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一章

五話

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「俺の名前は朝比奈太陽! 宜しくな!」

 うん、それさっき聞いたわ。お前はBOTか。

「僕は神々廻心湊。宜しく」

「おう!」

 あーマジうるさい。喉にメガホンでも詰め込んでんのか。腕を差し出して握手を求めてくるので仕方なく握る。

 なんか少しヌメヌメしてる気がするんだけど。何これ。

「太陽くん太陽くん」

「どうしたんだ! 心湊!」

 うわぁ。いきなり呼び捨てとかキッツ。

「その、手のひらになにかついてる気がするんだけど·······」

「あぁ! それはさっきナメクジ触ったからだぞ!」

「は?」

 え、嘘でしょ? まじで言ってんの? こいつ怖い。

「結翔ヘルプ」

 これ以上はさすがに無理。ヌメっと天使とか呼ばれたら俺の学校生活終わる。助けを求めて後ろを振り返って確認すると、

「Zzz…」

 俺の背中を枕に奴は寝ていた。狸寝入りだ。死ねよクソが。

「どうしたんだ心湊?!」

「なんでもないよ。授業始まるみたいだから席に座ろ?」

「うん、そうだな! 分かったぞ!」

 ふぅ···これでやっと開放される。足をバタバタと行動まで煩いがまあ許容しよう。

 毬藻が教科書に気を取られている隙に教室を猛ダッシュで出る。ヌメヌメがマジでキモい。



 シャワー室に駆け込んだ俺は急いで手を洗う。ついでに体もだ。途中、誰かが部屋に入り込んできそうになったが、親衛隊の手によって防がれた。

 親衛隊は俺のプライバシーを侵害しない程度の距離から護衛してくれているらしい。風紀委員会公認で。

 俺が辞めてと言えば多分辞めてくれる。まあ強姦魔とかから守ってくれるから言わないけど。

「お疲れ様。いつもありがとね」

「い、いえ! 神々廻様の為ですから///」

 それにしても、チワワみたいな体型なのによくガチムチ押さえ付けられるなぁ。まじ頼りになる。

 彼らは俺の笑顔が好きらしいから微笑んでおく。もちろん俺は顔がいい事を自覚している。無自覚総受けとか言う恐ろしい小説を読まされたからだ。

 風紀委員が到着し、ガチムチが拘束される姿を確認して、俺は庭園に向かった。
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