執筆裏話が書きあがりましたので、興味のある方はどうぞ。


気合を入れたポイントは五つ。

１．過去と向き合わせたい
今作のメインテーマは『過去は絶対に変えられない』です。
過去の経験があるからこそ色々考える美波と、過去の片想いを消化できていなかった爽太を自分と相手の過去に向き合わせ、じたばたさせてみました。


２．コミュニケーションエラーを書きたい
『会話ができて非言語コミュニケーションも取れているように見えて、実は大事なところが通じていない』は難易度が高かった……！


３．非スパダリヒーローを書きたい
爽やかに見せかけて相当愛が重くて気配りができてエロい、のですが、スパダリを名乗るには財力と社会的地位と外見が足りない『さすスガ』こと爽太。
長年片想いした相手をポッと出の男にあっさり掻っ攫われたり、プロポーズと五重奏に気を取られて美波の変化に気づけなかったのだから『スパダリ？』
それか『策に溺れる男』かな？


４．残念ヒロインを書きたい
元短編のテーマが『色気のない関係だけど、やってることはしっかりエロい』でした。
なのでヒロイン美波は色気のなさ（＝残念さ）とエロポテンシャルの高さを際立たせるため、見た目だけは清純派という設定にしてみました。
残念さの裏側にある苛烈さと冷静さが、うまく伝わっているといいのですが。


５．現実味のある物語を書きたい
普通のカップルに等身大の恋愛をさせたい、というのが続編を書く動機のひとつでした。
その一環として、物語の中に現実にありそうなネタを入れてみました。
また、吹奏楽ではありませんが作者自身も音楽を嗜んでいたので音楽ネタもてんこ盛りです。
「あるある」「わかる」と共感しながら読んで（ついでにどのネタに頷いたか教えて）いただけたら嬉しいです。


もっと語りたいのですが、このあたりで区切りとさせていただきます。
表紙絵をお願いしたRitia様、表紙デザインをお願いしたレイラ様。
FAを贈ってくださった某様に、恋愛小説大賞で応援してくださった、最後まで読んでくださった読者様。
そして、画面の向こうの『あなた』へ最大の感謝を捧げます。
美波と爽太の十一年間を見届けてくださって、本当にありがとうございました！