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第二章 魔法少年唯一無二(オンリーワン)
奔流 02
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ラムとトリガーの乗るバイクが学園の森の中へと飛び込んだ瞬間、赤い閃光が走った。
「ラムッ!! 伏せろ!!」
トリガーは叫んで、瞬時にベルトで繋がったラムの身体を抱きしめると彼女の身体ごとバイクから飛び降りて彼女を庇うようにその赤い髪を抱きしめて寝転んだ。
「と、トリガー!!」
ラムは叫びながら高速詠唱をして土を盛り上がらせて即席の防御壁を作った。
彼らが土の壁の後ろで身を伏せると、すぐに激しい爆発が起こり辺り一面が真っ赤な炎に包まれた。
一瞬遅れて突風のような爆風が襲いかかり、乗り捨てた彼女のバイクすらも空に舞い上がって地面に叩き付けられてひしゃげた。
木や土が爆風で舞上げられ、辺りはもうもうとした土煙で何も見えなかった。
「う……」
トリガーが呻きながら顔を上げると、彼の顔の下でラムが心配そうに彼を見上げていた。
「ラム……怪我はない?」
彼は腰のベルトを外して彼女の細い腰を開放すると、起き上がりながら手で頭を押さえて左右に軽く振った。
爆風の影響で耳鳴りがして、じんじんと頭が痛んだ。
ラムも身を起こすと、少し安堵した顔で答える。
「ええ、わたしはなんともないわ。 トリガー、あなたこそ大丈夫?」
彼女が心配そうに声をかけると、彼は完全に立ち上がって身体を確かめるように腕や足を動かし、頷いた。
「ああ、問題はないようだ……急ごう! 姫様たちが心配だ!」
トリガーはすぐにそう言って背中に背負ったライフルを構え直すと注意深く土煙の中へ目を懲らした。
二人が走りながら森の中へ入ると、AMGGのテロリストたちが彼らを見てめくら撃ちに攻撃をしてきた。
「チッ、けっこう入り込んでいるな……。 向こうもだいぶ混乱しているようだが……」
彼が落ち着いた声で言うと、ラムも頷いてその手に長槍の魔導杖を出現させた。
「わたしが魔力で魔法少女たちを捜してみるわ」
彼女はそう言って槍のロッドを地面に突き立てて目を閉じた。
地属性の彼女はこうすることで広範囲を魔力探知することができる。
「頼む」
トリガーは短く答えて、こちらへ銃を乱射しながら走ってくるテロリストたちをライフルで倒していった。
ラムはすぐに一瞬眉を寄せると目を開けた。
「トリガー、すぐそこの茂みに魔力を持った誰かがいる。 全く動かないから気を失っているか、怪我をしていると思うんだけど……」
彼女が顔を上げて言うと、トリガーは頷いた。
「わかった。 できるだけこの学園の魔法少女なら助けたい……彼女らに罪はないのだから」
ラムも頷いて二人は身を木の陰に隠しながら、その魔力反応へと移動していった。
そこには爆風で吹き飛ばされてきたらしい、ボロボロになったゴスロリっぽい黒と灰色の魔導鎧を身にまとった少女が煤だらけになって捨てられた人形のように転がっていた。
どうやら彼女のいた辺りは爆撃で結界にほころびができて、魔法転送されなかったらしい。
「……この子は……?」
その倒れている魔力の主の姿を見てトリガーは心配そうにのぞき込んだ。
「大丈夫、死んではいないわ」
ラムは彼女の首筋に手を当てて言って、その少女を抱き上げた。
首筋に二つの小さな穴のような妙な傷があるのが気になったが、とりあえずはそんな事を気にしている場合ではない。
ラムは高速詠唱を始めると地面に四角い穴を開けた。
「さぁ、彼女を運んで……」
彼女が言うとトリガーはラムから彼女を受け取って、抱き上げながら慎重にその穴へと入っていった。
知らぬ相手とはいえ、テロリストの手によって意味もわからないまま殺される魔法少女を見るのは忍びなかった。
そして彼女を抱きかかえるような形のままラムの空けた穴へ潜って行った。
穴の奥まで行くと、そっと少女を寝かせて、トリガーは入り口へと戻っていった。
ラムは入り口を塞いで周囲を索敵していた。
「ラム? 敵は何人くらいいる?」
トリガーはライフルを構えながら弾倉を抜いて残弾を確認しながら聞いた。
ラムは槍の魔導杖を地面に突き刺して探知をしながら彼を見る。
「集結しているのは二十人ほどね……思ったより多いわ」
そしてラムは眉間に皺を寄せながら、少し難しい顔をしながら探知を続けた。
「……いえ。 あと八人ほど……魔法探知を受け付けない何か、がいるわ。 恐らく対魔法防御服を装備しているわね……」
彼女が言うと、トリガーは無表情のまま頷いた。
「そいつらは僕がやる。 通常攻撃なら問題はない。 ラムは他のやつらを頼む。 ……そいつらの正確な位置を教えてくれ」
ラムが頷いて口を開こうとして、また怪訝そうな顔をして首をひねった。
「どうした?」
彼が彼女に尋ねると、彼女は彼を見つめて言った。
「……そいつら……誰かと戦っているみたい」
「ラム、入り口を少し開いてくれ」
ラムが入り口に穴を空けるとトリガーは懐から暗視双眼鏡を取り出して木々の間を縫うように彼女の指し示す方向をそれで見た。
よくは見えないが、たしかにところどころにマズルフラッシュが見えた。
耳を澄ませば僅かに銃声も聞こえる。
「まだ生き残りの魔法少女がいて戦っているのか?」
トリガーがそう呟くとラムが頷いた。
「そうみたい。 魔力を感じるわ……ただ……」
ラムが口ごもるとトリガーは眉をひそめる。
「ただ?」
彼女は首をひねりながら答えた。
「……その子、一人だけみたいなのよ」
ラムの答えにトリガーは少し眼を見開いた。
「一人で三十人近くのテロリストと戦っている魔法少女がいるっていうのか?」
彼が驚いた風に言うと、ラムは頷いた。
「なんて無茶な奴だ……。 僕が援護に向かう。 ラム、君はあの子を見ていてくれ」
「わかったわ。 あなたも無茶はしないで」
トリガーは僅かに笑顔を浮かべた。
そして穴から飛び出すとマズルフラッシュがある方向へと走った。
気に身を隠しながら暗視双眼鏡で様子を窺うと、そのあたりにオレンジ色の竜巻が巻き起こりながらテロリストたちを薙ぎ払う者がいた。
そして彼女が立ち止まって、叫びをあげながら両手に持ったオレンジ色のおもちゃのようなマシンピストルから弾丸をばら撒き、更にテロリストたちを撃ち倒していくのが見えた。
「べ、ベッキー!?」
トリガーは目を剥いて叫んだ。
彼の声に周囲のテロリストがこちらにも発砲してくる。
「チッ」
彼は舌打ちをしながら手榴弾を投げると、爆発まで身を隠し、爆発後にライフルを撃ちながら木陰を移動していった。
ベッキー、というのは彼の妹、レベッカ・パルメ・ズィターノの愛称である。
そしてその真名を持つのは、他ならぬ、バレッタだった。
彼女はトリガーの姿を目に止めるとぼそっと呟いた。
「お……お兄ちゃん?」
バレッタはやけに目を赤く輝かせて、剣呑な気を放っていた。
だが、彼女はすぐに唇を歪めて嗤うと、トリガーに銃口を向けた。
「お兄ちゃんが……こんなとこにいるわけないっす……。 あたしを騙そうとしてもそうはいかないっすよ……」
彼女はぼそぼそと呟くように言いながら、問答無用で弾丸を放った。
「チッ!」
トリガーは舌打ちをしながら地面を転がって彼女の攻撃を避けつつ、ラムのいる穴の方へと退がった。
「ベッキー……魔力酔いしてるのか?」
彼女の尋常じゃない様子を見てトリガーは呟く。
とんだ数年ぶりの兄妹再会になってしまったようだ、と思う。
魔力酔い、とは魔力が上がりすぎて異常なハイテンションになって自制が利かなくなる事だ。
ヴァルプルギスの夜である事に加えてアオイの注入した吸血鬼の血、さらにこの敵の多い中たった一人の戦闘行為。
それらの原因が重なりあって、彼女は魔力を暴走させた戦闘マシーンと化していたのだ。
ライアットと対魔法防御服を着たゴリラ男は対峙したまま、睨み合っていた。
お互いに幾度も攻撃を繰り出し合うが、どちらも有効なダメージを与える事ができずに、戦いは膠着していた。
「チッ、ほんとめんどくせぇ!!」
ライアットが叫びながら一本の棒へに変形させた魔導杖を全力で振り回し上下左右から殴りつけているのだが、ゴリラ男はそれを両手に持った拳銃で軽くいなして力の方向を変えて避けてしまう。
(こいつ……バレッタの奴と戦闘スタイルが似てやがる! えっと……なんだっけ? ガン・カタとか言ってたっけか?)
彼女はバレッタの得意とする銃を使った格闘技のような戦術を思い出しながら考える。
魔法を無効化されていなければいくらでもやりようはあるのだが、この場合はあくまで格闘を主体に戦術を組み立てなければならなかった。
それで何度か戦った事のあるバレッタとの戦いからヒントを掴もうと攻防を繰り返しながら必死に脳をフル回転させていた。
そもそも彼女にとってはバレッタも充分に「やりにくい」相手なのだ。
何せ基本的には同じ属性を持っているので雷撃系の魔法はほぼ効果がない、すなわち彼女との戦いは今の状況に近い物があるのだ。
ライアットのように直線的な攻撃になりやすい力技で押すタイプは、バレッタやこの男のように攻撃をいなす技術を持っている相手は苦手中の苦手でもある。
かといって速度と手数で押してみた場合は、それはそれでどうしても攻撃の威力が落ちてしまうため、これもまた致命傷を与えにくい。
本来であれば打撃に魔力を載せる事で、彼女の雷撃には触れただけでも高圧の電流が流れているのでそれだけの攻撃力となるのだが、対魔法防御服を着た相手には魔法が無効化されてしまうので、その威力にも期待できない。
なので攻撃に振り分ける分の魔力を彼女は全て防御に回している。
これならば、ゴリラ男のデザートイーグルから放たれる強力なマグナム弾すらも彼女の雷を応用した電磁バリヤーのような障壁ではじき返すことができる。
おかげでなんとか彼女自身も大きなダメージを負うことなくこうして戦闘を続けていられるのだ。
片や、そのゴリラのような大男も攻めあぐねて、些か憔悴していた。
何せ彼の武器は強力とはいえ、ハンドガン二丁だけである。
そして相対する魔法少女には銃火器はほとんど効果がないようだ、と見て手詰まりになっている。
手に持ったデザートイーグルの弾丸も残り少ない。
これはもう消耗戦だった。
男の体力と防御服のバッテリがどこまで保つか、それかライアットの魔力がどこまで保つか、その勝負である。
二人はどちらもその力を温存するように動き始めた。
……もっともそうなると男が不利である。
体力は温存できても、防御服のバッテリは無情に減っていくばかりだからだ。
もちろん予備バッテリは持っているが、交換している隙に攻撃されれば全ては終わるだろう。
男は額に脂汗を浮かせながら、忌々しげに目の前の魔法少女を睨み付けた。
そして彼女に残った弾丸を全て発射した。
あまり連射の利かないデザートイーグルを横に移動しながら、それでも最短のタイミングで残弾三発ずつ、左右合わせて六発を彼女の頭と手足に振り分けで撃った。
ライアットは魔力をピンポイントに振り分けでその弾丸をはじき返す。
だがそれでも、ほんの一瞬彼女の動きが止まる。
それが男の狙いだった。
彼女が弾丸を弾いている隙に、男は手に持った銃のマガジンのロックを外して地面に落とし、尻に下げたアーモパックの予備マガジンを後ろ手に瞬時に装着した。
だがその弾倉はやけに長く、おかしな形状をしている。
男はそのマガジンの下にくっついたやけに長い部分を覆っているカバーのような物を歯で咥えて外した。
それはアーミーナイフの刃の形状になっている。
銃床からナイフが生えた異形のハンドガンへとそれは形を変えた。
「ハン! 銃じゃ勝負にならねえと踏んで、格闘戦をやろうってのかい?」
ライアットは男を睨み付けて、ロッドを構えた。
男は黙ったまま口元を歪めて、醜悪なゴリラ顔に不敵な笑みを浮かべながら両手の銃を刃を煌めかせながら構えた。
「チッ! ハッタリは効かねぇぜ?」
彼女はそう軽口を叩きながらも、細心に警戒していた。
わざわざ残り弾を捨てて隙を作らせてまで装着したナイフが、ただのハッタリとは思えなかった。
緊張しながらライアットはロッドを握る手に力を込めた。
そして彼女はロッドをまた瞬時にトンファー型に戻して両手に構えた。
ナイフ相手ならば長尺の方が有利とも思えるが、どうしても速度に劣る。
攻防一体のトンファーがベスト、と判断したのだ。
片やイクローとアオイは残り二人の対魔法防御服を着た男だちをそれぞれ一人ずつ相手にしていた。
イクローは槍型のロッドにまだ慣れておらず、使い道に少し戸惑っていた。
(まだ隠しておきたかったが……そんな事を言ってる場合じゃねえか)
彼はそう考え、槍を一度地面に突き立てると一瞬目を閉じて自身の体に魔力を張り巡らせた。
すると右手だけだった手甲が左手にも現れ、首の周りに炎でできたマフラーが巻かれた。
これが彼本来の魔導鎧であり、魔導杖である。
そう、彼の魔導杖は実はこのガントレットなのだ。
その両腕から炎が燃え盛って彼の周囲で渦巻いた。
そして新たな魔導杖である槍をその手に掴むと、槍の穂先が炎と化して燃え上がった。
「へへ……なんだよ、お前も俺が本気になるまで本気出さなかったって事かよ」
イクローは燃え盛る槍を見つめて一人笑った。
わかった。
彼の脳裏にこの槍の特性、使い方が流れ込んでくる。
そして、その名前も。
「いくぜ! 『炎の魔槍』!!」
槍は彼の声に応えるかのように一層激しく炎を上げた。
アオイの方は横目で激しく燃え上がるイクローを見ながら、もうひとりと対峙して、その鋭い爪を伸ばした。
一瞬で間合いを詰めると彼女は一気にその対魔法防御服をまるで紙のように爪で引き裂いた。
そもそも彼女の技は魔法ではない。
防御服を着ていようがいまいが関係ないのだ。
そして呆気なくその防御服を爪で貫き、男が絶命すると彼女は金色に目を光らせながら、その血まみれの爪をペロリ、と舐めて妖艶な顔で微笑んだ。
彼女もまた、バレッタの血で吸血鬼の本能を抑えきれないくらい昂っているのだろう。
アオイはそのままひらり、と飛ぶと周囲のテロリストたちを追いかけて、まるで猫が獲物を嬲るように次々と倒していった。
彼女は敵を倒すたびに、ふぅ、と熱い吐息を吐いて、愉悦の笑みを浮かべる。
正真正銘、呪われた血を受け継ぐ吸血鬼の末裔そのものの姿がそこにあった。
普段の可愛らしい素直な少女の面影は今はそこには微塵もない。
本来であれば人を殺すような状況になるはずのない学園で彼女が初めて見せる恐ろしい一面だった。
「渇く……渇くよぉ……」
彼女はそう呟いて倒した敵の首筋に噛みつき、その血を吸った。
「あ……あの子……どうなってんの!?」
その姿を見てメタルカが青ざめながら叫んだ。
「わ、わからないわ。 ……少なくとも、敵じゃなくてよかったわね……」
オスティナも青ざめながらも冷静にそう答えた。
そして二人は我に返ると、自らの魔導杖を振るってテロリストたちを駆逐していった。
「じゃあ、こっちもカタを付けさせてもらおうか……」
イクローが低く言うと彼の炎の魔槍はそれに応えて後方へと炎を噴き上げた。
「行くぜ……突撃劫火推進!!」
彼が叫ぶと槍から激しく炎が噴きあがり、そのまま敵に向かって高速で突撃した。
槍は防御服ごと敵を貫き、敵はそのまま燃え上がってものすごい悲鳴を上げて、やがて真っ黒に燃え尽きた。
「ラムッ!! 伏せろ!!」
トリガーは叫んで、瞬時にベルトで繋がったラムの身体を抱きしめると彼女の身体ごとバイクから飛び降りて彼女を庇うようにその赤い髪を抱きしめて寝転んだ。
「と、トリガー!!」
ラムは叫びながら高速詠唱をして土を盛り上がらせて即席の防御壁を作った。
彼らが土の壁の後ろで身を伏せると、すぐに激しい爆発が起こり辺り一面が真っ赤な炎に包まれた。
一瞬遅れて突風のような爆風が襲いかかり、乗り捨てた彼女のバイクすらも空に舞い上がって地面に叩き付けられてひしゃげた。
木や土が爆風で舞上げられ、辺りはもうもうとした土煙で何も見えなかった。
「う……」
トリガーが呻きながら顔を上げると、彼の顔の下でラムが心配そうに彼を見上げていた。
「ラム……怪我はない?」
彼は腰のベルトを外して彼女の細い腰を開放すると、起き上がりながら手で頭を押さえて左右に軽く振った。
爆風の影響で耳鳴りがして、じんじんと頭が痛んだ。
ラムも身を起こすと、少し安堵した顔で答える。
「ええ、わたしはなんともないわ。 トリガー、あなたこそ大丈夫?」
彼女が心配そうに声をかけると、彼は完全に立ち上がって身体を確かめるように腕や足を動かし、頷いた。
「ああ、問題はないようだ……急ごう! 姫様たちが心配だ!」
トリガーはすぐにそう言って背中に背負ったライフルを構え直すと注意深く土煙の中へ目を懲らした。
二人が走りながら森の中へ入ると、AMGGのテロリストたちが彼らを見てめくら撃ちに攻撃をしてきた。
「チッ、けっこう入り込んでいるな……。 向こうもだいぶ混乱しているようだが……」
彼が落ち着いた声で言うと、ラムも頷いてその手に長槍の魔導杖を出現させた。
「わたしが魔力で魔法少女たちを捜してみるわ」
彼女はそう言って槍のロッドを地面に突き立てて目を閉じた。
地属性の彼女はこうすることで広範囲を魔力探知することができる。
「頼む」
トリガーは短く答えて、こちらへ銃を乱射しながら走ってくるテロリストたちをライフルで倒していった。
ラムはすぐに一瞬眉を寄せると目を開けた。
「トリガー、すぐそこの茂みに魔力を持った誰かがいる。 全く動かないから気を失っているか、怪我をしていると思うんだけど……」
彼女が顔を上げて言うと、トリガーは頷いた。
「わかった。 できるだけこの学園の魔法少女なら助けたい……彼女らに罪はないのだから」
ラムも頷いて二人は身を木の陰に隠しながら、その魔力反応へと移動していった。
そこには爆風で吹き飛ばされてきたらしい、ボロボロになったゴスロリっぽい黒と灰色の魔導鎧を身にまとった少女が煤だらけになって捨てられた人形のように転がっていた。
どうやら彼女のいた辺りは爆撃で結界にほころびができて、魔法転送されなかったらしい。
「……この子は……?」
その倒れている魔力の主の姿を見てトリガーは心配そうにのぞき込んだ。
「大丈夫、死んではいないわ」
ラムは彼女の首筋に手を当てて言って、その少女を抱き上げた。
首筋に二つの小さな穴のような妙な傷があるのが気になったが、とりあえずはそんな事を気にしている場合ではない。
ラムは高速詠唱を始めると地面に四角い穴を開けた。
「さぁ、彼女を運んで……」
彼女が言うとトリガーはラムから彼女を受け取って、抱き上げながら慎重にその穴へと入っていった。
知らぬ相手とはいえ、テロリストの手によって意味もわからないまま殺される魔法少女を見るのは忍びなかった。
そして彼女を抱きかかえるような形のままラムの空けた穴へ潜って行った。
穴の奥まで行くと、そっと少女を寝かせて、トリガーは入り口へと戻っていった。
ラムは入り口を塞いで周囲を索敵していた。
「ラム? 敵は何人くらいいる?」
トリガーはライフルを構えながら弾倉を抜いて残弾を確認しながら聞いた。
ラムは槍の魔導杖を地面に突き刺して探知をしながら彼を見る。
「集結しているのは二十人ほどね……思ったより多いわ」
そしてラムは眉間に皺を寄せながら、少し難しい顔をしながら探知を続けた。
「……いえ。 あと八人ほど……魔法探知を受け付けない何か、がいるわ。 恐らく対魔法防御服を装備しているわね……」
彼女が言うと、トリガーは無表情のまま頷いた。
「そいつらは僕がやる。 通常攻撃なら問題はない。 ラムは他のやつらを頼む。 ……そいつらの正確な位置を教えてくれ」
ラムが頷いて口を開こうとして、また怪訝そうな顔をして首をひねった。
「どうした?」
彼が彼女に尋ねると、彼女は彼を見つめて言った。
「……そいつら……誰かと戦っているみたい」
「ラム、入り口を少し開いてくれ」
ラムが入り口に穴を空けるとトリガーは懐から暗視双眼鏡を取り出して木々の間を縫うように彼女の指し示す方向をそれで見た。
よくは見えないが、たしかにところどころにマズルフラッシュが見えた。
耳を澄ませば僅かに銃声も聞こえる。
「まだ生き残りの魔法少女がいて戦っているのか?」
トリガーがそう呟くとラムが頷いた。
「そうみたい。 魔力を感じるわ……ただ……」
ラムが口ごもるとトリガーは眉をひそめる。
「ただ?」
彼女は首をひねりながら答えた。
「……その子、一人だけみたいなのよ」
ラムの答えにトリガーは少し眼を見開いた。
「一人で三十人近くのテロリストと戦っている魔法少女がいるっていうのか?」
彼が驚いた風に言うと、ラムは頷いた。
「なんて無茶な奴だ……。 僕が援護に向かう。 ラム、君はあの子を見ていてくれ」
「わかったわ。 あなたも無茶はしないで」
トリガーは僅かに笑顔を浮かべた。
そして穴から飛び出すとマズルフラッシュがある方向へと走った。
気に身を隠しながら暗視双眼鏡で様子を窺うと、そのあたりにオレンジ色の竜巻が巻き起こりながらテロリストたちを薙ぎ払う者がいた。
そして彼女が立ち止まって、叫びをあげながら両手に持ったオレンジ色のおもちゃのようなマシンピストルから弾丸をばら撒き、更にテロリストたちを撃ち倒していくのが見えた。
「べ、ベッキー!?」
トリガーは目を剥いて叫んだ。
彼の声に周囲のテロリストがこちらにも発砲してくる。
「チッ」
彼は舌打ちをしながら手榴弾を投げると、爆発まで身を隠し、爆発後にライフルを撃ちながら木陰を移動していった。
ベッキー、というのは彼の妹、レベッカ・パルメ・ズィターノの愛称である。
そしてその真名を持つのは、他ならぬ、バレッタだった。
彼女はトリガーの姿を目に止めるとぼそっと呟いた。
「お……お兄ちゃん?」
バレッタはやけに目を赤く輝かせて、剣呑な気を放っていた。
だが、彼女はすぐに唇を歪めて嗤うと、トリガーに銃口を向けた。
「お兄ちゃんが……こんなとこにいるわけないっす……。 あたしを騙そうとしてもそうはいかないっすよ……」
彼女はぼそぼそと呟くように言いながら、問答無用で弾丸を放った。
「チッ!」
トリガーは舌打ちをしながら地面を転がって彼女の攻撃を避けつつ、ラムのいる穴の方へと退がった。
「ベッキー……魔力酔いしてるのか?」
彼女の尋常じゃない様子を見てトリガーは呟く。
とんだ数年ぶりの兄妹再会になってしまったようだ、と思う。
魔力酔い、とは魔力が上がりすぎて異常なハイテンションになって自制が利かなくなる事だ。
ヴァルプルギスの夜である事に加えてアオイの注入した吸血鬼の血、さらにこの敵の多い中たった一人の戦闘行為。
それらの原因が重なりあって、彼女は魔力を暴走させた戦闘マシーンと化していたのだ。
ライアットと対魔法防御服を着たゴリラ男は対峙したまま、睨み合っていた。
お互いに幾度も攻撃を繰り出し合うが、どちらも有効なダメージを与える事ができずに、戦いは膠着していた。
「チッ、ほんとめんどくせぇ!!」
ライアットが叫びながら一本の棒へに変形させた魔導杖を全力で振り回し上下左右から殴りつけているのだが、ゴリラ男はそれを両手に持った拳銃で軽くいなして力の方向を変えて避けてしまう。
(こいつ……バレッタの奴と戦闘スタイルが似てやがる! えっと……なんだっけ? ガン・カタとか言ってたっけか?)
彼女はバレッタの得意とする銃を使った格闘技のような戦術を思い出しながら考える。
魔法を無効化されていなければいくらでもやりようはあるのだが、この場合はあくまで格闘を主体に戦術を組み立てなければならなかった。
それで何度か戦った事のあるバレッタとの戦いからヒントを掴もうと攻防を繰り返しながら必死に脳をフル回転させていた。
そもそも彼女にとってはバレッタも充分に「やりにくい」相手なのだ。
何せ基本的には同じ属性を持っているので雷撃系の魔法はほぼ効果がない、すなわち彼女との戦いは今の状況に近い物があるのだ。
ライアットのように直線的な攻撃になりやすい力技で押すタイプは、バレッタやこの男のように攻撃をいなす技術を持っている相手は苦手中の苦手でもある。
かといって速度と手数で押してみた場合は、それはそれでどうしても攻撃の威力が落ちてしまうため、これもまた致命傷を与えにくい。
本来であれば打撃に魔力を載せる事で、彼女の雷撃には触れただけでも高圧の電流が流れているのでそれだけの攻撃力となるのだが、対魔法防御服を着た相手には魔法が無効化されてしまうので、その威力にも期待できない。
なので攻撃に振り分ける分の魔力を彼女は全て防御に回している。
これならば、ゴリラ男のデザートイーグルから放たれる強力なマグナム弾すらも彼女の雷を応用した電磁バリヤーのような障壁ではじき返すことができる。
おかげでなんとか彼女自身も大きなダメージを負うことなくこうして戦闘を続けていられるのだ。
片や、そのゴリラのような大男も攻めあぐねて、些か憔悴していた。
何せ彼の武器は強力とはいえ、ハンドガン二丁だけである。
そして相対する魔法少女には銃火器はほとんど効果がないようだ、と見て手詰まりになっている。
手に持ったデザートイーグルの弾丸も残り少ない。
これはもう消耗戦だった。
男の体力と防御服のバッテリがどこまで保つか、それかライアットの魔力がどこまで保つか、その勝負である。
二人はどちらもその力を温存するように動き始めた。
……もっともそうなると男が不利である。
体力は温存できても、防御服のバッテリは無情に減っていくばかりだからだ。
もちろん予備バッテリは持っているが、交換している隙に攻撃されれば全ては終わるだろう。
男は額に脂汗を浮かせながら、忌々しげに目の前の魔法少女を睨み付けた。
そして彼女に残った弾丸を全て発射した。
あまり連射の利かないデザートイーグルを横に移動しながら、それでも最短のタイミングで残弾三発ずつ、左右合わせて六発を彼女の頭と手足に振り分けで撃った。
ライアットは魔力をピンポイントに振り分けでその弾丸をはじき返す。
だがそれでも、ほんの一瞬彼女の動きが止まる。
それが男の狙いだった。
彼女が弾丸を弾いている隙に、男は手に持った銃のマガジンのロックを外して地面に落とし、尻に下げたアーモパックの予備マガジンを後ろ手に瞬時に装着した。
だがその弾倉はやけに長く、おかしな形状をしている。
男はそのマガジンの下にくっついたやけに長い部分を覆っているカバーのような物を歯で咥えて外した。
それはアーミーナイフの刃の形状になっている。
銃床からナイフが生えた異形のハンドガンへとそれは形を変えた。
「ハン! 銃じゃ勝負にならねえと踏んで、格闘戦をやろうってのかい?」
ライアットは男を睨み付けて、ロッドを構えた。
男は黙ったまま口元を歪めて、醜悪なゴリラ顔に不敵な笑みを浮かべながら両手の銃を刃を煌めかせながら構えた。
「チッ! ハッタリは効かねぇぜ?」
彼女はそう軽口を叩きながらも、細心に警戒していた。
わざわざ残り弾を捨てて隙を作らせてまで装着したナイフが、ただのハッタリとは思えなかった。
緊張しながらライアットはロッドを握る手に力を込めた。
そして彼女はロッドをまた瞬時にトンファー型に戻して両手に構えた。
ナイフ相手ならば長尺の方が有利とも思えるが、どうしても速度に劣る。
攻防一体のトンファーがベスト、と判断したのだ。
片やイクローとアオイは残り二人の対魔法防御服を着た男だちをそれぞれ一人ずつ相手にしていた。
イクローは槍型のロッドにまだ慣れておらず、使い道に少し戸惑っていた。
(まだ隠しておきたかったが……そんな事を言ってる場合じゃねえか)
彼はそう考え、槍を一度地面に突き立てると一瞬目を閉じて自身の体に魔力を張り巡らせた。
すると右手だけだった手甲が左手にも現れ、首の周りに炎でできたマフラーが巻かれた。
これが彼本来の魔導鎧であり、魔導杖である。
そう、彼の魔導杖は実はこのガントレットなのだ。
その両腕から炎が燃え盛って彼の周囲で渦巻いた。
そして新たな魔導杖である槍をその手に掴むと、槍の穂先が炎と化して燃え上がった。
「へへ……なんだよ、お前も俺が本気になるまで本気出さなかったって事かよ」
イクローは燃え盛る槍を見つめて一人笑った。
わかった。
彼の脳裏にこの槍の特性、使い方が流れ込んでくる。
そして、その名前も。
「いくぜ! 『炎の魔槍』!!」
槍は彼の声に応えるかのように一層激しく炎を上げた。
アオイの方は横目で激しく燃え上がるイクローを見ながら、もうひとりと対峙して、その鋭い爪を伸ばした。
一瞬で間合いを詰めると彼女は一気にその対魔法防御服をまるで紙のように爪で引き裂いた。
そもそも彼女の技は魔法ではない。
防御服を着ていようがいまいが関係ないのだ。
そして呆気なくその防御服を爪で貫き、男が絶命すると彼女は金色に目を光らせながら、その血まみれの爪をペロリ、と舐めて妖艶な顔で微笑んだ。
彼女もまた、バレッタの血で吸血鬼の本能を抑えきれないくらい昂っているのだろう。
アオイはそのままひらり、と飛ぶと周囲のテロリストたちを追いかけて、まるで猫が獲物を嬲るように次々と倒していった。
彼女は敵を倒すたびに、ふぅ、と熱い吐息を吐いて、愉悦の笑みを浮かべる。
正真正銘、呪われた血を受け継ぐ吸血鬼の末裔そのものの姿がそこにあった。
普段の可愛らしい素直な少女の面影は今はそこには微塵もない。
本来であれば人を殺すような状況になるはずのない学園で彼女が初めて見せる恐ろしい一面だった。
「渇く……渇くよぉ……」
彼女はそう呟いて倒した敵の首筋に噛みつき、その血を吸った。
「あ……あの子……どうなってんの!?」
その姿を見てメタルカが青ざめながら叫んだ。
「わ、わからないわ。 ……少なくとも、敵じゃなくてよかったわね……」
オスティナも青ざめながらも冷静にそう答えた。
そして二人は我に返ると、自らの魔導杖を振るってテロリストたちを駆逐していった。
「じゃあ、こっちもカタを付けさせてもらおうか……」
イクローが低く言うと彼の炎の魔槍はそれに応えて後方へと炎を噴き上げた。
「行くぜ……突撃劫火推進!!」
彼が叫ぶと槍から激しく炎が噴きあがり、そのまま敵に向かって高速で突撃した。
槍は防御服ごと敵を貫き、敵はそのまま燃え上がってものすごい悲鳴を上げて、やがて真っ黒に燃え尽きた。
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