能力の話です

・いよいよ能力者が増えて能力ラノベらしくなってきました
彼方『終末器（インデックス）』：現実指標
VAIS『次元鉄道（エルライン）』：貫世界相続線
神威『汎将（モダリティ）』：様相転移
趙『黄泉比良坂（ファイセット）』：空集合近傍
此岸『世界便（セグメント）』：命題切片
灰火『蛆刺し（エッセンス）』：本質寄生

・能力は名前も内容も全て分析哲学由来です　例えば「現実指標」はディヴィッドルイス、「貫世界相続線」はディヴィッドカプラン、「命題」はウィトゲンシュタイン、「本質」はソールクリプキが元ネタです

・例えば神威の「様相」はディヴィッドルイスの様相実在論を踏まえたものです
様相(モダリティ)とは哲学においては「～かもしれない」「～に違いない」という可能性や必然性を指します
分析哲学では様相は可能世界を用いて表現でき、「Aかもしれない」は「可能世界では実際にAだった」と解釈されます
神威ちゃんの様相転移（モダリティシフト）は「彼方は死んでいたかもしれない」という可能性を「可能世界では彼方は実際に死んでいた」と解釈し、更にその可能世界に転移することで彼方を死亡させる能力です
一方、彼方ちゃんの現実指標（リアルインデックス）は「現実として定義した世界だけを実在させ、他の可能世界全てを虚構として棄却する」能力のため、現実以外の可能世界は全く存在しないと考えます
よって可能世界実在論者の神威ちゃんvs可能世界非実在論者の彼方ちゃんが論争しているのが第73話です
（ちなみに哲学的には神威ちゃんが異端で彼方ちゃんが正統です）

・当初の設定では「終末器」の読みは「ゲームオーバー」で、貫存在として能力を正しく把握した人だけが「現実指標（リアルインデックス）」と呼ぶ……みたいなルールだったのですが、同じ能力に二つ呼び名があるのは紛らわしいのでその設定は消えました
・神威の能力名「汎将」は消えた設定の名残です　本来は「ジェネラル」という読みでgeneral=汎用、将軍というギャグでした