現実と常世の狭間で

 ある街の端にひっそりと建つ神社があった。その名を、「常世神社」という。
 その名を知るものは皆、口を揃えて言う。
 「絶対に近づいてはならない。常世の国へ渡ってしまう」と。

 14歳の少女、桃音は一年前母を亡くした。
 酒を飲むことと、暴力暴言しか脳がないクズ父との生活にうんざりしていたが、ある日の出来事を境に家出を決意する。

 家出の日、外には霧がかかり、数メートル先も見ることができない状態だ。
 それでも歩き続け、彼女の足が止まった時、目の前にあったのは、

 神社だった。
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