第４章の中間点を過ぎると、千早たちは西アフリカの内陸部へと足を踏み入れていきます。
未知の世界です。
航続距離の関係で、航空偵察もされていない地域。
200万年後のサハラは、“緑のサハラ”。
まばらに森林があり、砂砂漠や礫砂漠は草原と化しています。
アトラス山脈を源流とする、大河もあります。
200万年前の情報は、まったく役立ちません。

そして、ヒトの営みも……。
ヒトのルーツを忘れながらも、創造主たる白魔族に抵抗し続けているヒトたちが……。

ヒトの強さ、ヒトの弱さ、ヒトのヒトたる所以とは？

品種改良の結果、生命体として脆弱な種となってしまったヒト。
それでも、創造主であり、神であり、支配者である白魔族に対して、敢然と立ち向かう人々。

その一方、決死のレジスタンスを試みる人々をけしかけながらも、決して味方ではない人々も登場します。

1944年夏、ドイツ占領下のポーランドの首都ワルシャワにおいて、ドイツ軍に対してポーランド国内軍は攻撃を開始します。
ソ連軍はワルシャワの東10kmに迫っていましたが、この“ワルシャワ蜂起”が始まると進撃を停止してしまいます。
そして、ポーランド国内軍がドイツ軍によって壊滅させられたあと、ワルシャワに進撃するのです。
つまり、ドイツ軍にポーランドの抵抗勢力を潰させておいて、抵抗の術を失った状態のワルシャワをソ連は手に入れるのです。

戦争とは、損得勘定丸出しの経済であり、薄暗い政治であり、より狡賢いほうが勝つのです。
純粋であるほど、損をします。

そんな激動の地域に千早たちは踏み入れてしまいます。
千早たちの決断は……。