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理系世界編
17話:酸化
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マーキュリー王とともに向かうフラーレンとコバルトだったが、今までのことを思い返していた。フラーレンの実験失敗から始まり、アクリロニトリルさんとプロパノールさんとの出会いや色んなことを思い出した。その様子を見てマーキュリー王は馬車を操縦するビニル伯爵の近くに座り直して、2人の時間を邪魔をしないように外を流れるように眺めた。
「フラーレンは本当に逞しくなったね。可愛いを超えて垢抜けたというか、心強いパートナーになったというか…」
コバルトは言葉に詰まった。しかし、フラーレンはコバルトの手を優しく包み込んで笑顔で話した。
「私がここまで強くなれたのはコバルトのおかげだよ。最初怯えて泣いてた私を慰めてくれたり、前向きに考えることを君が教えてくれたからね。時に私が泣いてしまったり、時に失敗したりと迷惑かけちゃった時は全ての責任を持って私のフォローしてくれたのも覚えてるよ。病気だった私の体を看病してくれたり、目が覚めるまで手を握ってくれたこと、コバルトこそ私の最高のパートナーだよ。現実世界へ戻ったらデートしよっ」
コバルトの顔が赤くなった。恥ずかしがり屋だったが、それを見たマーキュリー王は嬉しそうだった。2人の付けているネックレスが淡く光ってる様子がその証拠だろうとマーキュリー王は悟った。シャルル国を通り過ぎようとした時、兵隊が馬車を止めた。
「陛下!どこへ参られようとしてるのですか?この方向は我々と親密な関係を築いているボイル国ですぞ」
国王は今までのことを全て話した。兵隊はその理由に納得して道を譲った。門から多くの兵士が集まり整列した。
「我がシャルル国団長コバルトに敬礼!」
その兵士はアクリロニトリルの代わりに務めたコバルトの勇姿に敬意を持って行った。マーキュリー王は拍手した。なぜなら、第二のプロパノール、アクリロニトリルはコバルトとフラーレンであるからだ。ビニル伯爵もそれを見て関心していた。シャルル国を通り過ぎると、少しずつ蒸し暑くなっていった。フラーレンとコバルトは暑いと思って袖を捲り上げたり、スカートの丈を短くしたりと暑さを凌いだ。マーキュリー王は平然としていて不思議に思った。
「まもなく、カルボンがあるボイル国に着くぞって君ら暑いのか?仕方ない…ワシが作っておいた冷却器に塩と氷で冷やしておいた水を入れておいたからそれを飲んで涼しくしてくれ。でないと、内部になるにつれて蒸し暑さが強くなるぞ」
2人は藁にもすがる思いで飲んだ。すると、2人の汗ばんだ体を涼しくしてくれた。2人の来ていた洋服も涼しさによってサラサラとなった。味わいは甘味もあって、時折しょっぱい味も後から来た。
「この液体はワシ直伝、経口補水液じゃよ。暑い時は塩分も抜かれるから作っておいた」
準備の良すぎる事に一安心した。そしてビニル伯爵は変な違和感を覚えた。
「なぁマーキュリーさん…もうすぐカルボンのはずなんだけど何も無いのってなんか変じゃないか?本当ならもう、街のど真ん中になるはずだがこの街も何か訳ありの街かもしれないな」
そのビニル伯爵の勘はすぐに現実となった。建物と思われるものは全て強酸によって溶かされていた。そして、式を挙げたカルボンは跡形も無かった。しかしコバルトたちが付けているネックレスの光は薄くなることなく、一点に光を集めていた。それは、溶けかけの大きな館のやつなものだった。それを見たマーキュリー王は叫んだ。
「そこは2人が式を挙げた後、二次会を行ったところだ!だとすると、愛の化学式を収めたのはここなのかもしれん!」
そう言って中へ早速入った。古汚い酒の瓶や割れたグラス、そして何よりも溶けて死んだと思われる人たちがゴロゴロと倒れていた。
「コバルト…ここ怖い…」
「大丈夫だよフラーレン。僕の手を掴んで」
2人は互いの手を取り合いながら進んだ。そして大きな鉄の扉が一向の目の前に現れた。
「光はここを指してるようだ。ワシの命でここに入れたところまでは覚えている。じゃが、なぜアクリロニトリルたちの収めた化学式が指しておるのかさっぱり分からん」
謎めく事だったがついに書物が光出して1人の女神のような容姿をした人が現れた!
「全ての溶液を集めし者よ。よくぞここまで辿り着いた。この儀式は愛の化学式が完全になった時、道が開かれる。そこにいる2人の若者よ、儀式の準備を行うと良い!我が名は女神プロペン。この世界に迷いし人間を元の世界へ戻す誘導神だ」
あの時の声の主は女神という事実にコバルトは度肝を抜かれた。そしてなぜ書物に写っていたのか分からなかった。元の世界へ後少し。2人は実験に失敗する事なく、戻ることができるのか。そして、2人の愛は永遠に守られるのか。
「フラーレンは本当に逞しくなったね。可愛いを超えて垢抜けたというか、心強いパートナーになったというか…」
コバルトは言葉に詰まった。しかし、フラーレンはコバルトの手を優しく包み込んで笑顔で話した。
「私がここまで強くなれたのはコバルトのおかげだよ。最初怯えて泣いてた私を慰めてくれたり、前向きに考えることを君が教えてくれたからね。時に私が泣いてしまったり、時に失敗したりと迷惑かけちゃった時は全ての責任を持って私のフォローしてくれたのも覚えてるよ。病気だった私の体を看病してくれたり、目が覚めるまで手を握ってくれたこと、コバルトこそ私の最高のパートナーだよ。現実世界へ戻ったらデートしよっ」
コバルトの顔が赤くなった。恥ずかしがり屋だったが、それを見たマーキュリー王は嬉しそうだった。2人の付けているネックレスが淡く光ってる様子がその証拠だろうとマーキュリー王は悟った。シャルル国を通り過ぎようとした時、兵隊が馬車を止めた。
「陛下!どこへ参られようとしてるのですか?この方向は我々と親密な関係を築いているボイル国ですぞ」
国王は今までのことを全て話した。兵隊はその理由に納得して道を譲った。門から多くの兵士が集まり整列した。
「我がシャルル国団長コバルトに敬礼!」
その兵士はアクリロニトリルの代わりに務めたコバルトの勇姿に敬意を持って行った。マーキュリー王は拍手した。なぜなら、第二のプロパノール、アクリロニトリルはコバルトとフラーレンであるからだ。ビニル伯爵もそれを見て関心していた。シャルル国を通り過ぎると、少しずつ蒸し暑くなっていった。フラーレンとコバルトは暑いと思って袖を捲り上げたり、スカートの丈を短くしたりと暑さを凌いだ。マーキュリー王は平然としていて不思議に思った。
「まもなく、カルボンがあるボイル国に着くぞって君ら暑いのか?仕方ない…ワシが作っておいた冷却器に塩と氷で冷やしておいた水を入れておいたからそれを飲んで涼しくしてくれ。でないと、内部になるにつれて蒸し暑さが強くなるぞ」
2人は藁にもすがる思いで飲んだ。すると、2人の汗ばんだ体を涼しくしてくれた。2人の来ていた洋服も涼しさによってサラサラとなった。味わいは甘味もあって、時折しょっぱい味も後から来た。
「この液体はワシ直伝、経口補水液じゃよ。暑い時は塩分も抜かれるから作っておいた」
準備の良すぎる事に一安心した。そしてビニル伯爵は変な違和感を覚えた。
「なぁマーキュリーさん…もうすぐカルボンのはずなんだけど何も無いのってなんか変じゃないか?本当ならもう、街のど真ん中になるはずだがこの街も何か訳ありの街かもしれないな」
そのビニル伯爵の勘はすぐに現実となった。建物と思われるものは全て強酸によって溶かされていた。そして、式を挙げたカルボンは跡形も無かった。しかしコバルトたちが付けているネックレスの光は薄くなることなく、一点に光を集めていた。それは、溶けかけの大きな館のやつなものだった。それを見たマーキュリー王は叫んだ。
「そこは2人が式を挙げた後、二次会を行ったところだ!だとすると、愛の化学式を収めたのはここなのかもしれん!」
そう言って中へ早速入った。古汚い酒の瓶や割れたグラス、そして何よりも溶けて死んだと思われる人たちがゴロゴロと倒れていた。
「コバルト…ここ怖い…」
「大丈夫だよフラーレン。僕の手を掴んで」
2人は互いの手を取り合いながら進んだ。そして大きな鉄の扉が一向の目の前に現れた。
「光はここを指してるようだ。ワシの命でここに入れたところまでは覚えている。じゃが、なぜアクリロニトリルたちの収めた化学式が指しておるのかさっぱり分からん」
謎めく事だったがついに書物が光出して1人の女神のような容姿をした人が現れた!
「全ての溶液を集めし者よ。よくぞここまで辿り着いた。この儀式は愛の化学式が完全になった時、道が開かれる。そこにいる2人の若者よ、儀式の準備を行うと良い!我が名は女神プロペン。この世界に迷いし人間を元の世界へ戻す誘導神だ」
あの時の声の主は女神という事実にコバルトは度肝を抜かれた。そしてなぜ書物に写っていたのか分からなかった。元の世界へ後少し。2人は実験に失敗する事なく、戻ることができるのか。そして、2人の愛は永遠に守られるのか。
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