鬼恋唄
霊感少女・麗花は桜の樹の下で従四位・葉木泉乃中将と名乗る若者にいずこかへ連れ去られてしまう。家族や友人や彼氏の直人が必死で捜す中、直人の前へ麗花によく似た女性が現れ、麗花の居場所へ導いてくれた。 そこは平安時代にも似た不思議な空間で、直人が見たのは泉乃中将の恋人・旬芳御前になりきっている麗花の姿。中将は「この娘は私の愛する白拍子・旬芳御前の生まれ変わりだ」と告げるが、直人は元の麗花を取り戻す為、泉乃中将と対決する。そのさなか、直人が口走った「オレは惚れた女を命に代えても守る」という言葉を聞いて麗花は正気に戻り、十二単を脱ぎ捨てて直人のもとへ駆け寄った。愕然とする中将の前に直人を案内した女性が現れ、自分こそが旬芳の生まれ変わりだと語る。更に彼女は10年前に亡くなった麗花の母・花織でもあった。中将が鬼と化した為に輪廻の輪からはずれ、本当の生まれ変わりと出会えずにいたのだと説明する。中将は花織の霊力で浄化され旅立って逝った。花織は娘・麗花を直人に託し、崩れゆく空間の中に消え去ってゆく。「この時代に生まれ、あなた達に出会えて幸せでしたよ」という言葉を遺して……
後に麗花は、自分や母が強い霊感を持って生まれたのは、泉乃中将を助けて欲しかった旬芳の願いの所為ではないかと考える。だが直人は「お前はオレが守る。だからオレの前からいなくなるな」と、初めて麗花を抱きしめた。二人は結ばれ、ひとは皆 幸せになる為に生きているのだと知るのであった。
後に麗花は、自分や母が強い霊感を持って生まれたのは、泉乃中将を助けて欲しかった旬芳の願いの所為ではないかと考える。だが直人は「お前はオレが守る。だからオレの前からいなくなるな」と、初めて麗花を抱きしめた。二人は結ばれ、ひとは皆 幸せになる為に生きているのだと知るのであった。