天使様はいつも不機嫌です

二章

三十七話

　この学園は防犯面を配慮して山の中にある。そのせいで夏休みとかにしか帰省出来ないらしい。

　そんな閉鎖的な学園の中には娯楽施設とかデパートとかブランド店とか、一つ街があるんじゃないかってレベルで揃っている。

「そういえば天使ちゃんは何を買いに来たの？」

「差し入れ用の飲食料」

「ならあっちだね」

　大きなデパートの中を歩きながら腕を引っ張られる。

　チャラ男はボディータッチしないと死ぬ生き物なのか？　わざわざ手繋ぐ必要無いだろ気色悪い。

「お菓子を買うのか！？　俺も食べたいぞ！」

「ッ······痛いから引っ張んなカス。離せ」

「嫌だぞ！　離したら心湊逃げるだろ！」

　当たり前だろクソが。なんで男二人に挟まれて手ぇ繋ぐしか無いんだよ。振りほどこうと腕を降れば振るほど強く握ってくる。

「はぁ········もういいや」

「「うわっ」」

　これ以上言っても体力の無駄だ。どうせなら二人に運んでもらおう。全身の力を抜くと二人は慌てた様子で俺を引き上げた。

「ちょ、天使ちゃんいきなりどうしたの？」

「ビックリしたぞ！　また気絶するのか！？」

「············せめてもの抵抗だ」

「「？」」

　なんでこいつら平然としてんだよ。これじゃあ駄々こねた小学生と手を繋ぐ夫婦の図じゃねえか。