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20話:時間
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前宮のサポートによる活躍で、山本のバレーボールは見事優勝した。
優勝後、4人の勧めで前宮は連れて行かれると前宮の胴上げを行う。
「前宮!君のおかげで優勝出来たし、演舞の練習もできる!本当に本当にありがとう」
「ちょっと待って…酔うぞこれ…ヤバイヤバイ一回降ろして」
胴上げを24回された後、前宮は酔いに酔った。酔いを覚ますために、お水を買って少しずつ飲む。
前宮は着替えて山本の演舞練習が終わるまで教室に1人残った。
「放課後1人で残るってなんか新鮮だな。山本さんたちの声が聞こえるだけの静けさってすごいな…男子の声も負けじと聞こえるのがとても面白い。少し寝ようかな」
「早く終わらさなきゃ、着替えて確か前宮はここに…。着いた!前宮帰ろうって寝ちゃってるのね。今日は疲れたもんね。逆の立場になるとおんぶして運びたいけど、私、体力使い切ったし親に電話してあの時の恩返ししたいから乗せて前宮の家まで送ることしよう」
山本は母親に電話した。指定された場所への移動準備をしている中、前宮は重い体を起こしてあくびをしながら起きる。
「あれ、真由さん練習終わったのか…。少し寝てたらこんな時間になるまで待たせてすまない。またおんぶして駅まで運ぼうか」
「あ、起きたの?おはよう。大丈夫よ。お母さんに連絡して車で迎えにきてもらうことにした。前宮のこと話したら、お母さんはゆっくり前宮と話したいってさ。後ろの座席に座ろうよ。明日はデートだし楽しみだよ」
荷物をまとめて山本の母親が来るのを待った。
1台のセダン系自動車が山本の前にちょうどよく止まった。山本の母親は乗りな?と言わんばかりに勧めてきた。前宮は恐れ多い気持ちで乗りこむ。住んでいる家の住所をナビに設定して、安全運転を開始した。
「君が前宮君ね。うちの真由がお世話になっております。色々と真由の心を救ったと本人からも聞いたものでして…」
「いえいえ、こちらこそ本当にお世話になっております。私の入院時もですね看病してくれたので本当に感謝しております」
互いを謙遜しながらも前宮と山本の母親と話をする。ショートに終わらせた後、山本とデートの話をした。
「明日、どんな感じで楽しもうか…?何か食べたいなとか行ってみたいところあるかい?」
「んー…そう言われると迷うなぁ。前宮が女子っぽいことが好きならタピオカとか飲まない?その後ご飯食べてボウリングしてみたいな感じで…」
食べるのことが好きな山本に前宮は自身の健康が大丈夫なのか心配になった。
そんな話を聞いていた山本の母親は笑っていた。
「よし、それじゃ真由さんが行きたいところ行ってから僕も僕で色々用意しようかな。せっかくのデートだしさ」
「え、何だろう…楽しみ」
前宮の家に着き、その後山本も帰宅後楽しみに眠った。翌朝、前宮は起きてとあるお店へ向かう。山本へのサプライズプレゼントを探しに来たようだ。
「今は付き合ってることだから、もうちゃんと男として守らないとな…。これにしようかな」
前宮はひとつのペアルックネックレスを購入し、集合場所の駅へと向かう。駅のプラットホームへ座って山本が乗る電車を待った。
降りてくる乗客の中に、山本が探して見つけたと言わんばかりに走ってきた。前宮は飲んでいたコーヒーをこぼしてしまった。
「前宮君!待たせてごめん。そしてコーヒー溢しちゃったね…」
「いやそんな待ってないから大丈夫。コーヒーなら問題ない。2杯目だったからちょうどやめなきゃなって思ってたから良い抑止力になりそうな一撃だった。さて行こうか」
2人は手を繋いで歩く。この日は快晴で人も多くいた。
最初に着いたのは山本がよく飲んでいるタピオカのお店だ。
「ここのタピオカとても美味しいの!一緒に食べよう!」
「こりゃまた人気なんだなぁ。よし、時間はちょいとかかるがゆっくり演舞の話を聞いたり真由さんの相談に乗るよ」
並んでる間2人は談笑した。時に笑ったり時に驚いたりと可愛い2人。順番が来ると店員さんの一言に驚いた。
「お2人さんはカップルかな?今カップルの人には割引してるけど…」
「はい、カップルです。お店イチオシのタピオカドリンク2つ頼む。トッピングも僕はオススメにしてみようかな、真由さんはどうする?」
「んー…私は黒糖とクリーム多めで!」
2人は来るのを待った。前宮が気前良く支払い、投稿する準備をした。2つの大きめの容器が、2人の目の前に運ばれる。
「これはすごい大きい…これだけでお腹いっぱいになりそうだな…」
「でも、私はなみと高部さんと飲んだ時はこの後焼肉とか普通に食べてたかな」
前宮はカバンの中を見て胃薬があることを確認する。
そして、前宮による山本へのサプライズ決行の時間がきた。
「さて、僕からは真由さんへこれをプレゼントしようかなと思う。首元ちょっと失礼するね」
「え、何?何だろう…すごく冷たい…えこれって…?」
前宮からのプレゼントはハートをかたどったネックレスだった。前宮も付けた。その姿を見て何故か写真を撮り出した。
「これは僕からのプロポーズです。早いかもしれないけど、結婚して下さい。入院してた時は本当にありがとう!その分僕も真由さんのこと守るのでおねがいします」
山本は涙した。自身からの告白に前宮のサプライズ、そしてそのネックレスがとてもかわいかったようだ。涙を流しながらも山本は頷く。
付き合いから結婚の約束が、今ここで決まった瞬間だ。楽しんで飲んだ後、2人は手を繋ぎゲームセンターへと足を運ぶ。
「ここも結構広くなったね…。さて、最初は何して遊ぼうか…?」
「前宮君っ!今日は女子の1日な感じでプリクラ撮ろう!2人だけの特別なものをさ!」
「初めてかもしれない。よし、撮ろうか」
2人はイチャイチャしながらプリクラを撮る。
特に山本は、はしゃぎにはしゃいで前宮の冷静さが無くなるほどだった、
「これは楽しいな…。加工ってすごい」
前宮がそう言うと、山本も前宮も見覚えのある女子が来た。
「えー!?前宮と山本じゃん!何してるの?」
「ここで会うのって珍しいね、プリクラ撮ってるなんて怪しい匂いがするね」
栗原と下森が偶然合流するという珍事が起きた。山本も動揺した。ちょうどカップルから未来結婚することを決めた2人なので顔が赤くなっている。
「あれ、よく見れば2人ともネックレスしてる!しかもよく似てるねー。偶然にしては出来過ぎてるよね」
「あ、ほんとだー!てことは2人は付き合ってるのね!」
栗原下森コンビから怒涛のツッコミを受けた後、山本も前宮は疲れ切った。まさかのクラスメートに会うなんて思ってもなかったからだ。
「…今日着てる服、前宮君だからと思ってオシャレしてきたんだよね。バレちゃった」
「制服や袴の時であっても真由さんは可愛いよ!コンプレックスなんて関係ない!」
明るい前宮に山本も同じような気持ちになった。ネックレスについて山本が聞く。
「失礼だけどこれっていくらくらい…?」
「ん?あー2つ合わせて8万円ちょっとかな、ペアルックになるとまぁ良い値段になるが2人っきりになれてるし、守ることを誓ったからそれで良いのかなと思う。絶対守るから」
それを聞いた山本は前宮の胸を抱きしめて喜ぶ。前宮は山本の頭をポンポンとしながら笑顔だ。
ゲームセンターでは前宮のプレーがすごく上手だったので、景品を洗いざらい獲得して全て山本へプレゼントした。
「前宮君、すごい…頭の中に想像図が出来てるのかな?」
ご飯を食べるべく、今度は前宮がよく食べる和食の割烹料亭へ向かう。場違いすぎることに山本は恥ずかしがっていたが、前宮は常連なので引っ張るようにして入る。
大将は一味違う前宮にすぐ気づいた。
「お、いらっしゃい!ってついにお前も彼女出来たのか!可愛いやつじゃねぇか。よし、今日は特別美味いもんサービスしてやる。いつものコース料理だろ?」
「うん、いつものコース料理を頼む。先払いしとくね。はい5万円」
山本は思った。2人分で5万円、1人2万5千円のコースを堪能できるんだと。
そして前宮は一体何を食い付けているのか気になった。
「結構すごいでしょ。ここ、和食のお店だけど店主も世界に名を誇る人でとても美味しいのさ。サービスしてやるって言ったけど何だろうな…」
「そうだったのね…これはすごいや。女子応援団の団員で行ってみたいところだね」
2人は話をしていると前菜、副菜と順番よく来た。メインディッシュが高級食材でご飯ものがお寿司5種類と山本は満足そうだ。
「とても美味しいね前宮君!コースの表記ではここまでだけど大将さん何を用意してるかな?」
「何だろうな…後ろでずっと面白い事してるけど大将相変わらず優しい人だ」
そうこうしてると大将は大きな果物を持ってきた。2人はハテナになった。何をどうすれば良いのか分からなかったからだ。
「大将!これは一体何だい?いつもはみないものだが…」
「こいつは包丁で切るからよくみとけよ!」
そう言って自慢の出刃包丁を使って切る。その切り口を見るとなんと、層ごとに分かれたケーキだった。
「綺麗!これってよく見たら7層に分かれてるよ。ラッキー7の語呂かな」
「語呂というよりもとにかく、これはすごい!大将ありがとう!」
どうやら前宮の出世と山本との幸せを願う意味で出したようだ。
2人はゆっくり食べて大将にお礼を言った後、店を出た。前宮はお腹いっぱいなのに対し、山本はまだまだ食べれるという状態だ。
「お腹いっぱいなったがまだ食べたいものとかあるかい?」
「んー…今からラーメン食べよ!」
大食い女子かと思ったが前宮はその後、見事にお腹を痛めて胃腸薬を飲んだとのこと。駅へ着くと前宮とのデートが楽しかったのか腕にべったりとしている。
「前宮君って本当に優しいね!こんな人と付き合って結婚できるなんて夢だよ。もう自傷行為とか薬1瓶飲もうとしないでね。私たちは2人で1人のようなものだからさ」
「優しいって言われてもなぁ…でも僕も真由さんのような人に巡り会えてよかった。生きてて1番嬉しいもの。真由さんの家まで安全に送ってから僕は帰るから一緒にいよう」
2人はクスッと笑ってキスした。
帰り着いた山本はお風呂に入り、いつもの演舞練習をする。動きも改善され、リフレッシュした自身の手を見て落ち着いていた。
「前宮君、本当にありがとう!演舞、最後まで見ててね!」
体育祭本番までの課題を乗り越えると心に誓う。
優勝後、4人の勧めで前宮は連れて行かれると前宮の胴上げを行う。
「前宮!君のおかげで優勝出来たし、演舞の練習もできる!本当に本当にありがとう」
「ちょっと待って…酔うぞこれ…ヤバイヤバイ一回降ろして」
胴上げを24回された後、前宮は酔いに酔った。酔いを覚ますために、お水を買って少しずつ飲む。
前宮は着替えて山本の演舞練習が終わるまで教室に1人残った。
「放課後1人で残るってなんか新鮮だな。山本さんたちの声が聞こえるだけの静けさってすごいな…男子の声も負けじと聞こえるのがとても面白い。少し寝ようかな」
「早く終わらさなきゃ、着替えて確か前宮はここに…。着いた!前宮帰ろうって寝ちゃってるのね。今日は疲れたもんね。逆の立場になるとおんぶして運びたいけど、私、体力使い切ったし親に電話してあの時の恩返ししたいから乗せて前宮の家まで送ることしよう」
山本は母親に電話した。指定された場所への移動準備をしている中、前宮は重い体を起こしてあくびをしながら起きる。
「あれ、真由さん練習終わったのか…。少し寝てたらこんな時間になるまで待たせてすまない。またおんぶして駅まで運ぼうか」
「あ、起きたの?おはよう。大丈夫よ。お母さんに連絡して車で迎えにきてもらうことにした。前宮のこと話したら、お母さんはゆっくり前宮と話したいってさ。後ろの座席に座ろうよ。明日はデートだし楽しみだよ」
荷物をまとめて山本の母親が来るのを待った。
1台のセダン系自動車が山本の前にちょうどよく止まった。山本の母親は乗りな?と言わんばかりに勧めてきた。前宮は恐れ多い気持ちで乗りこむ。住んでいる家の住所をナビに設定して、安全運転を開始した。
「君が前宮君ね。うちの真由がお世話になっております。色々と真由の心を救ったと本人からも聞いたものでして…」
「いえいえ、こちらこそ本当にお世話になっております。私の入院時もですね看病してくれたので本当に感謝しております」
互いを謙遜しながらも前宮と山本の母親と話をする。ショートに終わらせた後、山本とデートの話をした。
「明日、どんな感じで楽しもうか…?何か食べたいなとか行ってみたいところあるかい?」
「んー…そう言われると迷うなぁ。前宮が女子っぽいことが好きならタピオカとか飲まない?その後ご飯食べてボウリングしてみたいな感じで…」
食べるのことが好きな山本に前宮は自身の健康が大丈夫なのか心配になった。
そんな話を聞いていた山本の母親は笑っていた。
「よし、それじゃ真由さんが行きたいところ行ってから僕も僕で色々用意しようかな。せっかくのデートだしさ」
「え、何だろう…楽しみ」
前宮の家に着き、その後山本も帰宅後楽しみに眠った。翌朝、前宮は起きてとあるお店へ向かう。山本へのサプライズプレゼントを探しに来たようだ。
「今は付き合ってることだから、もうちゃんと男として守らないとな…。これにしようかな」
前宮はひとつのペアルックネックレスを購入し、集合場所の駅へと向かう。駅のプラットホームへ座って山本が乗る電車を待った。
降りてくる乗客の中に、山本が探して見つけたと言わんばかりに走ってきた。前宮は飲んでいたコーヒーをこぼしてしまった。
「前宮君!待たせてごめん。そしてコーヒー溢しちゃったね…」
「いやそんな待ってないから大丈夫。コーヒーなら問題ない。2杯目だったからちょうどやめなきゃなって思ってたから良い抑止力になりそうな一撃だった。さて行こうか」
2人は手を繋いで歩く。この日は快晴で人も多くいた。
最初に着いたのは山本がよく飲んでいるタピオカのお店だ。
「ここのタピオカとても美味しいの!一緒に食べよう!」
「こりゃまた人気なんだなぁ。よし、時間はちょいとかかるがゆっくり演舞の話を聞いたり真由さんの相談に乗るよ」
並んでる間2人は談笑した。時に笑ったり時に驚いたりと可愛い2人。順番が来ると店員さんの一言に驚いた。
「お2人さんはカップルかな?今カップルの人には割引してるけど…」
「はい、カップルです。お店イチオシのタピオカドリンク2つ頼む。トッピングも僕はオススメにしてみようかな、真由さんはどうする?」
「んー…私は黒糖とクリーム多めで!」
2人は来るのを待った。前宮が気前良く支払い、投稿する準備をした。2つの大きめの容器が、2人の目の前に運ばれる。
「これはすごい大きい…これだけでお腹いっぱいになりそうだな…」
「でも、私はなみと高部さんと飲んだ時はこの後焼肉とか普通に食べてたかな」
前宮はカバンの中を見て胃薬があることを確認する。
そして、前宮による山本へのサプライズ決行の時間がきた。
「さて、僕からは真由さんへこれをプレゼントしようかなと思う。首元ちょっと失礼するね」
「え、何?何だろう…すごく冷たい…えこれって…?」
前宮からのプレゼントはハートをかたどったネックレスだった。前宮も付けた。その姿を見て何故か写真を撮り出した。
「これは僕からのプロポーズです。早いかもしれないけど、結婚して下さい。入院してた時は本当にありがとう!その分僕も真由さんのこと守るのでおねがいします」
山本は涙した。自身からの告白に前宮のサプライズ、そしてそのネックレスがとてもかわいかったようだ。涙を流しながらも山本は頷く。
付き合いから結婚の約束が、今ここで決まった瞬間だ。楽しんで飲んだ後、2人は手を繋ぎゲームセンターへと足を運ぶ。
「ここも結構広くなったね…。さて、最初は何して遊ぼうか…?」
「前宮君っ!今日は女子の1日な感じでプリクラ撮ろう!2人だけの特別なものをさ!」
「初めてかもしれない。よし、撮ろうか」
2人はイチャイチャしながらプリクラを撮る。
特に山本は、はしゃぎにはしゃいで前宮の冷静さが無くなるほどだった、
「これは楽しいな…。加工ってすごい」
前宮がそう言うと、山本も前宮も見覚えのある女子が来た。
「えー!?前宮と山本じゃん!何してるの?」
「ここで会うのって珍しいね、プリクラ撮ってるなんて怪しい匂いがするね」
栗原と下森が偶然合流するという珍事が起きた。山本も動揺した。ちょうどカップルから未来結婚することを決めた2人なので顔が赤くなっている。
「あれ、よく見れば2人ともネックレスしてる!しかもよく似てるねー。偶然にしては出来過ぎてるよね」
「あ、ほんとだー!てことは2人は付き合ってるのね!」
栗原下森コンビから怒涛のツッコミを受けた後、山本も前宮は疲れ切った。まさかのクラスメートに会うなんて思ってもなかったからだ。
「…今日着てる服、前宮君だからと思ってオシャレしてきたんだよね。バレちゃった」
「制服や袴の時であっても真由さんは可愛いよ!コンプレックスなんて関係ない!」
明るい前宮に山本も同じような気持ちになった。ネックレスについて山本が聞く。
「失礼だけどこれっていくらくらい…?」
「ん?あー2つ合わせて8万円ちょっとかな、ペアルックになるとまぁ良い値段になるが2人っきりになれてるし、守ることを誓ったからそれで良いのかなと思う。絶対守るから」
それを聞いた山本は前宮の胸を抱きしめて喜ぶ。前宮は山本の頭をポンポンとしながら笑顔だ。
ゲームセンターでは前宮のプレーがすごく上手だったので、景品を洗いざらい獲得して全て山本へプレゼントした。
「前宮君、すごい…頭の中に想像図が出来てるのかな?」
ご飯を食べるべく、今度は前宮がよく食べる和食の割烹料亭へ向かう。場違いすぎることに山本は恥ずかしがっていたが、前宮は常連なので引っ張るようにして入る。
大将は一味違う前宮にすぐ気づいた。
「お、いらっしゃい!ってついにお前も彼女出来たのか!可愛いやつじゃねぇか。よし、今日は特別美味いもんサービスしてやる。いつものコース料理だろ?」
「うん、いつものコース料理を頼む。先払いしとくね。はい5万円」
山本は思った。2人分で5万円、1人2万5千円のコースを堪能できるんだと。
そして前宮は一体何を食い付けているのか気になった。
「結構すごいでしょ。ここ、和食のお店だけど店主も世界に名を誇る人でとても美味しいのさ。サービスしてやるって言ったけど何だろうな…」
「そうだったのね…これはすごいや。女子応援団の団員で行ってみたいところだね」
2人は話をしていると前菜、副菜と順番よく来た。メインディッシュが高級食材でご飯ものがお寿司5種類と山本は満足そうだ。
「とても美味しいね前宮君!コースの表記ではここまでだけど大将さん何を用意してるかな?」
「何だろうな…後ろでずっと面白い事してるけど大将相変わらず優しい人だ」
そうこうしてると大将は大きな果物を持ってきた。2人はハテナになった。何をどうすれば良いのか分からなかったからだ。
「大将!これは一体何だい?いつもはみないものだが…」
「こいつは包丁で切るからよくみとけよ!」
そう言って自慢の出刃包丁を使って切る。その切り口を見るとなんと、層ごとに分かれたケーキだった。
「綺麗!これってよく見たら7層に分かれてるよ。ラッキー7の語呂かな」
「語呂というよりもとにかく、これはすごい!大将ありがとう!」
どうやら前宮の出世と山本との幸せを願う意味で出したようだ。
2人はゆっくり食べて大将にお礼を言った後、店を出た。前宮はお腹いっぱいなのに対し、山本はまだまだ食べれるという状態だ。
「お腹いっぱいなったがまだ食べたいものとかあるかい?」
「んー…今からラーメン食べよ!」
大食い女子かと思ったが前宮はその後、見事にお腹を痛めて胃腸薬を飲んだとのこと。駅へ着くと前宮とのデートが楽しかったのか腕にべったりとしている。
「前宮君って本当に優しいね!こんな人と付き合って結婚できるなんて夢だよ。もう自傷行為とか薬1瓶飲もうとしないでね。私たちは2人で1人のようなものだからさ」
「優しいって言われてもなぁ…でも僕も真由さんのような人に巡り会えてよかった。生きてて1番嬉しいもの。真由さんの家まで安全に送ってから僕は帰るから一緒にいよう」
2人はクスッと笑ってキスした。
帰り着いた山本はお風呂に入り、いつもの演舞練習をする。動きも改善され、リフレッシュした自身の手を見て落ち着いていた。
「前宮君、本当にありがとう!演舞、最後まで見ててね!」
体育祭本番までの課題を乗り越えると心に誓う。
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