◆イグニス、幼女に絡まれる2
短髪の赤髪に金色の目を困惑気味にオロオロとさせている躯体のガッシリとした男がイグニスである。
そのイグニスに文句を言っているのは金髪の長い髪を縦ロールに巻き、長い金色のまつげに縁取られた青い目を大柄なイグニスをにらみつけるように鋭い視線を投げかけている10歳ほどの幼女。
そうイグニスは幼い子供に絡まれているのだった。
◆イグニス Side
まじかよ。勘弁してくれよ。
俺は金髪碧眼の幼女の前で項垂れている。はっきり言って、これはお互い様だ。
確かに試験会場であるコロッセオの入り口に入ろうとして、受付しか目に入っていなかったこともある。
俺に文句を言っている幼女が小さすぎて視界に入らなかったこともある。
それで、コロッセオから勢いよく出てきた幼女とぶつかって、その反動で幼女がひっくり返ってしまったことも事実だ。
その後直ぐに幼女を抱え起こし、土埃を払い、怪我の確認をして髪が乱れた事以外は問題ないことも確認した。
だが、幼女にとってはそれが大切だったらしい。
「わたくしの髪が乱れてしまいましたわ!責任をとってくださいまし!」
と言われてしまったが、この幼女の保護者はどこにいるのだろうかと辺りを見回しても、それらしき人物は見られない。
「このわたくしをこのように辱めて、ただで済むと思っていますの!」
どう見ても貴族の令嬢とお見受けする。面倒な子供に絡まれてしまった。
俺はこの状況を誰かに助けて貰えないかと辺りを見渡すが、俺と目が合えば、誰しも視線を直ぐ様反らし、足早に去って行く。
ああ、もうすぐ受付終了の時間だというのに、この機会を逃すわけにはいかない。
「悪いんだけどさぁ。俺は試験を受けにきたんだよ。話は後でもいいか?」
「よくありませんわ!」
駄目なのか。受付の人がもうすぐ終了だと叫んでいる。俺はこの幼少を無視することに決めた。
幼少の横を通り過ぎようとすれば、幼女は俺の足を掴んできて引き止める。俺は負けじとそのまま足を進めれば、幼女は俺の足を掴んだまま離れなかった。
「すみません。受付をお願いします」
俺はそのまま受付をしている男性に声を掛けると、勿論視線は俺の足にくっついている幼女に向けられる。これは人攫いではないからな!
「このオジサマがわたくしの保護者よ!これなら文句はないですわよね!」
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登録日 2023.02.08 19:50
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