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8話:体の崩壊と精神の崩壊
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いつもの如く、山本たちの応援団と大山たちの応援団による練習の掛け声は学校中に響き渡る。両応援団の声と怒号が学校中に轟く。
怒号飛び交う理由は、本番1週間を切ったからだ。山本の心と精神は疲弊して壊れる寸前まで削られていたが、守山がいたおかげで平然を保つ事に成功している。
「もっと声出せよ1年生!」
「はい!!」
山本たち1年生は喉ガラガラ。練習が終わったと同時に緊張の糸が切れるのか、膝から崩れるように息をあげながら泣く。
「悔しいよ…出来ない自分が腹立たしいよ」
「まゆっちは出来てる!大丈夫だって…栗原さんや高部さんもまゆっちの努力認めるほどの凄さなんだから!」
山本の周りには気づけば、1年生全員が集結していた。痛めた足を休めと言わんばかりに、栗原と高部は山本の歩行サポートのため肩を貸す。女子更衣室に戻ると山本は幼い女の子の様にわんわんと泣く。しかし、守山は大丈夫だと慰める。
「高部さん今気づいたけどまゆっちの足また怪我してる…。絆創膏持ってたりする?私、さっき使ったのが最後だったみたい…」
「ほんとだ…栗原さん運悪いね。今日の朝買ってきたからそれ使おう。ペタペタ貼るというより、念を込めて貼ろう」
2人は動くこともままならない山本の足に、傷がついた箇所を中心に複数枚の絆創膏を貼った。幸い絆創膏には消毒液が含まれていたので、治りも早い。本番までには治るだろうと2人は考えた。
「もう泣かないの!本番終わったらご飯食べに行こ!」
「高部さんの言う通りだね。終わったら美味しいもの食べて体を回復しようよ」
守山も同意して山本の表情に笑顔が見えた。帰宅後、山本はお風呂に入りながら練習を繰り返す。筋肉も限界に来てる中だったものも、最後まで貫く山本の姿は大きなオーラを感じる。
練習も積み重ね、本番を迎えた。男女それぞれ特攻服と袴に身を包み、思い思いの演舞をしようと精神統一を行う。男子の圧巻な演舞が始まり、会場は拍手に包まれる。女子演舞開始前、山本は緊張のあまり泣き出しそうな顔になっていたが守山は持っていたタオルでその顔を拭いて鼓舞する。
「大丈夫!まゆっちは努力家だよ。いじめられても立ち上がるその勇姿は誰も真似できない。大丈夫、私が保証する」
山本は心を決めて演舞に臨む。姉の紗耶香は大きな声を上げて団員を率いて最高の演舞を披露する。勿論、団員も練習してきたことを全て出し切ろうと痛い顔せずトップスピードでついて行く。
最後の技にかかろうとした時、山本は躓いた。原因はソロを披露した紗耶香がいた所へ移動するときに大きな凹みが生じ、それにやられたと思われる。しかし躓きながらも山本は最後までやり遂げた。全ての技を披露した後、山本は更衣室で泣きまくった。
「私のせいで団長とその仲間に迷惑かけた…悔しいよ…元に戻れない時間なのに」
着替えながらなく山本の携帯に1通の連絡が来た。送信元は前宮からだ。
「見てたけど、カッコよかったよ。僕の心救った人ってどんな人だろうと思ったけど努力を重ねないといけないなって痛感した…」
山本は涙ながらで返信できる状態ではなかったので、制服に着替えた後1年生のみでご飯を食べた。美味しく食べて写真を撮り、JKって感じの青春を残しながら山本は帰宅する。お風呂に入りながら自分の失敗と向き合っていた。
「紗耶香先輩がいた所で躓くなんて…。でも試練だよね。悔しい…でもかっこいいって前宮は言ってたからなんか救われちゃったな」
お風呂から上がると同時に体の疲れと張り詰めた神経がプツンと切れたのか、山本はベッドで声を殺しながら泣いた。涙でぐっしょりとなった枕、怪我でボロボロになった足と腕、日焼けで焼けた皮膚。人生で最もきつい試練に立ち向かった山本は、この青春に全てを注ぐことを誓った。1つの失敗はともかく、最高な演舞をする事が彼女の使命であると山本は自分に言い聞かせる。
怒号飛び交う理由は、本番1週間を切ったからだ。山本の心と精神は疲弊して壊れる寸前まで削られていたが、守山がいたおかげで平然を保つ事に成功している。
「もっと声出せよ1年生!」
「はい!!」
山本たち1年生は喉ガラガラ。練習が終わったと同時に緊張の糸が切れるのか、膝から崩れるように息をあげながら泣く。
「悔しいよ…出来ない自分が腹立たしいよ」
「まゆっちは出来てる!大丈夫だって…栗原さんや高部さんもまゆっちの努力認めるほどの凄さなんだから!」
山本の周りには気づけば、1年生全員が集結していた。痛めた足を休めと言わんばかりに、栗原と高部は山本の歩行サポートのため肩を貸す。女子更衣室に戻ると山本は幼い女の子の様にわんわんと泣く。しかし、守山は大丈夫だと慰める。
「高部さん今気づいたけどまゆっちの足また怪我してる…。絆創膏持ってたりする?私、さっき使ったのが最後だったみたい…」
「ほんとだ…栗原さん運悪いね。今日の朝買ってきたからそれ使おう。ペタペタ貼るというより、念を込めて貼ろう」
2人は動くこともままならない山本の足に、傷がついた箇所を中心に複数枚の絆創膏を貼った。幸い絆創膏には消毒液が含まれていたので、治りも早い。本番までには治るだろうと2人は考えた。
「もう泣かないの!本番終わったらご飯食べに行こ!」
「高部さんの言う通りだね。終わったら美味しいもの食べて体を回復しようよ」
守山も同意して山本の表情に笑顔が見えた。帰宅後、山本はお風呂に入りながら練習を繰り返す。筋肉も限界に来てる中だったものも、最後まで貫く山本の姿は大きなオーラを感じる。
練習も積み重ね、本番を迎えた。男女それぞれ特攻服と袴に身を包み、思い思いの演舞をしようと精神統一を行う。男子の圧巻な演舞が始まり、会場は拍手に包まれる。女子演舞開始前、山本は緊張のあまり泣き出しそうな顔になっていたが守山は持っていたタオルでその顔を拭いて鼓舞する。
「大丈夫!まゆっちは努力家だよ。いじめられても立ち上がるその勇姿は誰も真似できない。大丈夫、私が保証する」
山本は心を決めて演舞に臨む。姉の紗耶香は大きな声を上げて団員を率いて最高の演舞を披露する。勿論、団員も練習してきたことを全て出し切ろうと痛い顔せずトップスピードでついて行く。
最後の技にかかろうとした時、山本は躓いた。原因はソロを披露した紗耶香がいた所へ移動するときに大きな凹みが生じ、それにやられたと思われる。しかし躓きながらも山本は最後までやり遂げた。全ての技を披露した後、山本は更衣室で泣きまくった。
「私のせいで団長とその仲間に迷惑かけた…悔しいよ…元に戻れない時間なのに」
着替えながらなく山本の携帯に1通の連絡が来た。送信元は前宮からだ。
「見てたけど、カッコよかったよ。僕の心救った人ってどんな人だろうと思ったけど努力を重ねないといけないなって痛感した…」
山本は涙ながらで返信できる状態ではなかったので、制服に着替えた後1年生のみでご飯を食べた。美味しく食べて写真を撮り、JKって感じの青春を残しながら山本は帰宅する。お風呂に入りながら自分の失敗と向き合っていた。
「紗耶香先輩がいた所で躓くなんて…。でも試練だよね。悔しい…でもかっこいいって前宮は言ってたからなんか救われちゃったな」
お風呂から上がると同時に体の疲れと張り詰めた神経がプツンと切れたのか、山本はベッドで声を殺しながら泣いた。涙でぐっしょりとなった枕、怪我でボロボロになった足と腕、日焼けで焼けた皮膚。人生で最もきつい試練に立ち向かった山本は、この青春に全てを注ぐことを誓った。1つの失敗はともかく、最高な演舞をする事が彼女の使命であると山本は自分に言い聞かせる。
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