妹ばかり~ 3章7話没話(1)
7話にするつもりで書いたけど没にしたので供養。
◆◆◆◆◆◆◆◆
・妹視点
「ごめんねアーシャ、急に来て。眠りたくなったら言ってね、すぐに部屋に戻るから」
燭台に火が灯り、ぼんやりと明るくなった部屋の中。
姉はベッドサイドの椅子に腰かけ、申し訳なさそうにそう言った。
他の家族からはついぞ聞いたことのない気遣いの言葉に、アーシャは首を振る。
「いいえ、わたしもお姉さまに会いたかったです。……お姉さま、お怪我は大丈夫です?」
姉が屋敷に戻った日、アーシャは姉を、魔力の暴走で傷つけてしまっていた。
たしか額から血が出ていたはず、と顔を見やれば、姉はなんともないと笑った。
「それよりアーシャ、体の調子はどうなの? アーシャが倒れたってお父様から手紙をもらったのよ」
「…………」
「……良くないのね? 魔力の暴走をしているらしいけど、原因はわかっているの? お父様もお母様も、理由を教えてくれなくて……」
――当たり前だわ。
両親がどうして理由を話さないのか、アーシャにはわかっていた。
彼らは、アーシャのこの状況の原因を認めたくないのだ。……特に、姉に対しては。
「……精神的なものだって、魔術師のお医者さまが教えてくれました。きちんと気持ちを落ち着けて、毎日少しずつ魔力を発散させれば落ち着くっておっしゃっていたのですけれど……」
精神的なものならば、なおさら家族が傍に居てやるべきだろう――と、家族はいっそうアーシャの傍を離れなくなった。
一人にしてほしいと頼んでも、遠慮していると思われて聞き入れてはもらえない。
少しずつ魔力を発散したくとも、誰かが傍に居ると上手く扱えず、我慢するか暴走するかの二択となってしまっていた。
家族の干渉が負荷を与えている、とはっきり言ってしまった医者は、藪医者だと父に追い払われた。
母があの怪しい魔術師に頼るのは、精神以外に原因があると思いたいからだ。
弟は、自分がアーシャの救いになると信じて疑わず、朝から晩まで四六時中傍に居る。
……息が詰まりそうだった。
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・妹視点
「ごめんねアーシャ、急に来て。眠りたくなったら言ってね、すぐに部屋に戻るから」
燭台に火が灯り、ぼんやりと明るくなった部屋の中。
姉はベッドサイドの椅子に腰かけ、申し訳なさそうにそう言った。
他の家族からはついぞ聞いたことのない気遣いの言葉に、アーシャは首を振る。
「いいえ、わたしもお姉さまに会いたかったです。……お姉さま、お怪我は大丈夫です?」
姉が屋敷に戻った日、アーシャは姉を、魔力の暴走で傷つけてしまっていた。
たしか額から血が出ていたはず、と顔を見やれば、姉はなんともないと笑った。
「それよりアーシャ、体の調子はどうなの? アーシャが倒れたってお父様から手紙をもらったのよ」
「…………」
「……良くないのね? 魔力の暴走をしているらしいけど、原因はわかっているの? お父様もお母様も、理由を教えてくれなくて……」
――当たり前だわ。
両親がどうして理由を話さないのか、アーシャにはわかっていた。
彼らは、アーシャのこの状況の原因を認めたくないのだ。……特に、姉に対しては。
「……精神的なものだって、魔術師のお医者さまが教えてくれました。きちんと気持ちを落ち着けて、毎日少しずつ魔力を発散させれば落ち着くっておっしゃっていたのですけれど……」
精神的なものならば、なおさら家族が傍に居てやるべきだろう――と、家族はいっそうアーシャの傍を離れなくなった。
一人にしてほしいと頼んでも、遠慮していると思われて聞き入れてはもらえない。
少しずつ魔力を発散したくとも、誰かが傍に居ると上手く扱えず、我慢するか暴走するかの二択となってしまっていた。
家族の干渉が負荷を与えている、とはっきり言ってしまった医者は、藪医者だと父に追い払われた。
母があの怪しい魔術師に頼るのは、精神以外に原因があると思いたいからだ。
弟は、自分がアーシャの救いになると信じて疑わず、朝から晩まで四六時中傍に居る。
……息が詰まりそうだった。
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登録日 2019.12.31 21:01
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