5 / 44
正義004・英霊の光
しおりを挟む
「――よし。成敗完了!」
満足気な表情で言いながら、エスは倒れた男の下へと行く。
「倒したはいいけど、どうしよう?」
男の扱いに困っていると、元々男を追っていた二人組が後ろから駆けてきた。
「こちらを使ってください」
「魔力の操作を封じる手錠だよ」
「ありがとう!!」
手錠を受け取り、気絶した男の両腕を拘束する。
「さきほどは助かりました。感謝します」
「君がいなきゃまんまと逃げられてたよ」
「気にしないで! 俺の中の正義に従っただけだから!」
「……正義? ところで、自己紹介がまだでしたね。私の名前はロレア。クラン【英霊の光】でリーダーを務めています」
「同じく【英霊の光】のメンバー、ラナだよ。よろしくねー♪」
「俺はエス! 2人ともよろしく!」
エスは2人と握手を交わす。
ロレアは滑らかな藍色の長髪を伸ばした生真面目な雰囲気の女性。
年は10代後半から20歳前後といったところだろうか。
軽装の騎士風の格好をしており、腰に長剣を差している。
もう1人のラナは亜麻色のショートヘアで、のんびりとした雰囲気の女性。
見たところロレアと同年代のようだ。
カーキ色のコートを羽織っており、背中には大きな弓が掛けられている。
「ところで、英霊の光? っていうのは何のこと?」
「私達のクランの名前です。普段はロズベリーではなく、ライトナムを拠点にしていますが」
「ふーん、なるほどね」
エスは適当に相槌を打つ。
(クランっていうのはチームか何かかな?)
再び知らない単語が出てきたが、今は目の前の男のほうが重要だ。
分からないことは後で尋ねることにして、気絶した男に視線を移す。
「それで、こいつは何者なの? 2人で追ってたみたいだけど」
「連合から指名手配された凶悪犯です。C級上位の実力がある厄介な奴でして……」
「ロズベリーに潜伏中って情報を貰ったから捕縛に行ったんだけど……恥ずかしながら逃げられちゃってねー」
ロレアとラナは気まずそうに説明する。
濃密な悪のオーラから凶悪な男だとは思っていたが、やはり極悪人だったらしい。
さきほど使っていた紫電の能力は特別な固有スキルとやらで、捕縛する側も手を焼かされていたようだ。
「捕縛してくれたこと、改めて感謝します。連合に身柄を引き渡すので、エスも付いてきてくれますか? エスには報奨金を受け取る権利がありますから」
「報奨金ってお金のこと? 俺が貰っちゃっていいの?」
「当然です。この男を倒したのはエスですからね……よっと」
しゃがみ込んだロレアは、男を肩に担ぎ上げる。
そうしてエスは、ロレア達と共に〝連合〟とやらに行くことになった。
満足気な表情で言いながら、エスは倒れた男の下へと行く。
「倒したはいいけど、どうしよう?」
男の扱いに困っていると、元々男を追っていた二人組が後ろから駆けてきた。
「こちらを使ってください」
「魔力の操作を封じる手錠だよ」
「ありがとう!!」
手錠を受け取り、気絶した男の両腕を拘束する。
「さきほどは助かりました。感謝します」
「君がいなきゃまんまと逃げられてたよ」
「気にしないで! 俺の中の正義に従っただけだから!」
「……正義? ところで、自己紹介がまだでしたね。私の名前はロレア。クラン【英霊の光】でリーダーを務めています」
「同じく【英霊の光】のメンバー、ラナだよ。よろしくねー♪」
「俺はエス! 2人ともよろしく!」
エスは2人と握手を交わす。
ロレアは滑らかな藍色の長髪を伸ばした生真面目な雰囲気の女性。
年は10代後半から20歳前後といったところだろうか。
軽装の騎士風の格好をしており、腰に長剣を差している。
もう1人のラナは亜麻色のショートヘアで、のんびりとした雰囲気の女性。
見たところロレアと同年代のようだ。
カーキ色のコートを羽織っており、背中には大きな弓が掛けられている。
「ところで、英霊の光? っていうのは何のこと?」
「私達のクランの名前です。普段はロズベリーではなく、ライトナムを拠点にしていますが」
「ふーん、なるほどね」
エスは適当に相槌を打つ。
(クランっていうのはチームか何かかな?)
再び知らない単語が出てきたが、今は目の前の男のほうが重要だ。
分からないことは後で尋ねることにして、気絶した男に視線を移す。
「それで、こいつは何者なの? 2人で追ってたみたいだけど」
「連合から指名手配された凶悪犯です。C級上位の実力がある厄介な奴でして……」
「ロズベリーに潜伏中って情報を貰ったから捕縛に行ったんだけど……恥ずかしながら逃げられちゃってねー」
ロレアとラナは気まずそうに説明する。
濃密な悪のオーラから凶悪な男だとは思っていたが、やはり極悪人だったらしい。
さきほど使っていた紫電の能力は特別な固有スキルとやらで、捕縛する側も手を焼かされていたようだ。
「捕縛してくれたこと、改めて感謝します。連合に身柄を引き渡すので、エスも付いてきてくれますか? エスには報奨金を受け取る権利がありますから」
「報奨金ってお金のこと? 俺が貰っちゃっていいの?」
「当然です。この男を倒したのはエスですからね……よっと」
しゃがみ込んだロレアは、男を肩に担ぎ上げる。
そうしてエスは、ロレア達と共に〝連合〟とやらに行くことになった。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
聖女戦士ピュアレディー
ピュア
大衆娯楽
近未来の日本!
汚染物質が突然変異でモンスター化し、人類に襲いかかる事件が多発していた。
そんな敵に立ち向かう為に開発されたピュアスーツ(スリングショット水着とほぼ同じ)を身にまとい、聖水(オシッコ)で戦う美女達がいた!
その名を聖女戦士 ピュアレディー‼︎
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる