上 下
29 / 66
第二章 魔法少年唯一無二(オンリーワン)

壊れる世界

しおりを挟む
 イクローは青ざめたまま、ハッと顔を上げた。

「……今回の? とはどういう意味だ?」

 サン・ジェルマンは目を閉じて思案するような顔になった。

「そうだな……。 実はこの世界は全部作り物で、君たちが生まれて十八歳になるまでを何万回、何十万回、何百万回……繰り返してると言ったら、どう思うね?」

 イクローは吐き捨てるように言った。

「何バカな事を言ってるんだ。 俺が聞きたいのはそんな事じゃねえ……」

 彼は言いながらも、なぜか記憶の底でそれを肯定する感情が浮き上がってくるのを抑えられなかった。

「い、いや……そんな……そんなバカな……事……」

 項垂れて頭を抑えるイクローを見つめながらサン・ジェルマンは頷いた。

「そうだ。 何度リセットされようとも、我々の中にわずかに記憶は蓄積されていく。 だから真実に出会った時に、我々はそれを否定する事はできないのだ」

 周囲はシーンと静まり返った。

 スピカも、ライアットも、オスティナも、ルーも、バレッタも……みんなこんな突拍子もない事を言われて誰一人それが間違ってると確信が持てないのだ。
 わかってしまう。
 それが正しい事だとわかってしまうのだ。
 それは魂に刻み込まれた記憶のような物が彼らに、彼らの心に囁くのだ。

 ふと、サン・ジェルマンは右手の人差し指を立てた。

「圓道イクロー。 知っているかい? 『本物』の魔法少女は人間ではなく、魔法で死ぬと塩の塊になってしまうのだという事を」

「ほ、本物? ……塩?」

 半ば放心状態でオウム返しのように答える彼を後目に、サン・ジェルマンは話を続けた。

「実はこの世界でも、塩になってしまう存在がいるのだ。 それは……圓道生朗の『欠片』である、我々だよ」

「一体誰が……こんな実験のフラスコの中みたいな世界を作ったってんでぇ!!」

 耐えきれなくなったのか、ライアットが吐き捨てるように叫んだ。

 すると森の入り口の方から白い人影がすぅ、と現れた。

「この世界を作ったのは、キルカ・ティアマトなの」

 それは魔導鎧に身を包んだキルカだった。

「あなたが? あなたがこの世界を作ったというの?」

 さしもの冷静なオスティナも声を震わせながら彼女に聞いた。
 キルカはふるふる、と首を横に振った。

「わたしではないの。 わたしはあくまでこの世界のキルカ・ハニーオランジェ・ティアマト。 この世界を作ったのは『本物』のキルカ・ティアマトなの」

「ま、待てよ……。 待ってくれよ、キルカ。 それじゃ…まさか……あたいら全員……コピーだって……そう言うのかよ?」

 ライアットはキルカを見つめて茫然とした表情を浮かべた。

「なのなの」

 キルカは無情にも、こくこく、と頷いた。
 それを受けてサン・ジェルマンが話を続けた。

「さすがに全員がコピーというわけではないさ。 主要人物以外は単なる作り物のホムンクルスだ。 確実にコピーだと言えるのは、我々圓道生朗の『欠片』と、七人の魔姫。 つまり、君たちだ。 あとは魔法少女たちはオリジナルがいる者が大半だがね……」

 イクローは立ち上がって顔を上げた。

「なんでだ……キルカ・ティアマトはなぜこんな世界を作ったんだ?」

 サン・ジェルマンは少し悲し気な目をして空を見上げた。

「圓道生朗のため、だ」

「どういう……事だ?」

 サン・ジェルマンは口元に少し笑みを浮かべると魔法でそこに椅子を出して腰かけた。

「……本来ならば君と私の間に会話は必要はないのだが。 ここにいる皆のために簡単に説明をしよう。 ……そうだ、この世界は圓道生朗のために作られたものだ」

「だから……なんで? なんでそんな事になるんだよ?」

「それは……オリジナルの圓道生朗が死んだからだよ」

 サン・ジェルマンの言葉に皆息を呑んだ。
 この男は何を言っているんだ? と理性では思うのだが……魂の記憶はそうは言っていなかった。
 それがまた彼らを混乱させた。

「キルカ・ティアマトはわずかに残った圓道生朗の魂を魔法で閉じ込めた。 その魂を再生させるために、何度も何度も彼の生きた十八年間をシミュレートし始めたのだよ。 それがこの世界だ。 この世界は本来の世界の時間軸で言えばほぼ一年間が一秒程度で過ぎていく。 ……さすがは史上最強の魔法少女キルカ・ティアマトだよ。 恐ろしいまでの魔力だ。 こんなまるで本物のような世界を一つ簡単に実験のために作り出せてしまうのだから」

「圓道……生朗が死んだ?」

 イクローはまた信じられないものを見るような目でサン・ジェルマンを凝視した。

「その通りだ。 キルカ・ティアマトはいたくそれを悲しんだ。 彼を再生させようと肉体を再構成した。 だがどうしても魂の総量が足りなかった……。 それで彼女は残った彼の魂をこの世界に封じ込めて、この世界でその魂を育てようと考えたのだ。 なぜ我々『欠片』が存在するかわかるかね? 彼の魂の持つ魔力が高すぎて一人の肉体では賄いきれないからだ。 それでいつもその魂を何人かに分けてこの世界に『欠片』を作るのだ」

 サン・ジェルマンの言葉を聞きながら、イクローはハッとした顔になると彼を睨み付けた。

「……ひとつ、聞かせてくれ。 あんたはなぜそんな事を知っている? そしてあんたは何者なんだ? ただの『欠片』とは思えない」

 するとサン・ジェルマンは右手を上げた。

「まぁ、こんな所で話すのもなんだ。 そしてこの話は恐らく全校の魔法少女たちにも聞かせた方がいいだろう。 ……彼女らもまたオリジナルを持つ身なのだから」

 そしてその右手の指を鳴らすと、彼らは一瞬で校舎の中へと転送された。
 そこは皆が勝手知ったる校舎の入り口の広いロビーだった。
 森での惨状がまるで嘘のようにここはいつも通りだった。
 たくさんのマイチュア・マギエ学園の制服を着た魔法少女たちがずらりと並んでいた。

「な、なんだこりゃあ?!」

 ライアットが声を上げると、彼女の元へ数人の生徒が駆け寄った。

「姐さん! よくご無事で!」
「お、おう。 お前らも無事でよかった……」

 ライアットは嬉しそうに彼女たちを見回して笑った。
 恐らくは第二生徒会のメンバーなのだろう。

 見ればオスティナやメタルカの周りにも生徒たちが集まって彼女らを取り囲んでいた。

 そして背の高い咥えタバコの女性が彼らの前に仁王立ちになるとサン・ジェルマンを睨み付けた。

「理事長! これはどういう事か説明していただこうか? 突然AMGGの襲撃を受けたかと思えば、いつの間にか我々全員ここに集められていた……。 なんの茶番だ?」

「あぁ、これは黒井先生。 詳しい事はこれから……そしてできれば全チャンネルでの魔法放送の準備をお願いしたい」

 サン・ジェルマンが言うと黒井は顔をしかめながらも、渋々と言った感じで校舎の奥へと向かった。

「絶対説明してもらうぞ? 理事長!」

「わかっているよ」

 サン・ジェルマンは少し笑みを浮かべながら彼女を見送ると、 ロビー後ろの階段の踊り場の上へと一瞬で移動して、そこで皆を見下ろした。

「私は死に場所を心得たよ。 ……これが私の最後の仕事だろう」

 彼はそう独り言ちて、彼を見上げているイクローとトリガーを見つめて、優し気な笑みを口元に浮かべた。

 魔法通信の支度ができた、と黒井から連絡を受けると彼は小さく頷いて、魔法でできたスポットライトを浴びながら手を広げた。

「我が愛するマイチュア・マギエ学園の生徒諸君。 私がこの学園の理事長、サン・ジェルマンだ。 ……少し私の話を聞いてほしい」

 彼はそう切り出すと、イクローたちに話した世界の成り立ち、ここにいる皆が実はオリジナルを別に持つコピーであることなどを淡々と説明していった。
 生徒たちはどよめいたが、誰もそれを疑う者はいなかった。
 それはやはり魂に繰り返された実験で澱のように降り積もっていった記憶のためだろうか。

「さて、圓道イクロー。 君は先ほど私に聞いたね? ……私が何者であり、なぜこのような世界の秘密を知っているのかと」

 そう問いかけられて、イクローは頷いた。

「私は、単なるプログラムのエラーが生み出したバグだよ」

 彼は淡々とそう言って、目を閉じた。

「そうとも……私はバグだ。 私は君より十数代前の圓道イクローの成れの果てだ」

 サン・ジェルマンはイクローを静かな眼差しで見下ろしてもう一度そう言った。

「いつもなら十八歳になった時点で世界まるごとリセットされて、圓道イクローも生まれ変わる。 だが、私はどういうわけか私という存在のまま残ってしまった。 別の圓道イクローも生まれたというのにだ。 そして……単純に時間で換算すれば百二十年ほどの時間をこのまま過ごしている。 私はその間に知識を付けた。 そしてこのおかしな世界を壊せないか、と色々な事を試してきた。 この学園もそうだ。 ……元々の設定された世界にはこの学園はなかった。 ただただ人間が魔法少女を迫害し、彼女たちもまたそんな人間に抗って戦う……そんな世界だったのだよ」

 そしてサン・ジェルマンは少し憂いを帯びた表情になると、イクローの横にあった魔導書グリモワールを魔法でふわり、と浮かせると手元へと導いた。

「そして私は魔導書かれと出会ったのだ。 この魔導書は……この世界の維持を司るプログラムそのものなのだ」

 生徒たちの視線が一斉に魔導書へと注がれた。

「……その通りだ。 私はこの世界の維持の為にキルカ・ティアマトによって作られた魔導プログラムだ」

 魔導書が重々しいその口を開いた。
 いや、口がどこにあるのかはわからないが。

「この世界は、圓道イクローの魂の育成のため。 そしてもう一つの実験目的を持って作られた。 それはキルカ・ティアマトの望む、人間と魔法少女の共存の道を探るためだ」

 魔導書の言葉にまた生徒たちの間にどよめきが走った。
 常に魔法少女が人間と争ってばかりのこの世界が人間との共存を目指した世界である、などとはにわかには信じられない。

「……本来、魔法少女は人間ではない。 ならば魔法少女を人間とした場合はどのような結果を生むのか。 そのシミュレーションのためにこの世界が作られた」

 ライアットが眉をひそめた。

「それが気になってるんだ! 魔法少女が人間じゃない……さっきもあんた、そう言っていたよな?」

 彼女はサン・ジェルマンに向かって指を差して叫んだ。

「その通り。 魔法少女は人間ではない。 オリジナルの世界ではあれは魔法界という別の世界の住人で、人間の住まう世界の者ではないのだよ」

 サン・ジェルマンは手元に魔法で光る文字を書くとそれを生徒たちに示した。

「オリジナルと我々とはいくつか相違がある。 まず、我々は魔法で死んだとしても塩にはならない。 そしてオリジナルの魔法少女は十八歳で魔力上がり、という現象が起きてその魔力を失うのだが……それも我々にはない。 あとオリジナルには魔法の属性がない。 まだ細かい事はいくつかあるのだが……主だったところはこれくらいだ」

 突然メタルカが手を上げた。

「しつも~ん! よくわかんないんだけどぉ? それでオリジナルの話を聞いてあたしたちに何か関係があるわけ? どちらにしろあたしたちはイクローくんが十八歳になったらリセットされちゃうんでしょ?」

 サン・ジェルマンは笑みを浮かべて軽く拍手をして見せた。

「いい質問だよ。 メタルカ・ラグジュリア・キシャム。 ……私がずっと知識を蓄えてきた目的をさっき話したね?」

 メタルカはその大きな赤い瞳を瞬かせた。

「……世界を……壊す、ため?」

 サン・ジェルマンはまた拍手をした。

「そう。 その通りだ。 では、この世界を壊すにはどうしたらいいのか。 この無限にも続く十八年間のループだけの世界をどうすればいいのか」

 彼は鋭い目でメタルカを見据え、そしてニヤリ、と笑った。

「我々がここから出ていけばいいのだよ、単純な話さ」

 メタルカは目を丸くした。

「出る……ってこの世界からどうやって出るっていうの?」

 サン・ジェルマンは魔導書を掲げた。

「出られるさ。 その方法は彼が知っている」

「そうだ……この世界から出る方法を私は知っている」

 魔導書も彼の言葉に同意して低い重々しい声で言う。

「だが……この世界を出るって言ったって……この世界にいる人間全てを出す事は不可能じゃないのか? そもそもおかしいじゃねえか……方法を知っているなら、なぜもっと早く出ようとしなかった?」

 イクローが言うと、サン・ジェルマンは首を横に振った。

「外に出られるのは、オリジナルがいる者のみだ。 先ほども言ったが、他の者は人格を与えられたホムンクルスでしかないのだよ。 善人であれ悪人であれ、それは所詮作り物の命なのだ。 そして最後の問いについてだが……今まで現在の君ほどに魔力が高まった圓道イクローはいなかったからだ。 それは他の魔姫たちについても言える。 そして全ての条件を揃えるのに私がこれだけの時間を必要としたからだよ」

 バレッタやルーの脳裏に優しかった王宮の人々やリカルド、傭兵の仲間たちの顔が走馬灯のように浮かんでは消えた。

「いやっす!! あたしは……いやっすよ! 師匠や……王宮の人たちにもう会えないなんて!! そもそも残った人たちはどうなるんす? この世界はどうなるんすか?」

 バレッタは涙目で叫んだ。
 ルーが彼女の肩を抱くが、彼女の瞳にも光るものがあった。

 サン・ジェルマンは一瞬目を閉じ、わずかに俯いた。
 そして静かにゆっくりと言った。

「オリジナルのいる者を外に出すためにはこの世界のプログラムを崩壊させなければならない。 つまり、この世界は消えてなくなるのだ」

「そ……そんなのって……そんなのって……ないっすよ……ひどすぎるっすよ……リカルド師匠はリズを養子にしたばかりっすよ……傭兵も引退してこれからはリズとのんびり生きるって、そう言ってたのに……!」

 バレッタはうわごとのように言うとその場に泣き崩れた。
 ルーも辛そうにしながら彼女の肩を抱き続けている。

「バレッタ・パッラ・ベレッタ。 君にはもう一つつらい事を告げなければならない。 君の兄、トリガー・ぺルラ・ズィターノの事だ。 彼は圓道生朗の『欠片』だ。 ……つまり、彼のオリジナルは存在しない」

 バレッタは大きく目を開いて顔を上げた。

「どういう……事っすか……?」

「まぁ……私も同様なのだがね。 つまり、君たちが外に出るまでに、私とトリガーはその命を終えなければならない。 ……私たちの命は圓道イクロー、君にその人格、記憶、経験、魔力その他全てが受け継がれる。 君に統合されて一人の人格となるのだよ」

「なんだって……?」

 イクローは思わずトリガーの顔を見た。
 トリガーは少し寂しそうに、だが優し気な顔で笑って、頷いた。

「そうだ。 圓道イクロー。 僕は君になる。 君は僕を受け継いで外へ行くんだ」

「そんな……何か、何か方法はないのかよ!? サン・ジェルマン!!」

 イクローが怒鳴るとサン・ジェルマンは首を振った。

「方法はない。 私とトリガーが死んで君に我々の全てを与えて、君は私としてトリガーとしての全てを受け継いで外へ出なくてはいけないのだ」

「他の『欠片』のヤツラは?」

 イクローが低い声で尋ねるとサン・ジェルマンは彼の胸をそっと指さした。

「彼らは本人の同意のもと、私の手で命を奪った。 そして彼らの記憶やその他全てが、今君の胸に埋まっている魔導石となっているのだ。 恐らく、私とトリガーという大きな『欠片』が君に統合されれば、その石は完全に君の体に同化するだろう。 君は人間として生きた彼らやトリガーの想いを全て背負って行かなければならない」

「そんな……そんな事って……。 バカ野郎……!!」

 イクローは座り込んで泣きながら校舎のロビーの床を殴りつけた。

「つまりだ、圓道イクロー。 私の知識や記憶が君に統合されたら、君はこれからどうするべきかを全て知るだろう。 我々の消滅は死ではない。 あくまでも君に統合されるだけだ。 それは死ぬよりもずっと素晴らしい事なんだよ」

「いやっすよ!! そんなの絶対いやっすよ!!」

 バレッタは顔を涙でぐしゃぐしゃにして叫んだ。

「おにいちゃん……やっと会えたのに……またいなくなっちゃうなんて!! そんなのいやっすよぉぉ!!」

 彼女の慟哭はロビーに響き渡った。

「……私だっていやよ。 私だってやっと会えたのに……」

 彼女の隣で涙を溜めながらルーも呟いた。
 そして二人は泣きながら抱き合った。

「……私もイヤよ……本当はそんなのすごくイヤ! でもこのままこの世界と一緒に消えてしまうなら……いっそ……」

 トリガーの後ろでラムも顔を手で覆って小さな声で言った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

「お節介鬼神とタヌキ娘のほっこり喫茶店~お疲れ心にお茶を一杯~」

GOM
キャラ文芸
  ここは四国のど真ん中、お大師様の力に守られた地。  そこに住まう、お節介焼きなあやかし達と人々の物語。  GOMがお送りします地元ファンタジー物語。  アルファポリス初登場です。 イラスト:鷲羽さん  

心に白い曼珠沙華

夜鳥すぱり
キャラ文芸
柔和な顔つきにひょろりとした体躯で、良くも悪くもあまり目立たない子供、藤原鷹雪(ふじわらのたかゆき)は十二になったばかり。 平安の都、長月半ばの早朝、都では大きな祭りが取り行われようとしていた。 鷹雪は遠くから聞こえる笛の音に誘われるように、六条の屋敷を抜けだし、お供も付けずに、徒歩で都の大通りへと向かった。あっちこっちと、もの珍しいものに足を止めては、キョロキョロ物色しながらゆっくりと大通りを歩いていると、路地裏でなにやら揉め事が。鷹雪と同い年くらいの、美しい可憐な少女が争いに巻き込まれている。助け逃げたは良いが、鷹雪は倒れてしまって……。

宵どれ月衛の事件帖

Jem
キャラ文芸
 舞台は大正時代。旧制高等学校高等科3年生の穂村烈生(ほむら・れつお 20歳)と神之屋月衛(かみのや・つきえ 21歳)の結成するミステリー研究会にはさまざまな怪奇事件が持ち込まれる。ある夏の日に持ち込まれたのは「髪が伸びる日本人形」。相談者は元の人形の持ち主である妹の身に何かあったのではないかと訴える。一見、ありきたりな謎のようだったが、翌日、相談者の妹から助けを求める電報が届き…!?  神社の息子で始祖の巫女を降ろして魔を斬る月衛と剣術の達人である烈生が、禁断の愛に悩みながら怪奇事件に挑みます。 登場人物 神之屋月衛(かみのや・つきえ 21歳):ある離島の神社の長男。始祖の巫女・ミノの依代として魔を斬る能力を持つ。白蛇の精を思わせる優婉な美貌に似合わぬ毒舌家で、富士ヶ嶺高等学校ミステリー研究会の頭脳。書生として身を寄せる穂村子爵家の嫡男である烈生との禁断の愛に悩む。 穂村烈生(ほむら・れつお 20歳):斜陽華族である穂村子爵家の嫡男。文武両道の爽やかな熱血漢で人望がある。紅毛に鳶色の瞳の美丈夫で、富士ヶ嶺高等学校ミステリー研究会の部長。書生の月衛を、身分を越えて熱愛する。 猿飛銀螺(さるとび・ぎんら 23歳):富士ヶ嶺高等学校高等科に留年を繰り返して居座る、伝説の3年生。逞しい長身に白皙の美貌を誇る発展家。ミステリー研究会に部員でもないのに昼寝しに押しかけてくる。育ちの良い烈生や潔癖な月衛の気付かない視点から、推理のヒントをくれることもなくはない。

銀鉄高校バトルードエス王子と姫と騎士の話ー

リョウ
キャラ文芸
マモルはある日、超絶美形の先輩、菱形リキに呼び出された。リキは自分の妹、七瀬を守る騎士になる事を強要する。七瀬はその美貌のため、告白してくる人間があとを絶たず困っていた。マモルは七瀬につられ騎士になる事を約束してしまう。 えびせんや折り紙や書道など、普通の事を何故か武器として操る人々と戦う羽目になるマモルの物語。 つっこみ系主人公がいろんな能力者(現実的)に巻き込まれる、日常学園異能バトルのラブコメ。

ヴァーチャル・プライベート・ネットワーク・ガールズ:VPNGs

吉野茉莉
キャラ文芸
【キャライラストつき】【40文字×17行で300Pほど】 2024/01/15更新完了しました。  2042年。  瞳に装着されたレンズを通してネットに接続されている世界。  人々の暮らしは大きく変わり、世界中、月や火星まで家にいながら旅行できるようになった世界。  それでも、かろうじてリアルに学校制度が残っている世界。  これはそこで暮らす彼女たちの物語。  半ひきこもりでぼっちの久慈彩花は、週に一度の登校の帰り、寄り道をした場所で奇妙な指輪を受け取る。なんの気になしにその指輪をはめたとき、システムが勝手に起動し、女子高校生内で密かに行われているゲームに参加することになってしまう。

幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~

しんいち
キャラ文芸
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。 のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。 彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。 そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。 しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。 その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。 友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?

骨董品鑑定士ハリエットと「呪い」の指環

雲井咲穂(くもいさほ)
キャラ文芸
家族と共に小さな骨董品店を営むハリエット・マルグレーンの元に、「霊媒師」を自称する青年アルフレッドが訪れる。彼はハリエットの「とある能力」を見込んで一つの依頼を持ち掛けた。伯爵家の「ガーネットの指環」にかけられた「呪い」の正体を暴き出し、隠された真実を見つけ出して欲しいということなのだが…。 胡散臭い厄介ごとに関わりたくないと一度は断るものの、差し迫った事情――トラブルメーカーな兄が作った多額の「賠償金」の肩代わりを条件に、ハリエットはしぶしぶアルフレッドに協力することになるのだが…。次から次に押し寄せる、「不可解な現象」から逃げ出さず、依頼を完遂することはできるのだろうか――?

処理中です...