倒したのに! 獲物を掠め取ろうとしたから強めにお仕置きしといたんだよ。なのにしょっちゅう、その息子である現在の当主がボクの獲物の所有権は父の息子である自分にあるとか言って訴えてきてさぁ……ムカついたから、アイツの屋敷に近くにいたオークの軍団を送り込んでやったよ……うん、女性や子供はちゃんと守ったとも。悪いことしてない下働きのいたあたりは被害がないようにして……」
ふふふふっ……
笑うヴァーロの話を聞かせないようにラハシアは琴葉の耳、アルスはフィーアの耳を押さえている。
桜智はオークという生き物が、前世のファンタジー小説のアレならヤバイよなぁと思いつつ、
【で、そのオークはアンタが討伐して恩は売ったのね?】
「うん、ちなみにオークキングとか上位種も退治して、屋敷はオークが壊したってことにしておいたよ」
【うん、ぶっ壊してよかったんじゃない? 他人の勲功を奪って威張ってる馬鹿はいらないでしょ】
「そうそう。で、素材に分解して、下位のオークだけ売って、これはオークキングだったと思うよ」
【そんなのは、ステーキで食べるべきだったでしょ?】
オークはファンタジーでは豚イノシシ系でも上位にくる美味い肉なのだ。
それをハンバーグとは勿体無いではないか。
「えぇぇ? そう? オークは脂身が多いんだよ。結構脂の比率が高いからそのままよりこういうふうな調理方法の方が美味しいよ。逆に鶏肉は、鶏皮剥いでたし、あっさりしてる肉だから混ぜたらちょうどいいはずだよ」
【それより豚と大根で煮物でしょ。脂身が甘くてとろけるんだから】
「あ、それもいいですね。鶏皮は今度アルスさんのお酒のおつまみとか、おやつに使います。オークの肉も脂の多いところは別にしていて、今度ラードにしようと思ってます」
「あぁ……ボク、琴葉の料理大好き……今度どんな料理が食べられるのか楽しみで仕方ないんだ」
うっとり……先程の暗黒の笑みはどこに行ったのか、思い出してだらしない表情になるヴァーロ。
「あぁ……このチキンライスも美味しいし、コロッケもやみつきになる……ポテトサラダもこのボクが敗北したくなるくらい美味しかった……」
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